俺の退職 Season3(ゆるい起業家のゆるすぎ生活実態)

第一話 お金にまつわる話題( 1 / 5 )

いくらあったら今後の暮らしは安心か?の答えは金額を数えても分からない。代わりに「時間」で考えて「やりくり」上手になったらいい

俺はリストラで退職となった。その後は再就職探しで始まったが、次第に考えが変わって起業しようとなってきた。さらにもう既にハングリー精神を喪失した俺の選択肢は起業であっても生業ではなく「ゆるい起業」へと行先が変わってしまった。「ゆるい起業」であまり稼がないとしたら、いくらお金があったら今後暮らせていけるか?この答探しのやり方からSeason3を書き始めようと思った。

どうやって老後が安泰な金額かどうかの見当をつけるのか?
その金額は、金額自体では分からないから、時間に置き換えたら大丈夫か足りないかの見当がつく。こんな論法をかつて俺は雑誌で読んだ。それを参考にして例で少しだけ説明すると、こんな感じになる。

65歳のAさんの最近5年間の家計簿を調べたら、年間平均400万円を出費していました。Aさんの貯蓄は3千万円、年金が毎年夫婦合計で300万円予定です。
年金が今後も一定だとして、Aさんは何歳まで生活できるでしょうか?
方程式を作って計算するとAさんは95歳まで生活できます、となる。

この方法で「見当」がつく。が、安心できるかどうかは未確定だ。
ちょうど船が目的地に到達できる燃料を積んで出航するのと同じで、航海途中でいろいろな出来事があるだろう。予測不能なことも、複雑で最初から想定するのは難しいものもある。

生計の中でその例は、子の結婚費用にいくらかかるか予測不能だ。ゼロ円婚かもしれないし村をあげての大結婚式をやるかもしれない。将来受け取れる年金額は加給年金や振替加算などがあり、少し変動するけど、そんな美々たる年金額の差異を入れて精密計算していると俺は嫌になってしまう。

もっと良い方法がある。自分の努力でできる計画表を作り、そのとおりの生活を開始して、途中で何かに気づいたら、その都度計画を練り直し、自分のお金の上を何とか運転して最後まで着けるように「やりくり」しながら進めることだ。もう少し詳しくはこの後の話題で書いていく。

ただ、お金が足りたらもう勤めたり働いたりしなくて良いかどうかは別問題だ。
もし普段の生活で必要なお金が足りているなら生きてはいけるけど、老後を過ごす人々の多くはこの退屈な長い長い時間をどう生きたらいいんだ!と音をあげている。だからやっぱり収入を得たら退屈でない良い暮らしができるだろう、となってくる。

しかし、お金はやりくりすれば何とかなるもの。俺はそう考えている。
お金を何とかやりくりする最強は、「お金を使わない」という方法がある。変だと思われるかもしれないけど実際俺はそう実感した。お金を使わないという手段は上に書いた「何歳まで生活できるでしょうか」の何歳をグッと伸ばす強力な武器になる。

一方で、今まで使っていた生活費を、今年から退職して引退生活するからと言って急に減らすことは無理なのだ。急にではなくて徐々にだったらできる。
「やりくり」上手を進めていくと10年経ったらかなり生活費が減っていることにきっと誰でも気づくと思う。

「やりくり」の例でよくネットで見かける生命保険などで俺のやりくりしたことは次のとおりだ。
俺は会社を辞めた当初はまだ生命保険に入っていたが、それはすぐに解約した。なぜなら生命保険は大事な一家の稼ぎ頭が死んだら残った家族を支える保険なのだが、退職した俺はもう稼ぎ頭ではない。これで生命保険のやりくりは完了した。

しかし医療保険はなかなか解約できなかった。
最近になって医療保険分を預金して「医療貯金に変えよう」と考えてついに解約。これで年間生活費は減らせた。このような『これほんとに必要なの?』は考え方が変わらない限り「要る!絶対に」となってしまうが、やがて「ほんとに要る?」を夫婦で考え話し合っていると「要らんな」と結論できる。やりくりはこんな具合に今できなくてもそのうちできることもある。

