星を見つけた君ハートを見つけた僕

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第3章 回想( 10 / 11 )

「うん。ありがとう」
「じゃ、電話代も大変だろうし、時間も時間だからこれで切るね」と僕がこの電話を切ったら桜とはもう話せなくなるとの錯覚と戦いながら、そう言うと、
「うん、おやすみなさい」と素直な声がキラキラしたが、まだ受話器を下ろした音は聞こえなかった。
「まだ繋がっている?桜?」
「うん、なんだか私から切れそうになくて・・・・・・」
「うん、俺もだけど・・・・・・」
一分ほどの静寂がなぜか心地よく、桜と一緒にいる気分だった。
「じゃ、俺から切るね。ごめんね。おやすみ!」
「ぷーっぷーっ」
桜の声が聞こえた高揚感は一瞬にして、冷めてしまった。

その場に佇んで今、何が起こったのかを頭の整理の利かないポンコツロボットになって立ち尽くしていた。
そして一分後、機械的に無意識にもう一度電話してしまっていた。

コール音が一度鳴るか鳴らないかの内に再び桜が出た。


第3章 回想( 11 / 11 )

「ごめん、何度も」
「うん、いいよ。私ももう一度かけそうになっていたから」
「うん。言い忘れたことがあったんだ」
「うん、どんな事?」
「うん、飛行機から見えたメッセージは嘘じゃないから」
「うん、ありがとう。でも見えなかったって言ったでしょ。涙でね。うふふっ」なんて二人で笑い合えた。
「うん、今度はちゃんと見えるメッセージを送るね」
「じゃ、またね」
「うん、また」
「先に切って・・・・・・」
「わかった。お休み・・・・・・」
「ぷーっぷーっ」

今度はなぜか達成感があった、充実した気分を持て余した感じだった。

「よし!」この音と言葉は一生わすれないだろう。この高鳴る胸の鼓動が刻むリズムとありがとうを…
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星兎心
作家:星兎心
星を見つけた君ハートを見つけた僕
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