詩人に口なし

現在とは

 巷で哲学者と称する輩の書いた時空論の本には結論が無いことが多い。
 だから読者はいつも不満足である。
 そこで敢えて言うと、時間と空間は何らかの運動を記述するための道具、すなわち数理的な方便以上でも以下でもない。

 吾輩は猫ではない。名も知れぬ、詩を書く一匹のサルにすぎないが、晴れた夜空を見上げれば、数多の星々から光が目に飛び込んでくる。綺羅星からの光は各々、距離を光速で割った時間に相当する過去の情報をもつ。吾輩は星の過去を見ているのだ。その星の現在など知らない。
 吾輩の知る現在とは、この脳内部でたった今、処理されたばかりのHOTな過去の情報からなり、処理が現在進行中の情報は未来の情報である。

確率

 さてと、ひまだからひとつ計算でもしてみるか。
 この宇宙に生物が存在しない確率をaとおくと、
 ある星に生物がいなくて、他の星に生物がいる確率はa・(1-a)となる。
 これを1から引く。生物がいるかいないかなんてことは、いまのところ五分五分だな。
 1-a・(1-a)=aとしてみるか。
 するってぇと、(1-a)^2=0から、a=1だ。
 なんだ、この宇宙に生物なんていないってことだな。
 要するに、この種の計算ミスをおかす生物が存在する確率は1ってことのようだ。

一部の物理学者等は、「空間は存在しない」と言い出しているが、

いまさら何をか言わんやである。

A.Einsteinは時空の実在性(Reality)を疑わなかったらしい。詩を書く一匹のサルにすぎない吾輩には関わりのないことである。


色即是空、空即是色(般若波羅蜜多心経から転載)。

空間に対応する実体は存在しない。

空間が無であるなら、無が存在すること自体矛盾する(無は存在しないが故に無であるといえる)。

量子力学

 ヒトビトが量子の論理を難しく感じる理由のひとつは、

正しい質問をしない限り、正しい答えが返って来ないことである。


 粒子でも波でもあるという実在を想像して何らかの結論を導き出せるとは思えない。そこには常に解釈という落とし穴が待ち構えている


cf) 量子力学に対して実在の如何を求める質問は、

   正しい質問ではないのである。


無名のヒト
作家:無名のヒト
詩人に口なし
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