お金のやりくりはゆるい起業に限らず「あまり稼がない」暮らしにはとても大事なことなので、次の話題にも引き継いで書くことにした。

第一話 お金にまつわる話題( 2 / 5 )

今後に必要になるだろうお金は過去5年間の家計簿を熟読して将来を占う!?みたいなのが役立つ

俺は「お金のやりくり」を考えるために、俺の家庭が今後いくらの予算が必要になるのか?という問題に取り組んだ。この答えを出すに過去5年間の俺ん家の家計簿をさんざん読んだことから書き出そう。

ありがたいことに几帳面な性格の妻が毎日毎日記録していてくれた家計簿を読み漁った。5年間という長さは何も十分だとか断言できないが、あまりにも昔まで遡っても意味ないし、昨年だけとかましてや先月いくら使ったか?では「家の生活費はいくら」のまあまあ当たりの数字は出て来ない。だからとりあえす5年間分の家計簿を読書した。

俺ん家は家計簿が幸い存在したけど、みんなつけているわけでもなさそうだ。
もし家計簿つけていないのなら、今からやったらどうですかと俺は他人にも薦めたくなる。「退職」という言葉はアラ還が迫ると意識するだろうけど、誰もが辞める辞めると言って結局実際に辞めるのは65歳になっている。俺の旧友はそんな感じ。だったら60歳あたりから家計簿つけてみたら「自分家の家計はよく分かる」ハズ。

家計簿を5年間分読み込んでいくと、トンデモな出費があった事実が分かる。
例えば子供の入学、学費がデカくなった。車を買い替えた年も巨額だ。そんな出来事のような巨額出費はこの先どうなるんだろう?
貯蓄取り崩しと年金で生き、たぶん絶対にもろ手を挙げて喜ぶ大金を得ることが起きない我が「ゆるい起業」生活において、この巨額出費がこの先どうなる?は一大事である。

しかしこの想像の一大事はよく分からない。
よく分からないけど、俺は「子が結婚するときは大金要るだろうな、仮に子が30歳で結婚するとして俺の結婚式で親が出したお金は確か・・・」と胸算用しながら『ま、わかんないけどこの年にこの金額が必要になると予定表に書いておこう』はできる。

こう考えると、車だってやたら長くは乗っていれないから10年後には買い替えでこのぐらい要るとか、ウチのエアコン4台あるけど、よくもたせても15年後には総入れ替えだな、みたいに大金を叩く時期やだいたいの予想金額は見積もれる。その先には入院費とか葬儀費用もある。そういうのを全部分かるだけ表に数字を書いていく。しばらくすると「そうだ、あれもだ」と表に追加するし、年月が進んで子が賢いことにゼロ円結婚したら入れてあった結婚式費用を削除する。こんなふうにだんだん表は現実の俺の暮らしに近づいてくる。

だからこの表はエクセルなどの表計算ソフトを使い、最上段に西暦、その下に俺を妻の年齢、さらに下に年金収入など、もっと下に費目に分けた家計の今後見通しを書き込み、毎年の収入を貯蓄に足し算し、支出を引き算して合計を計算させ、その合計を今後生きているだろう齢まで全部エクセルに計算させたら「よく先々まで見える」ようになる。

こう書くと「とっても複雑ね」と訝し気な気持ちになるかもしれないが、表計算ソフトでやると、そんなことはない。

この表は「ライフプランニングシート」といい、書き方はネット検索で知ることができるし、本も売っている。
俺は退職後に通った再就職支援のセミナーで学習し、今でも俺の生活に無くてはならないバイブル的存在になっている。

俺の理想は決してやりくりを楽しむ暮らしなんかではない。
俺は自分のやりたい暮らしを実践した小原庄助さんのような生き方に近づきたいと思っている。朝はゆっくりしたいし、酒も好きだけど俺は夜にする。しかし彼の生き方はとても羨ましいが、その生き方は真似できないけ。「身上つぶした」には陥りたくはない。でもこうならないよう厳重に「やりくりしながら」だったら小原庄助さんモドキにはなれる!と思っているから、小原庄助さん精神は忘れないようにしたい。

第一話 お金にまつわる話題( 3 / 5 )

計画は、計画どおりに行くハズが無いんだ!ここに気がつくことが大事。それでそうする?こうする!

