俺の退職 Season 1(退職前と直後)

Season 1の概要( 1 / 2 )

Season1は、人生の急坂である退職の直前直後それに失業中の話題

会社から退職するということは、想像以上の衝撃に襲われる。
リストラや勤める会社の倒産は、自分ではなく会社から決められてしまうから走る衝撃はとても大きい、自己都合退職なら覚悟はできているから大丈夫かと思いきや、退職届を出し終えると『ああ、ついにやっちまった』と分かっていても不安に震える。ハッピーリタイアメントの65歳退職は、俺は未経験ながらその後に名刺も肩書も消滅する変化は平穏ではないだろう。


入念に自己都合退職の正当性を考えていたとしても、退職は後悔の念に襲われる。退職するのは自分だけど、家族などの受け止めは深刻だ。
家族にどう退職を説明するのか、
会社の同僚からどういう目で見られるのか、
会社を離れたら人間関係はいったいどうなってしまうのか、
それに肝心な生活費はいったい、

こうした不安とは別に、退職につきものの行事というものがある。
同僚からの送別会への誘い、
もしかしたら子に泣かれるかもしれない家族会議、
はじめてのハローワーク通い、
何だか分からないままに国民年金保険の手続き、
誰も教えてくれないけど、こうした行事を片っ端からこなしていくことも必要だ。

こんな経験を俺は二回やった。そして『これは伝えたい』と考えたことを、退職前、退職直後、失業中に分け、それぞれ単発の話題を書いた。各話題は前後関係があるものもあるが、単発の話題も書いた。いろんな初体験が退職と同時に降り始めたのでこう書くしかなかったが、順序を作ってオムニバス風に列挙してみた。どうだろうか。

少しでも誰かの役に立てるといいんだが。

Season 1の概要( 2 / 2 )

話題リスト

第一話 激震!退職目前
  • まず、どうしてもこの話から書かなければならない「退職するときはいつも辛いよ」
  • 退職は自分勝手にいつでもできるものではないからなるべく今の会社で頑張るべきだが、どういう形でもチャンス到来ならはなしは別だ
  • アイツは退職するらしい!は、みんなが注目して俺は人気者か!?
  • ハローワークが通いなれた場所になるよう、辞める前から何度も行っといた方が役立つ
  • 危うくねんきん定期便に勘違いして、後で気付いて青い顔になる寸前だったよ
  • 高校卒業した子にかかる莫大費用を甘くみて、ほんと再就職していて胸なでおろしたはなし
  • もし病気で退職考えるなら、まずとにかく健康保険組合に傷病手当金聞くべきだと
  • 春に退職したら、きっと確定申告で得できるから、面倒でも申告した方が得

第二話 思うより多忙な退職直後
  • 辞めた会社から電話が入ったら、きっと悪い知らせと心配しなくても、電話鳴らないから大丈夫
  • 国民年金保険料は減免できると聞いて「お願いします」は後で後悔するからやめとけ!
  • 俺は退職後の一時期、減免申請書ライターになった。辛い仕事だったよ
  • 会社を辞めて散歩デビューするのに住宅街は避けよ、そして犬を連れて行け
  • みんな言ってる「退職すると住民税たいへん」は本当だから
  • 会社を辞めるついでの人間関係リセットは、切らない方がいい人を探す仕分け作業だ

第三話 何かと辛いよ失業中
  • なんで会社を辞めたら「はかない夢」を繰り返し見てしまうのだろう
  • ついに起きた!散歩中の「こんにちは事件」。なにしろ慣れないもんで
  • 会社辞めて夫婦そろって家にいれば口喧嘩に事欠かないが、これで初めてお互いが理解できるからやりまくれ
  • 家計節約のためのケチケチ作戦より、ものすごい効果があがった子の就職
  • 失業者の一日って、こんな感じ。続けているとなんだか快適になってくる
  • 失業中は町内会活動しても給付金支給額減らされること発覚!ハローワークで必死に言い訳したはなし
  • 退職者と株取り引きは非常に相性がいい。しかし株で生計立てられる人は天才だけ

