【TRPGリプレイ】『ETERNAL BLAZE-超えよ限界、燃えよ魂-』第1話

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◆ Opening 03 ◆ 古参兵、出撃の時

◆ Opening 03 ◆ 古参兵、出撃の時   ――Scene Player:鷲見津 剛生

GM:3シーン目。プレイヤーは剛生です。
剛生:ああ、了解。(ダイスを振る)侵蝕値を上昇させたぞ。
GM:君がUGN筑波支部の訓練施設で教官として訓練生を指導しているシーンだ。
剛生:なるほど。では、腕立て伏せをしている訓練生たちを叱咤しよう。オラオラ、声が小さいぞ! そんなことじゃ、戦場で一番に死んじまうぞ! このチキンども!
訓練生:コードウェール、イーズ、サノバビーッチ!(一同爆笑)
剛生:声が小さいぞ!
訓練生:コードウェール、イーズ、サノバビーッチ!(←他のPCたちも一緒に合唱)
剛生:そうだ、その調子だ。そのまま腕立て1000回。オーヴァードっつっても身体が資本だ。鍛えるだけ鍛えとけ!
GM:そうしていると訓練生の一人が「ジョン・ウェイン気取りかよ、ケッ!」と言うよ。
剛生:俺は「ハヌマーン」だからな、音に関してはそれなりに正確に聞ける。では、何かを言った訓練生にずいっと顔を近付けて言おう。ん? 今、何か行ったか、貴様?
訓練生:何も言っておりませんが? 
剛生:ん~、なんかイヂめたい(笑)。(一同爆笑)
訓練生:何を仰りたいのかわかりません。
剛生:そうか? 俺には何か教官をナメくさったようなことを言ったように聞こえたが?
GM:あくまでシラをきるようだね。
剛生:別に、俺に対して暴言を吐くのは構わない。だがな、上官に逆らう奴は戦場では真っ先に死ぬ――俺はな、俺の生徒を死なせるのは御免なんだよ。
GM:しかし、訓練生は開き直った挙句、ニヤッと笑って言い直す。
訓練生:失礼しました、教官。訂正させていただきます――シュワルツネッガー気取りかよ、ケッ!
道久:ハハハハハ! って笑い声が後ろからあがる。(←訓練生A)
椿女:聞いたかよ! 今の!(←訓練生B)
ボナ:ハッ! シュワルツネッガーだってよ!(←訓練生C)
道久:あんなのヨボヨボのジジイじゃねぇかよ!(←訓練生A)
ボナ:州知事ですかぁ~?(←訓練生C)
剛生:うわぁ、集中攻撃だ(笑)。どうしたもんかな、うん。取りあえず一発殴っておこうか(笑)。
GM:了解。訓練生は口端から血を流して倒れる。
剛生:お前等が死にたいのなら話は別だが、生憎とこっちはお前等を死なせないことも仕事に入ってる。せいぜい、言う事を聞いてくれないか?
GM:その訓練生は立ちあがると、バカにしたようにニヤッと笑い、わざとらしく口元を拭う。
訓練生:死なせないも何も、アンタの下に配属になった時点で死亡確定なんだから、いまさら死なせないも何もあったもんじゃあないでしょうが?
剛生:胸倉を掴んで顔を近付け、鷲のような鋭い眼光で睨みつける。
訓練生:そんな目はですね、一人も生徒を死なせなかった人間しかしちゃあいけないんですよ。
剛生:何だと?
訓練生:過去に誰かを死なせたトラウマで力が出せるなんてのは、それこそムービーのヒーローだけなんですよ。だからアンタはシュワルツネッガー気取りかって聞いてるんです。
剛生:違いないな。だが、たとえシュワルツネッガー気取りだろうと何だろうと、俺は貴様等を死なせるつもりはない。絶対にだ。だから――俺の言う事を聞け。
訓練生:じゃあ、そういうことにしておきますよ。
GM:そう言って彼は剛生の腕を払うと、腕立てを再開する。
剛生:胸ポットから煙草を取り出して一服するか。まったく……今日びの若者ってのは。だが、俺はもうこいつ等を死なせはしない――絶対に。
GM:するとドアが開いて、霧谷と副官のローザ・バスカヴィルが現れる。
霧谷:お、やってますね。
