シンシア -秘宝城-

  偵察機が飛ばされていた。
「どうなんだ、新宿は!?」
「・・・・・・新宿の街は、もう、ゴーストタウンに変貌してます。 誰一人として居ません。 ただ崩壊したライト ブリッジ ヒルズというビルの近くに大きな穴が開いていて中に古い城らしき物が見えています。 もう一回  確認してから戻ります・・・・・・ゥッ!?・・・」

  偵察機が戻って来ていて着地し、パイロットが基地の方に歩いて来ていた。
「何やっているんだ、あいつ・・・!?」
  パイロットが途中で歩くのを止めて立ち止まっていた。
  基地のみんながモニターに目を止める。

「・・・フフフッ、我にたてつく馬鹿ども、もっともっとエキサイティングなゲームをし合いませんか。 待・っ・て・ま・す・よ」
  そう言って左下から右上に向かって右腕を横切らしたのだった。
  体を胸を張って威張った姿勢にして立ち。

  やがて記憶に刻まれる事が行われた。
  消防車の放水式の様に体内の五臓類が肉を裂いて服を破って頭上二メートルの高さまで吹き上がったのだった。
  血が地面に広がり、上半身は、垂れ下がった。
  それからだった、度肝を抜かれたのは。
  常識的には、もう死んでいるはずの奴が五歩程 歩いたのだった。
  見ていた兵士達が血の気を引いた時だった。

  新宿の上空と地上は、多くの兵隊により、慌ただしく成っていた。
「先手必勝だ。 穴にミサイルを撃ち込め」
「了解、ミサイル発射」
  四つのミサイルは、続けて放たれて敵に当たり爆発した。

  黒煙の間から、ヘリを目掛けて黒い光と白い光が放たれる。
  戦闘機一機は、一瞬にして廃機になり、人間は、ミイラになり、地上に落下していった。

  もう一機には、悪魔がいっぱい張り付いていて、外見的には、カラスみたいで操縦不能、脱出不可能といった状態で墜ちるしかなかった。

  ヘリ一機には、白いゾンビがいっぱいに付いていて黒い光が放たれて機に当たるとコックピットに黒く直方体のツルツルの墓石が操縦士に激突し、ヘリは、飛散し、燃えて墜落していったのだった。

  尚もランダムに白黒の光が上空に放たれて行く。
「オ~イッ、みんな~、全ての探知機を用意して移動、そして早急に爆破位置を確認、そして早急に再度 上空からパラシュート部隊を投入、連絡しておけ~、 連絡終わり。 サ~、みんな行くぞ」
  オー、総攻撃を開始し始める。

  兵士の不安をよそに知らずに異次元に入ってしまっていた。
「何だこの模様・・・!?」
「ナニッ、お前にも見えているのか、この線!?みたいなの」
「ア~、多分みんなに見えている!?」
「気を付けろー、敵の世界に入っているぞ!?」
  人間界のゴーストタウンは、見えているものの水面に油の雫を垂らしたような歪んだ透明な部分と薄赤の部分と灰色の部分・・・etcの不気味なオーロラがある世界が視界に入って来ていたのだった。

  一人また一人とカーテンをくぐるように消えて行く。
  パラシュート部隊が大勢飛び降りたのが遠目に見えていた。
  解らないうちにクラゲが消えて行く、地上の軍隊も消えていく。
  敵のゲームに参加して行く。
  異世界に墜ちて行く。

  パラシュート部隊隊員や兵士達が眠りから覚めると石畳のある所に居た。
「・・・ここは、何処なんだ!?・・・」
  そして大半の人が目を覚ました時だった。
  遅れて一人の隊員がパラシュートで降りて来た。
  するとスーと石畳上に人間より一回り大きな直方体の箱が出て来たのだった。  あれよあれよという間にスポッと腰まで入ってしまったのだ。

「ハハハッ、ホールインワンか!?  早くそんな所から出て来いよ~」
  一人の隊員が、そう言った時、箱の下から、死人が出て来て足を引っ張り出したのだった。
「ウワ~ッ、助けてくれー、助けてくれーっ!!」
「それは、彼の前世だ、醜い体だろう、痛みを和らげるのに彼の魂が欲しいんだろう」
  何処からともなく聞こえて来ていた。
  箱の中に引きずり込まれた時、一気に凄まじい炎を噴いて兵士達を驚かせた。  次の瞬間 羽を縮ませたおとなしい黒い悪魔が一匹居てうつむいたまま喋った。
「・・・ゲームスタート!?・・・」

  掌を上にして両手を軽く開くと石畳は、ピザを作るように真っ赤に成っていき、ロックを奏でているイコライザーみたいに広がり始め、兵士達を混乱させて考える余裕も与えず、散らさせて逃げさせたのだった。

  床には、アートらしきものが描かれていた。
  右側に線の書かれた絵、左側には、四角い絵、周りには、天使!?やら、悪魔!?やらが手を差し伸ばせてある物だった。
  パラシュート部隊の隊員が一人、ゆっくりと歩き始めた。
  線と四角の間に行った時に突然 激しく吹き掛かる雨が隊員を襲った。
  反射的に肘や手で顔をかばう。
  すると右側の線が平面から立体に成った、障子戸が隊員の横に立ち、多くの悪魔の手首、ゾンビの手首が障子を破って隊員に襲い掛かったのだ。
「うわっ!?」
  思わず、払いのけ逃げた、その体の体重移動の流れと風力!?で体は、四角い飛行機の破損した窓ガラスに吸い込まれて行く。
「あ~アッ、助け・く・れ一」 ズボッ!?
  空中に放り出された。
「・・・オ~イッ、雲海上なら、パラシュートが必要だろう・・・」
  悪魔が墜ちて行く隊員に最後に吐き捨てた一言だった。

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
作家:MONALI PADORA
シンシア -秘宝城-
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