幸せなうさぎ

 

そして、やってきた王様の誕生日。

 

国中から、たくさんの贈り物が届き、立派なテーブルにはごちそうが並んでいます。

 

でも、王様にとって1番のお楽しみは、特別なごちそうの、あの、かわいそうなウサギです。

 

「特別なごちそうをここへ!」

 

王様のお供の者が言うと、ラッパが鳴り響き、銀のお盆に乗せられた、かわいそうなウサギが運ばれてきました

 

かわいそうなウサギは、真っ白フワフワ、コロコロして健康的な体には緑の繻子のリボンをつけられ、

 

目をキラキラと輝かせています。

 

「おお、見違えたぞ。最高の贈り物らしくなっているぞ。」

 

王様が言うと、かわいそうなウサギは、その小さな口を開きました。

 

「誕生日おめでとうございます、王様。 そして、ありがとうございます。」

 

「ん?なんでありがとうなんだ?」

 

王様が聞くと、かわいそうなウサギは目を輝かせて言いました。

 

 

 

「私は、王様に連れてこられるまで、自分の国がこんなに美しいということを知りませんでした。

 

まず、それがひとつめのありがとうです。

 

そして、初めていい香りのするお風呂に入りました。自分がこんなに白くてきれいだったなんて知りませんでした

 

これがふたつめのありがとうです。

 

あんなに美味しいごちそうを、お腹いっぱい食べたのも初めてです。これがみっつめのありがとう。

 

そして、こんなにきれいなリボンをつけて着飾ったのも初めてです。ありがとうございます。」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

王様はびっくりしてしまいました。

 

今、自分が食べるごちそうからお礼を言われたことなんて、なかったのですから。

 

そして、今まで自分が当たり前のようにしてきたことに、こんなに感謝しているウサギをみて、

 

胸の奥にある今までの心が、ゆで卵の殻のようにひび割れて、

 

胸いっぱいに光がさしたような、温かい湯で満たされたような、そんな気持ちになりました。

 

 

「よし・・・食べるぞ!」

 

王様がいいました。

 

「はい」

 

かわいそうなウサギが一歩前に出ました。

 

 

「お前も食べるんだ。」

 

「えっ?」

 

かわいそうなウサギは耳を動かして王様のほうをみました。

 

「お前も一緒にごちそうを食べるんだ。」

 

王様はそう言うと、テーブルに並んだごちそうを食べ始めました。

 

その日の王様の誕生会は、夜がふけて、お月さまがあくびするまで続きました。

 

僕たちのいるところから、1番近くて、1番遠いところに

 

おおかみの王様と、幸せなウサギの住むお城がありました。

 

 

すばる

 

 

 

 

 

朗読( 1 / 1 )

 
 
 
 
 
 
 
クリックで朗読はじまり 
 
 
 
 
2011_11_14 12_29.mp3
subaru
作家:すばる。
幸せなうさぎ
5
  • 0円
  • ダウンロード

3 / 5

  • 最初のページ
  • 前のページ
  • 次のページ
  • 最後のページ
  • ダウンロード
  • 設定

    文字サイズ

    フォント