次作Season2の予告 再就職しないと決めてみた人向けな話

第一話 激震!退職目前( 1 / 9 )

まず、どうしてもこの話から書かなければならない「退職するときはいつも辛いよ」

俺は46歳のとき24年勤めた会社に退職届を提出した。これが人生初めての退職だった。退職の理由として書いた文言は「一身上の理由」だったが『こう書いておけば波風立たないのでそうしたが、本音は『この会社がとても嫌になり、何も未練が無くなったから』だった。俺は退職届用紙をダウンロードし、記入すべき事項を書き上司に提出した。

その後さらに上の上司との面接があったのだが、俺は緊張で声が上ずり体も震えがきたが「もう考えは変わらないです。辞めます」と伝えた。その後トントン拍子で俺の24年の会社勤めは夢だったように消え、実にあっ気なかった気分がしたのを今もよく覚えている。会社ってこんなものだと納得した。

俺は退職より前に妻と二人の子の前に座り、これから会社を辞める決心と、生活費の蓄えのことを話したのだが、それは想像以上に強烈なショックを家族に与える結果になった。言いたかったことは「今後の生活費は大丈夫だよ」。しかし24年間も勤めた会社の退職を宣言するのは地獄を見るようなもので、妻は厳しい顔で沈黙していたが子どもは泣き出してしまった。

俺は再就職のアテも無く退職してしまったが、子に泣かれて反省し、結局知人を頼って再就職して収入をあげることができた。この後予想以上の家計支出があったから、この知人がいなかったら今頃どうして暮らしているんだろう。そのことを今思い出しても恐ろしい

二回目の退職は、転職後の会社で俺が51歳のときに勃発したリストラだった。
その会社100%外資系だがらリストラは日本流の希望退職ではなく、会社が辞めさせる者を決め、全員を面接し、辞めてもらう対象者には、それ用の説明と説得をもって退職文書にサインを求めるという形式のものだった。

いよいよ全社員相手のリストラ面接の日。
次々と同僚が会議室に入っては出てくる。リストラ対象者ではなかったようだ。そして俺の番になった。部屋の前に着くと人事担当の二人が俺を待っていた。両担当者とも俺と部屋の中に入ると言う。これでリストラ確定だと俺は悟った。

案の定、外国人の上司は緊張しきった怖い顔で向かい側に座り、英語で「あなたは今まで頑張ったけど今後あなたにやってもらう仕事がありません」と言った。二人の人事担当者はそれを通訳して俺に伝えた。そして退職条件説明に話題は移った「明日中にこの条件で退職してもらればサインしてください。賛成しない場合は・・・」確か争うことにもなり得るように言ったと思う。俺は聞き終わると部屋を出たが悪い気分は何も無かった。思ったよりも割増退職金が「出た!」からだ。

二回目の退職のときも、前回と同じように家族の前で「俺はリストラに遭う予定だから退職するしかない」と話した。しかし以前のような地獄にはならなかった。なぜか家族に免疫ができていたのだ。

卒業直前の上の子は前回の俺の退職をきっかけに『もうお父さんの収入は期待できない』と悟り、資格取得や終活に励んで立派な会社に就職した。妻は本格的にパート勤めを始め、倹約生活にも励んでくれた。そういう家族の行動は『またお父さんはやらかすだろう』という予感があったからだと思う。

しかしやはり将来の生活の不安を、特にまだ学生生活が続いていた下の子には与えてしまったようだ。子は後に妻へ「自分は大学院に進学したい気持ちはあったけど、4年で終えて就職することにした」と語ったようだ。実際教育のためのお金は十分準備していたが、詳しくは後述するけど学費減免を申請したのでこの子は我が家にお金があまり無いと思ってしまったようだ。この子の不安が時間とともに解消されるまで10年間かかってしまった。

本来なら22歳で勤め始めた会社に少なくても60歳まで勤めあげて、定年退職という恰好で「ご苦労様」と同僚にも家族にも言われる退職が目出度いのかもしれないけど、俺はあえてそれをしない退職を選んでしまった。

