シンシア -秘宝城-

  新宿の上空と地上は、多くの兵隊により、慌ただしく成っていた。
「先手必勝だ。 穴にミサイルを撃ち込め」
「了解、ミサイル発射」
  四つのミサイルは、続けて放たれて敵に当たり爆発した。

  黒煙の間から、ヘリを目掛けて黒い光と白い光が放たれる。
  戦闘機一機は、一瞬にして廃機になり、人間は、ミイラになり、地上に落下していった。

  もう一機には、悪魔がいっぱい張り付いていて、外見的には、カラスみたいで操縦不能、脱出不可能といった状態で墜ちるしかなかった。

  ヘリ一機には、白いゾンビがいっぱいに付いていて黒い光が放たれて機に当たるとコックピットに黒く直方体のツルツルの墓石が操縦士に激突し、ヘリは、飛散し、燃えて墜落していったのだった。

  尚もランダムに白黒の光が上空に放たれて行く。
「オ~イッ、みんな~、全ての探知機を用意して移動、そして早急に爆破位置を確認、そして早急に再度 上空からパラシュート部隊を投入、連絡しておけ~、 連絡終わり。 サ~、みんな行くぞ」
  オー、総攻撃を開始し始める。

  兵士の不安をよそに知らずに異次元に入ってしまっていた。
「何だこの模様・・・!?」
「ナニッ、お前にも見えているのか、この線!?みたいなの」
「ア~、多分みんなに見えている!?」
「気を付けろー、敵の世界に入っているぞ!?」
  人間界のゴーストタウンは、見えているものの水面に油の雫を垂らしたような歪んだ透明な部分と薄赤の部分と灰色の部分・・・etcの不気味なオーロラがある世界が視界に入って来ていたのだった。

  一人また一人とカーテンをくぐるように消えて行く。
  パラシュート部隊が大勢飛び降りたのが遠目に見えていた。
  解らないうちにクラゲが消えて行く、地上の軍隊も消えていく。
  敵のゲームに参加して行く。
  異世界に墜ちて行く。

  パラシュート部隊隊員や兵士達が眠りから覚めると石畳のある所に居た。
「・・・ここは、何処なんだ!?・・・」
  そして大半の人が目を覚ました時だった。
  遅れて一人の隊員がパラシュートで降りて来た。
  するとスーと石畳上に人間より一回り大きな直方体の箱が出て来たのだった。  あれよあれよという間にスポッと腰まで入ってしまったのだ。

「ハハハッ、ホールインワンか!?  早くそんな所から出て来いよ~」
  一人の隊員が、そう言った時、箱の下から、死人が出て来て足を引っ張り出したのだった。
「ウワ~ッ、助けてくれー、助けてくれーっ!!」
「それは、彼の前世だ、醜い体だろう、痛みを和らげるのに彼の魂が欲しいんだろう」
  何処からともなく聞こえて来ていた。
  箱の中に引きずり込まれた時、一気に凄まじい炎を噴いて兵士達を驚かせた。  次の瞬間 羽を縮ませたおとなしい黒い悪魔が一匹居てうつむいたまま喋った。
「・・・ゲームスタート!?・・・」

  掌を上にして両手を軽く開くと石畳は、ピザを作るように真っ赤に成っていき、ロックを奏でているイコライザーみたいに広がり始め、兵士達を混乱させて考える余裕も与えず、散らさせて逃げさせたのだった。

  床には、アートらしきものが描かれていた。
  右側に線の書かれた絵、左側には、四角い絵、周りには、天使!?やら、悪魔!?やらが手を差し伸ばせてある物だった。
  パラシュート部隊の隊員が一人、ゆっくりと歩き始めた。
  線と四角の間に行った時に突然 激しく吹き掛かる雨が隊員を襲った。
  反射的に肘や手で顔をかばう。
  すると右側の線が平面から立体に成った、障子戸が隊員の横に立ち、多くの悪魔の手首、ゾンビの手首が障子を破って隊員に襲い掛かったのだ。
「うわっ!?」
  思わず、払いのけ逃げた、その体の体重移動の流れと風力!?で体は、四角い飛行機の破損した窓ガラスに吸い込まれて行く。
「あ~アッ、助け・く・れ一」 ズボッ!?
  空中に放り出された。
「・・・オ~イッ、雲海上なら、パラシュートが必要だろう・・・」
  悪魔が墜ちて行く隊員に最後に吐き捨てた一言だった。

  さ迷える六人の兵士達が銃を構えてある部屋に入って来ていた。
  豆電球が遠くに二つしかなく薄暗い所なので周りの状況が確認出来ない為、目や銃でケンセイしながら確認し、進んで行く。

  音がして足を止めた、臨戦体制、端の黒いカーテンが落ちた、大勢の武者がヨロイを着て弓を兵士向かってに構え、宇宙服の奴が悪魔と交互に並んでいて両手にガラス容器を納めたケースを持って立っていた。
  今までに見た事がない異様な光景に身構える。
「・・・宇宙服の奴が持っているのは、未知のウィルスだ、フッ、割るなよ・・・」
  悪魔からのメッセージが伝えられた。

  ドアが締まり、鍵が掛けられる。
「・・・三分やる、考えて答えを出せ・・・」
  カップヌードルが仕上がる時間と同じ時間を与えられた。
  戸惑う人間がその場に居た。
  削られていく。

「この場をしのげる何か、いい案は、あるか!?」
「フ~・・・!? 何かありますか、状況がよくない」
「成るように成れか!?」
「当たって砕けろか!?」
「おのずと道は、開けるか!?」
「出来れば、あの容器は、割りたくないな」 
「フッ、難しい事を言うな~、今、何分経った!?・・・」

  お互いが駆け引きを確かめ合うような静かな時間が続いた。
  ボワ~、武者の黄色い目が開いた。
「・・・オイッ、武・者・と・目・が・合っ・ちゃっ・た・よ・・・!?」
  武者が一斉に矢を放つ、わー、ヤ一、兵士達が一斉に弾を撃ち続けた、矢を補給して打ち続ける、容器やケースや宇宙服を粉砕していく、体のそこかしこを刺され続けた。
  開かずの扉の部屋の中に凄惨な死体が増えていった。

 

「確認しないのが悪いんだよ、六という数字が良くないな!?」

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
作家:MONALI PADORA
シンシア -秘宝城-
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