シンシア -秘宝城-

  さ迷える六人の兵士達が銃を構えてある部屋に入って来ていた。
  豆電球が遠くに二つしかなく薄暗い所なので周りの状況が確認出来ない為、目や銃でケンセイしながら確認し、進んで行く。

  音がして足を止めた、臨戦体制、端の黒いカーテンが落ちた、大勢の武者がヨロイを着て弓を兵士向かってに構え、宇宙服の奴が悪魔と交互に並んでいて両手にガラス容器を納めたケースを持って立っていた。
  今までに見た事がない異様な光景に身構える。
「・・・宇宙服の奴が持っているのは、未知のウィルスだ、フッ、割るなよ・・・」
  悪魔からのメッセージが伝えられた。

  ドアが締まり、鍵が掛けられる。
「・・・三分やる、考えて答えを出せ・・・」
  カップヌードルが仕上がる時間と同じ時間を与えられた。
  戸惑う人間がその場に居た。
  削られていく。

「この場をしのげる何か、いい案は、あるか!?」
「フ~・・・!? 何かありますか、状況がよくない」
「成るように成れか!?」
「当たって砕けろか!?」
「おのずと道は、開けるか!?」
「出来れば、あの容器は、割りたくないな」 
「フッ、難しい事を言うな~、今、何分経った!?・・・」

  お互いが駆け引きを確かめ合うような静かな時間が続いた。
  ボワ~、武者の黄色い目が開いた。
「・・・オイッ、武・者・と・目・が・合っ・ちゃっ・た・よ・・・!?」
  武者が一斉に矢を放つ、わー、ヤ一、兵士達が一斉に弾を撃ち続けた、矢を補給して打ち続ける、容器やケースや宇宙服を粉砕していく、体のそこかしこを刺され続けた。
  開かずの扉の部屋の中に凄惨な死体が増えていった。

 

「確認しないのが悪いんだよ、六という数字が良くないな!?」

  その部屋には、少し大きめの宇宙服があった。
  そして額縁に納められた東京の夜景の絵があった。
  また奥の部屋に割れた円の鏡があった。
  兵士達が銃を構えて鋭敏な動きをして警戒して入って来た。

  みんなが前を向いて、一人だけ後ろに銃を構えた兵士が一番始めに狙われた。
  奥の部屋の割れたガラスが真っ黒く成り、スルスルーと天井に移動、そしてドリルのようにクルクルスーと回転して降りて来て、異色悪魔!?が右手で口をふさぎ、左手で横から心臓をひと刺しして一瞬にして人の視界から消えたのだった。
  無音でスークルクルと回転して天井に戻っていく。

「オイッ、オ一イッ、どこに行ったんだ!?」
  全員が後ろに気を取られた時に先頭の兵士も黒い円に飲まれたのだった。
  辺りを見渡す、ズボッズボッ、ダダダダッ、手前の兵士が背中から、右腕と左足の膝をワイヤーロープが貫通し、T字にロックしたのだった。
  前に居た兵士に重症を与え、うつ伏せに倒していた。

  額に入った《東京の夜景》内のビルの部屋明かりから、白のワイヤーロープがいくつも出て来て兵士を突き刺し、先をT字にして兵士を引っ張って《絵》内に引きずり入れたのを撃った兵士が無抵抗で見ていた。

  撃った兵士は、中腰でもがいていた。
  《東京の夜景》から、一本ずつ白いワイヤーロープを撃たれては、T字に止められて引っ張られて絵の近くに居たからだ。
  最後は、絵から出て来たただれた手に顎を掴まれて消えていった。

「ア一、アッ・・・!?」
  叫び声で一人の兵士がドアを突き破って入って来た。
  宇宙服と東京の夜景の絵があって変な空気が漂う部屋だなと思っていた。
  ふと気に成って割れている宇宙服のヘルメットの中を覗き込む。

  何もない事を確認し、背筋を伸ばした瞬間に宇宙服の胴体から、白い手が出て来て体を引っ張られた。
「ウワッ・・・!?」
  グバキッ、凄く早い動きと怪物並みの力で体と胴体が離れた瞬間だった。
  スーガリガリ、ガリガリとフランケンシュタインの包帯の腕が頭部をガラスに摺られながら、ヘルメット内に引きずり込まれて行く。
  胴体は、スニーカーを履いた奴がツルハシで引っ掛けて《東京の夜景》内に放り込んで歩いて行った。

  悪魔達は、やたらに切った色々な形の三角形や四角形に成った異次元の奥行きのある棺桶の蓋を開いてビルの陰や裏から、出て飛び立って来ていたのだった。

「・・・もう一回言う、生きて家族や愛してる人の元に帰りたいなら、我らの仲間に成れ・・・さもなくば・・・死ぬ事に成る・・・」
  悪魔の醜い手首がリーダーの目の前に現れたかと思うと突然、紙を破くように視界の世界を帯状位に長く破っていった。
  兵士達の間を音も無く、ぬって進んで行く。

  そして周りの状況が見えて来ると兵士達は、皆 目を丸く見開いた。
  首を振って周りを見渡し、瞬きをする。
  思わず唾を飲んだ。
「・・・マジか!?・・・」
  目の前の破れた異空間には、大勢のゾンビが立っていて、空中には、黒い悪魔が羽を広げた状態で、今にも襲って来そうな体勢で直ぐ近くに居て《時間が止まった》状態が目には、見えていた。
 
  頭では、直ぐに整理出来ないでいた。
  その場を疑ってもいたのだった。
「・・・お前らが動いた瞬間に襲い掛かり、戦闘は、始まる!?・・・フッ、良く考えろ、口を動かすだけなら大丈夫だ・・・」
  悪魔は、微笑んでいた。

「・・・みんな動かないで落ち着いて返答しろっ、奴らを味方にするか!?  敵にするか!?・・・」
  各々が色々な運命を背負っているので返答は、各々がゆっくりと結論を出すまで待つ事にした。 計算し、遅延作戦を取り、敵にばれないように早急に本部と《yes・no》だけの連絡し合いをした。
  敵との頭脳合戦が続いた。

  太陽が昇り始めた。
  最後の一人が答えた。
「・・・俺、あんたとは、意見が合わなかったが・・・志しは、一緒だよ・・・」
「・・・フッ・・・フ~・・・・・・ぶっ潰して帰るか~・・・」

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
作家:MONALI PADORA
シンシア -秘宝城-
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