悪魔達は、やたらに切った色々な形の三角形や四角形に成った異次元の奥行きのある棺桶の蓋を開いてビルの陰や裏から、出て飛び立って来ていたのだった。
「・・・もう一回言う、生きて家族や愛してる人の元に帰りたいなら、我らの仲間に成れ・・・さもなくば・・・死ぬ事に成る・・・」
悪魔の醜い手首がリーダーの目の前に現れたかと思うと突然、紙を破くように視界の世界を帯状位に長く破っていった。
兵士達の間を音も無く、ぬって進んで行く。
そして周りの状況が見えて来ると兵士達は、皆 目を丸く見開いた。
首を振って周りを見渡し、瞬きをする。
思わず唾を飲んだ。
「・・・マジか!?・・・」
目の前の破れた異空間には、大勢のゾンビが立っていて、空中には、黒い悪魔が羽を広げた状態で、今にも襲って来そうな体勢で直ぐ近くに居て《時間が止まった》状態が目には、見えていた。
頭では、直ぐに整理出来ないでいた。
その場を疑ってもいたのだった。
「・・・お前らが動いた瞬間に襲い掛かり、戦闘は、始まる!?・・・フッ、良く考えろ、口を動かすだけなら大丈夫だ・・・」
悪魔は、微笑んでいた。
「・・・みんな動かないで落ち着いて返答しろっ、奴らを味方にするか!? 敵にするか!?・・・」
各々が色々な運命を背負っているので返答は、各々がゆっくりと結論を出すまで待つ事にした。 計算し、遅延作戦を取り、敵にばれないように早急に本部と《yes・no》だけの連絡し合いをした。
敵との頭脳合戦が続いた。
太陽が昇り始めた。
最後の一人が答えた。
「・・・俺、あんたとは、意見が合わなかったが・・・志しは、一緒だよ・・・」
「・・・フッ・・・フ~・・・・・・ぶっ潰して帰るか~・・・」
帯を縦にも高く破って行った。
「・・・・・・」
兵士達は、あまりの敵の数に圧倒させられた。
みな目を見開いた。
冷や汗をかき始める。
(・・・勝てるのか~!?・・・)
シンシアは、絶対に勝てると思っていたのだろう、兵士達の首が上を見渡す動きにも総攻撃は、しなかった。
「・・・なにっ!?・・・」
「・・・・・・!?」
眉間にシワを寄せ、目を細めた。
「・・・キッサマラ~・・・ヤレルモンナラ、ヤッテミロッ・・・」
シンシアが一人喋りをする!?
外でも騒ぎが起こっていた。
ビルの陰があり得ない方向に四方!?に天に向かって伸びていて、その陰!?から羽を広げてホバリングしている多くの黒い悪魔が飛び立とうとしていたからだった。
「進化した悪魔は、光にも強いんだよ」
人間の無線に声が入る。
中では、動きが起きそうに成っていた。
「・・・みんなー、聞こえたたか~、聞いた通りだー、聞いた通りに逃げずに行動しろー、あとは、神頼みだ一、お前ら一人一人に運命が掛かっている一、た・の・む・ぞ・~!?・・・・・・撃って撃って撃ちまくれー」
兵士達は、言われた通りの形を作って最小規模の激しい戦いをしていた。
敵との平均距離およそ1・5メートル、(撃たなければ殺られる)、撃ち続けるしかなかった。
それも自分の前や上に向けて、味方に当たらないように、心の目を信じて敵を倒していく。(本当にこれでいいのか・・・!?)
「痛いんだろうな~!?・・・」
「ヘッ・・・これから俺達どうなるんだろ~な~!?・・・」
「ナッ、そろそろ、行くか」
「ア~、行くかっ・・・!?」
体のそこらじゅうから煙が出始める。
先にあの世に行った嫌われ物の刑事 ナンバー1とナンバー2の鏡 春令と剣先 学 二人がゾンビの腐った自らの体の心臓辺りに右手で血の十字を書いてから、聖水の入ったワイングラスを飲み干したのだった。
城近くの滝つぼに飛び込んで行く。
抵抗なのか、体自体が中空!?に滝つぼ!?に後ろ!?に直ぐ前!?に飛ばされている画像!?、夢!?を見せられる。
そして現代に体を移動させたのだった。
二体の化け物がお互いに体を張って形ある最も遠い位置に我が身を置いた。
激戦の中で有り得ない光を発していく。
暗闇に輝くような白い点を放っていく、少しずつ二つの点を線につなげていく。
兵士達の形にそっていく、線と線を結んでいく、細い十字架を作っていった。
線を次第に太くしていく、輝きも増して強くしていった。
細いオニヒトデ!?のようにハリネズミ!?のように向かって来る敵に対して、弾とマブしいばかりの光で向かい撃ち続ける。
「・・・クッソー!?・・・下等動物メー・・・」
「クタバレ一、このバケモノー」
思考の世界から、幻想の世界から、暗闇の奥底から、光を放っていく。
「・・・キッサマラー、企みやがったな一・・・!?」
「・・・フフッ、俺達も形は、変えられても刑事さ、魂や志しを忘れては、いないぜ・・・・・・丸ごと飲み込んでヤル!? 後は、成るようになれってもんだ!? じゃーな、もと同士!? あの世で会おうぜっ!?・・・」
二次元の十字架が三次元から四次元の十字架に大人のオニヒトデ!?かハリネズミ!?を思わせる迎撃力でかえしていく。
大勢のゾンビや翼を広げた黒い悪魔達が広がりゆく光線や弾け散る聖水を浴び、次から次へと爆破されていった。
「・・・チッキショ一・・・コノヤロー!?・・・」
物凄く恐い形相で斧を降り下ろしたシンシアは、光輝くハリネズミ!?の中に消えて行った。
幻想の中の秘宝城も現代の四方のビルの陰も光りに飲み込まれて行く。
五人の兵士達は、知らぬ間に元の世界、現代に帰って来ていた。
裏切った悪魔二匹は、行方が分からなく成っていた。
そしてゴーストタウンと成った新宿は、慎重に調べられ、国会で会議し、出した結論は、徹底したお祓(はら)いや定期的なお祓い事をしながら、再開発が行われる事が決まった。
『新宿再開発建設現場』と看板が掛けられた近くの空き地。
じょ~っ、んっ、ん~、「・・・う~、さっぱりした~、気持ち良く呑み過ぎた~・・・」
用をたし、軽い足取りでスタスタと歩いて行く働き蜂のサラリーマンだった。
酔っぱらいとスレ違った夫婦の小さい男の子が工事現場近くに興味を持ち、歩いて行く。
「まさるっ、危ないから、こっちに来てなさい」
「は~いっ、でもパパ、何か音したよ~!?・・・」
子供がパパとママの元に駆け寄って行く。
子供が近寄って来た所の地面には、サインが書かれていた。
『・・・NE~NE~・・・』
ク~ン、ク~ン、子犬が右手で土を掘り起こす。
ガバー、ゾンビが顔と指だけを出す、子犬が逃げて行く。
「また遊ぼうよ~」
と人間達に誘いを求める。
小さい小さい赤ん坊悪魔が一匹 慣れない飛び方でフラフラと飛んで遊びに行く。
「ウソついて、ダマシちゃ~、ダメよ、針千本飲まされるよ!?・・・・・・ヒヒッ」