以下は、俺が気づいた重要テクニックだけど他人に話してもなぜか理解してもらえない話題を書こうと思う。
それは立てた計画をちゃんと実行するというテクニックの話。生活が破綻しないように暮らすためには「計画的に」が大事だけど、俺は立てた計画を1年間まったく変更しないで完遂させるなんて不可能だと思う。ここを何とかする方法。

計画が1年で変更になるのは、俺が三日坊主だからということではなくて「立てた計画を変えないことは悪」なのだ。ここに気が付くことがまず大事。
なぜなら立てた計画より良い考えが明後日思いつくことがある、さらに台風が来て欠航になったので旅行に行けなかったとかいう類の不足の事態も起きる。立てた計画を3か月正確に守ることはかなり難しい。

立てた計画は何も考えずに変えてしまうことは変更と言わず「頓挫」という。
だから何を俺が言いたいのかは、変えるときに「変えたことで今後のお金事情は大丈夫か」と「変えても成りたい自分になれるのか」この2つを考えて「大丈夫」なことを確認することがたいへん大事。

たとえば「よーし、今後毎年海外旅行に行くぞ」今までそんな計画無かったのに急に毎年海外旅行へ行くと毎年50万円の出費が増えるとしたら「それを10年間続けて500万円を溶かして我が家は大丈夫?」を考えなくてはいけない。俺は実際に毎年の海外旅行を決行したのだが、代わりに俺と妻の毎月2万づつのお小遣いを無し!にして旅行費を捻出した。そんなやりくりが俺の場合は必要だった。この手段があったので俺は計画に無かった毎年の海外旅行を加えた。

もしもその時に俺が「毎年50万円ならバイトして稼ぎ出してやる」と考えたらどうなったか?
俺は失業期間の終わりに「もう今後は勤めることはせず、自由にゆるい起業化として生きる」と決めた。もし俺がお金稼ぎのためにバイトを始めたら俺の成りたい「ゆるく生きる」「勤めない生活」は破綻する。なぜならバイトは勤めでありとてもゆるくなんか稼げないからだ。だからこのようなお金の捻出のための計画変更はしなかった。

計画は変更するもの、というアイデアは会社では当たり前。それを見習っただけ。
会社では毎月「経営会議」で立てた計画を議論している。「せっかく作ったこの企画書、また没かよ!経営者は何やっているんだ!」という怒号が事務所内で響くのを耳にするが、経営者はそのとき計画変更をやっているのだ。これが「立てた計画は見直して変更しないと会社はダメになる」という証拠だし、会社だけでなく家庭にも言える。

俺は会社の仕事は向いていないダメ人間だったが、会社にはいろいろ見習うべき良いところがあると思っている。
上述の「計画を変更すること」だけでなく、計画はあまり長~いものを立案してもイケナイという法則だ。長ければ長いほど先々は変更だらけになる。だから今後1年間を実行計画などと呼び「何としても!」のつもりでやっていたみたいだけどそれでもかなり変更してた。俺は家庭ではこの先1か月がガチの計画で、その先は計画未満の「ゆるい計画」、さらに1年以上先のやつは「見通し」と考えて気楽にやっている。

家庭は会社と違って競争など無いから計画はゆるくて構わない。『やってみたいなぁ』とかの夢を仮目標として入れ込んで立てる方がいい。
そしてこの先1か月は「たぶん絶対やるぞ」な計画にしてカレンダーにやることを記入して忘れない。今月がうまく行ったら来月だって同じように。ただ1年より向う側は割としょっちゅう『これはヤメにして、代わりにこれをっと』みたいにいじくっている。ただ前述した「お金は良いか?」と「成りたい俺は妨げられないか?」はいじくる都度にチェックする。

こんなやり方で俺はもうゆるい起業化で実質リタイアメントみたいな暮らし方をしているが、特に問題が起きていないから『良いやり方だ』と考えているが、友人知人にこの話をしても「ふーん」とか反応が薄いのはなんでだろう?といつも思う。

第一話 お金にまつわる話題( 4 / 5 )