そうなった要因は俺の性格に問題があるからかもしれないけど、どうしても違う世界に行ってしまいたい欲求を、いつか満たしてみたい!と密に考えていたせいでもある。

第一話 激震!退職目前( 2 / 9 )

退職は自分勝手にいつでもできるものではないからなるべく今の会社で頑張るべきだが、どういう形でもチャンス到来ならはなしは別だ

会社に勤めていると嬉しいこともあれば悪いことも起きて辞めていありたい気分になることもある。俺は決して会社が嫌になっても頑張って続けて働きなさい!とは他人にアドバイスする気はないし、自分もそうしなかった。あえて書くが「時には辞めた方がいい」と断言する。

でも、突然退職は絶対マズい!と声を大にして言いたい。
突然退職とは、辞める時機を選ばずに思い立ったらとっとと辞めることで、これをやったら生活が破綻する可能性が相当高くなる。俺の第一回目自己都合退職は時機を選んだつもりがハンパだった。

時機には二種類ある。辞めるべき理由が出来た時機と、辞めた後の進むべき道が見えた時機の二つだ。
俺の第一回目自己都合退職では、辞める理由は見つかっていたが辞めてその後どうするかはまったく未知だった。そのため子を泣かせて反省して大急ぎで再就職できたから幸運にも我が家は救われたけど危ない橋を渡ってしまった。

第二回目のリストラ退職では、辞めるねき理由は「辞めろと会社に言われたから」で完璧だった。誰もが「それはしょうがないね」と言った。
辞めた後に俺は勤めるにしろ、それまでの単身赴任の多忙勤務は絶対やめにして、収入は減ってもいいからもっとゆるい仕事を探すと決めていた。

結局俺はその後に勤めないで生活する道に進んで行ったのだけど、慌てることは何も起きなかったので二回目の退職はその後が思うように転がって行けたと言って良さそうだ。

きっと誰でも自分は今はこのような生活を毎日送っているけど、そのうちにこんなことをしたいと考えているのだろう。俺はそんな「夢」をどうにか実現したいと欲していた。
そして二回目のリストラ退職を食らったとき「ひょっとしてこれがチャンス?」と閃きが起きた。その時にはまだこれがチャンスだったとしてどう活かすかまったく分からなかったけど、その後の失業と無職の2年間で「これで行けるかも!」と決め、なんとブロガーから夢だった生活スタイルを開始することになった。

後から考えると俺が遭ったリストラ退職は、やっぱりチャンスであって「幸せの赤い羽根を掴む絶好の時機だったと感じている。
あのときにリストラというショッキングな出来事は当然に「辛い顔」をしてやって来た。それがチャンスだなんて思えないかもしれないけど、チャンスはいつも「嬉しい顔」してやって来ることは無い。多分だけど「辛い顔」した出来事の方がたくさん身の回りに起きるだろう。

俺は「逆境にも屈せず立ちむかえ」という言葉は嫌いだ。
そうではなく「逆境は考えようによっては自分の行きたい方向へ行くためのチャンスに”すり替えることができ”るかもしれない」と考えるのがその後に上手く事を運ぶ秘訣なのではないかと思っている。

退職とはそのような逆境の一つで、それはチャンスにもすり替えられる。
人はなかなか自分から働き方や暮らし方を変えることが得意ではないいきものだと思うけど、退職したら強制的に働き方も暮らしも変わってしまうから、退職とはそれを利用して思う働き方や暮らし方に変えてしまう推進剤にできる可能性を秘めている。

前のページで退職はとても辛いと書いたけど、それは事実で受け入れなければしょうがない。しかし辛いから今までと同じような働き方や暮らし方を模索する、という対策も否定はしないけど、この時機を活用することもやっていいのではないかなと俺は考えている。だけど俺の姿は必ずしも万人受けするものでもないかもしれないが、俺これから書いていくつかの「すり替え行動」は誰かの参考になったらと思う。
大庭夏男
作家:大庭夏男
俺の退職 Season 1(退職前と直後)
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