僕ら女の

第三章 結束( 8 / 8 )

皆さん、傀儡トビウオです。
それぞれに対し活発に返信、そのまた返信
とツリーが形成されていますね。やっと顔
を合わせた僕ら七人です。
今日は、お待たせしましたが、こんな
シックなインデックスページができました
よ。
「ノウモア性別役割!」これがサイトのタ
イトルです。ちょっと泥臭い? 確かに。
しかしすぐに分かってもらえることを優先
させました。とりあえずはこれで出発、で
いかがでしょうか。
リンクページは英語圏のみならず非常にイ
ンターナショナルに関係サイトを集めまし
た。
掲示板の他に各人の発表の場も用意しまし
た。お好きなように使ってください。
さて、僕トビウオは言い出しっぺなのにも
かかわらず、今に至っても、夫の給料と夫
の年金とを使って生きてきたこれまでとは、
せいぜい薄紙一枚ほどの違いしか達成して
いません。夫は、自らの善意と愛情を信じ
ているです。今日のこの日も、僕には次の
一歩が未定です。
僕は今、美しく磨き上げ、趣味良くしつら
えられた、ほこりひとつ目立たない居間に
います。静かです。一人です。あちこちに
花が咲き僕の指はすべすべしています。食
器洗い機があるからです。
この生活を賄っているのは勿論夫の仕事で
す。もし、僕らが今離婚したらこの生活の
半分は僕のもののはずです。婚姻中に増え
た財産は夫婦の共有と見なされる、誰の名
義であろうと、ただし離婚の場合ですが。
法律的にはそうです、実際の結果は別とし
て。
僕の場合は折半するほどの自分の寄与は考
えられません。僕は夫が満足するような操
り人形でしかありませんでした。子供を育
て、家事をそつなくこなし、家をきれいに
してきました。僕はこの財産の半分を
貰っていいのですか。つまり僕は離婚を考
えているのです。ここは美しい牢獄です。
僕にもしたいことはある、一つ一つ自分で
決定したい。そうだ、僕は立派な男なのだ。
行動力のある。責任を取れる。財産は貰わ
ずに別れるべきだ。僕としては、心と身を
売った金をもらうような気がする。

ここまで書いて、僕傀儡トビウオははっと気づいた。
そうだ、ここに矛盾があるのか。

一方では家事育児を価値ある仕事と見なす社会があり、財産の半分の価値を計上しようと
する。他方では、家事育児は女性に押しつけられた不名誉な低い仕事であるという主張が
ある。

が、実際には社会は後者の判断に従って動く。
だからある女性は主婦であろうとし、別の女性は女を家事に縛りつけるな、と叫ぶ。

女性は自然に近いと言って、そこに価値があるとみなされる。
しかしそれゆえに貶められ
る。

二律背反。


皆さん、新人トビウオです。
ついに名前にふさわしく、飛び立ちます。
海と波から滑空していきます。
僕の場合、財産を貰っては自家撞着に陥り
ます。生活費も貰いません。そして僕は一
人の生活をします。あしたのことは全く未
定です。
傀儡、残り二十年、計算上。

東天
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