俺は稼ぐよりもお金使わない工夫をする方が簡単だから、それでこの生活にしました

俺は本気で、働いてお金を稼いで楽な暮らしを手に入れるより、なるべく生活にお金使わないように日々考えて策を練り実行する方が楽チンだと真剣に考えている。


「お金をかけない暮らし」から自給自足生活を想像させるが、それより「地産地消生活」の方が俺の場合は近いと思う。

ここで言う「地産地消」の「地」は俺ん家のことで、今家にあるモノを作り替えて使えるモノを作って使う。なので作るモノは野菜とか果物を庭に植えるだけではない。タンスを机に作り替えて俺がその机で仕事する、みたいな。


最初は俺も庭で野菜栽培をしていたが、労多くして効果が乏しい。

野菜の種や苗を買って栽培した。しかし野菜は大切に育てないと虫食いになったり長雨で腐ったり、日照りで枯れるわ、肥料が要るわでお世話がたいへん。家もろくろく空けられない。そこでミツ葉とかミョウガなどホッタラカシでも育つ野菜とミカンやカキなど果物に変えた。しかし庭がそれらの植物に占領された俺は『野菜栽培とかではお金かけない暮らしはほど遠い』と思い、他の手を考えた。


俺はモノ作りが趣味だけど、工作材料を買うとお金かかるからあまり手をつけていなかった。

学生時代もそうだった。俺はオーディオの趣味もあったが家が貧乏なので昼飯食わずに貯めたお金でレコードは買えたが、アンプやプレイヤー、スピーカーは買えないので秋葉で部品買ってきて組み立てた。しかし部品買うにもお金かかる。そこで俺は当時けっこう不法投棄されていた真空管テレビを拾ってきたり、叔父からもらった古いラジオや壊れたプレーヤーから使える部品をもぎ取って自作品を作っていた。


しばらく忘れていた「もらってくる、拾ってくる、借りてくる、自分家で探す」式は退職後にまた活きた。

上記4つの入手手段で一番良いのは「自分家で探す」だ。家の不用品は減って役立つものができる。コツは見栄えを気にしないということに尽きる。機能さえあればそれでよい、この精神を持つことだ。

二番目は「もらってくる」。これで俺の工作用の工具はかなり充実を見せた。俺もこの先老いたら誰かにあげたくなるだろう。

「拾ってくる」のはあまりできない。拾ってくると妻が怒るからだ。「借りてくる」ことは今はあまりやっていない。


野菜はあまりお値段高くないけど家具とか備品は高額だから、もしそれを材料費格安で自作したら「お金使わない生活」への貢献度は大きい。

モノ作り以外でもお金を使わないことは「工夫」しだいでできる。俺は退職後に東京の実家を訪れる機会が多くなった。俺の住む関西からだと新幹線で往復するのが常套だけど、俺はマイカーで地道を夜中に走って15時間かけて往復していた。実家の駐車スペースは狭いので軽自動車に乗り換えてそれでよく通った。往復の交通費はガソリン代の約7千円。会社員の頃は「お金で時間を買う」のがステイタスだと語られていたと思うが、退職したら「時間を使ってお金を使わない」が正解だ。


このような「お金を使わない工夫」を考えて思いつくことはまるで仕事のようだ。

もうこれは俺のビジネスと言っても過言でないように思う。しかもいくら使うお金を減らして「稼いだ??」としても収入にならないから税金が増えることが無い!


もちろん退職直後からこのようなお金使わない三昧ができたわけではなく、10年をかけてだんだん腕に磨きがかかってきた。

だから、生活費は急に節約できないけど、徐々にだったら下げる工夫はできる。しかもその手段を考えることも仕事のように張り合いがあり、効果もよく分かる。ついでにインフレにも強い。


極論すれば、俺がどうしても、それでもお金を払わなければならず、全部の生活費をゼロにできない理由は「それが自分の能力では作れないから」に他ならない。

自動車や住む家は俺の能力ではどうしたって作れないから買うしか手が無いのだ。もしくは「作るのがメンドクサクなったから」ときだ。

大庭夏男
作家:大庭夏男
俺の退職 Season3(ゆるい起業家のゆるすぎ生活実態)
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