ひねもすのたり

柳美里著「命」途中経過~たかが人生

まだ44頁しか読んでいないと言うよりも、この人はこれ以上何が書きたいのか?そしてそのほかにも同じような何冊もの本を書いて何になるのか、いつも死を考えている53歳の私には正直理解できなかった。理解できないというのは文字通りで決してその人を否定しているのではなく、私の頭が悪いということでもあり、また一方で「もういいじゃないか」という人生のすべてを諦めて今にも死のうとしている一人の男の正直な気分でもある。「どっちでもいいじゃあないか。視野が狭いなあ」というのが私の感想のすべてでもあり、またおごりでもある。あるいは彼女からすれば「馬鹿にするな!」と、こんな感想文を書く私を罵倒すべきでもあろうと思う。しかしそれが私の人生観であり死生観である。たかが命、あるいは人生なのだ。やれ男と女の痴話喧嘩だの妊娠そして産むべきかどうかだの、あるいは末期がんだの、裁判だの。主人公は何を大騒ぎをしているのか?まあ30歳そこそこの女性はそんなものかもしれない。いかにも視野が狭い。本当に自身の人生を諦められないのも無理はないかもしれないが。まあそれが著者の意図かもしれない。つまり本書の意図はと言うかこの人の仕事のすべては読者の人生観を軽やかにすることかもしれない。そういう意味では私は44頁まで読んだところで、まんまと著者の意図にはまり込んだということかもしれない。しかしだとすれば、この作家の仕事はこの時点で終わっているはずで、さらに延々と作品を書き続けることには何の意味もないし、もちろん読むことにも意味がないだろう。娯楽作品としても人生を真剣に考える上でもこの著者の仕事はすでに終わっていると言わざるを得ないのだ。

私の暮らしぶり~「命」80頁まで

柳美里さんの小説「命」の80頁くらいまで読み進んだ。

私がまとまって(と言えるかどうか?)読書をするのは何年か前の村上春樹氏の「1Q84 BOOK1」以来だと思うが、柳美里さんの本を読んでいると不思議と、彼女が「私の人生のすべてを知って!」と言っているような感覚に襲われる。

私は彼女の著書を読むのは初めてで、彼女のことはほとんどtwitterでfollowしているくらいで名前すら本名かどうかも知らない。彼女が「命」の中で書いていることのどこが事実でどこがフィクションなのかも分る筈もなく、私が「じゃああなたもぼくのことを知ってください」と書いたところで彼女が私の書いた文章を読んでくれるとももちろん思えない。

あるいはそういう感覚は、普通の言葉で言って錯覚か、あるいは私の病気のせいかもしれない。まあどちらか、あるいはその両方だろうが、少しだけ今の私の暮らしぶりだけを書いておこう。

私はもうほぼ何年も自宅から一歩も出ておらず、一日中たばこの煙で汚れた自室でカーテンもすべて閉め切った暮らしをしており、両親とも主治医ともまったく口を利かない。食事もほとんど自室で摂り、睡眠のリズムも滅茶苦茶で、入浴も歯磨きもめったにせず、ただ多量の向精神薬とコーラとアクエリアスをがぶ飲みし、歯もほとんど無く、眼も何かの病気なのか老眼鏡なしではほぼ見えず、片耳も難聴気味。そのほか医者には行けないので何病かは分らないが年中具合が悪く、ただラジオとパソコンのみで暮らしている53歳の独身男性だ。

およそ20年前に精神病院に入院していた時に結婚していたこともあったが、双方に子供もおらず、当時の妻がその後どうしているかは知らない。とにかく記憶障害なので思い出せることは少ないが、大学中退以来精神病の生活で、働いたこともない。やはり精神病の妹は今はどこでどうしているかも私は知らない。

「命」も通信販売で入手した。友達はひとりもおらず、近所づきあいも親戚づきあいもまったくない。自分の寿命が尽きるのをただ待っている。

もういいだろう。私はそういう人間だ。

柳美里著「命」つづき(覚え書き)

いつも本を読むのは極端に遅い私はしかし、柳美里さんの「命」の80頁目から100頁目までの20頁は30分弱で一気に読んだ。
しかし著者はなぜいつも登場人物の年齢をだいたいでも書かないのだろう?
そして突然登場した最相(さいしょう)葉月さんという女性がこれから大きな位置を占めるような予感がした。もちろんあとは読んでみなければ分らない。
そして最相さんという女性は外見は知らないが、おそらく不思議で素敵な魅力的な人物なのだろうと思う。
何よりもここまで読んでみて私は、もう少し生きてみようかなと思い始めているところ。
たぶんこの小説はそれくらい魅力的な作品だということだ。

その後124頁まで読み進んで、言葉が適切かどうか分らないが、あらためてシングルマザーやいわゆる在日の人たちの苦労が真に迫る。ほぼ半分まで来た。

そう簡単ではない作品「命」柳美里著

午前1時ぴったりに目覚めた。コーヒーと煙草を一服してから私がすべきことはひとつしかなかった。もちろん「命」のつづきを読むことだ。そして148頁まで読んでみて、まだ私には分らない。柳美里さんにとって、あるいは東由多加氏にとって互いの存在とは何だったのだろうか?男と女でもなかったとしたら親子のような家族愛と言えばいいのだろうか?そう単純ではないような気がした。しかしおそらく彼女にとってあるいは彼にとってそんなことはと言うか、他人がどう思おうとどうでもいいのだろう。「あなたたちには分らない」と言われてしまいそうだ。まあそう言われればそれまでなのだが、別に人のプライバシーを詮索するとかいうような意味合いではなく、人間にとって愛とは何かというようなことを私自身が突きつけられているような気がする。

この「命」という作品はおそらくそういう作品なのだろうと思う。

いや、まだまだ物語は続くのである。そして私は「命」の続編である「魂」を注文した。

篠田 将巳(しのだまさみ)
作家:shinoda masami
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