剛生:どうかなさいましたか、“リヴァイアサン”?
霧谷:今日はあなたに重要な話がありましてね。
剛生:ほう、重要な話とは?
霧谷:貴方に戦線復帰の話を持って来ました。
剛生:戦線復帰?
霧谷:貴方も御存じと思いますが、今のUGNはとても戦力不足です。マスター・グラトニーにより組織は大打撃を受け、しかもそれに乗じて他の有力なFHのセルが一斉に攻撃を仕掛けてきた。今、UGNはその攻勢に対して何とか持ちこたえるだけで精一杯――。
剛生:既に話は聞いている。確かに、戦力不足というのも頷けるな。
霧谷:ええ。現状では、動かせる人員はそう多くはない。しかも、この未曽有の危機に対処できる人員となると尚更。そこで歴戦の勇士にして、現在は名教官として知られる貴方に戦線復帰をお願いしに来たというわけです。
剛生:こんな老いぼれに何ができるのかとんと判りませんが。“リヴァイアサン”、あんたが見出したのならば、俺がそこに行く意味もあるのでしょう。
霧谷:ええ。貴方でなければできない仕事です。一つは新たに支部長となって現場で指揮を執ること、もう一つは、とある出来損ないのオーヴァードを一人前の戦力として使えるように鍛えること。
GM:ここでプロフィールが記された書類に添付された写真という形で道久が先行登場する。
道久:じゃあ、その写真はピースサインして写ってるってことで。
剛生:コードネームは“ドードー”と“雪月花”……いや、これが話に聞いた“アブソリュート・ゼロ”か。
霧谷:一線を退いた貴方の耳にも入るとは。流石にエリートオーヴァードの名前は広く轟いているようですね。
剛生:ま、この“オールドイーグル”の耳に入るくらいは優秀な人材なんだろう。
GM:そこまで説明すると、霧谷は少し顔を曇らせて、続きを話します。
霧谷:しかし、いくら組織の決定とはいえ、私は貴方にこの仕事を頼む事に関しては気が進みません。何故なら、マスター・グラトニーに同行しているのは、あのマスター・ミザリィだからです。
剛生:すると少し目を細める。
GM:すると、霧谷の傍らにたっていたローザが無遠慮に口を開き始める。
ローザ:今でこそ“オールドイーグル”と呼ばれているが、かつては“ワイルドイーグル”と呼ばれたほどの名支部長にして“名将”の二つ名をとったほどの人材。しかし、一人の訓練生を死なせ、その上、指揮していた部隊も大打撃を被ったことにより一線を退き教官となった人物――鷲見津剛生。
剛生:黙って聞いていよう。
ローザ:その原因となった人物こそ、当時若干13歳だった少女……マスター・ミザリィ。13歳の少女の術中にいいように嵌められ、その結果訓練生の命と部隊を失った人物、それが“ワイルドーグル” 鷲見津剛しょ――。
GM:彼女がそこまで言いかけた時、珍しく声を荒げた霧谷が割って入る。
霧谷:ミズ・バスカヴィル! 少しは遠慮というものを!
剛生:では、更にそれを遮ろう。“リヴァイアサン”。いや、いいんだ。彼女の言っていることは確かに事実だ。俺が生徒を死なせてしまったのも、随分と有名なようだな――。
GM:では、ここでトラウマシーンが静止画でフラッシュバック。画像は白黒。雨の中で剛生が一人の訓練生を抱きかかえている風景だと思ってください。その周りには、怪我をした隊員たちが大量にいる。
剛生:了解した。一瞬、過去を回想しているということだな。
GM:そうです。そして、雨の中で濡れた髪を顔に貼りつかせながら、学生服の少女が口元を歪めている。彼女の口元にカメラがズームアップしたところでフラッシュバック終了です。
霧谷:どうしてもこの仕事を断りたいというのであれば断ってくださっても構いません。貴方の教官としての働きは存じております。貴方なら、教官としても組織、ひいては世界に貢献できる。
剛生:ここで煙草を一息吹かしながら言う。マスター・ミザリィ……この任務があの時の償い、いや、贖いになるというのなら――いいでしょう。この仕事、受けます。
霧谷:ありがとうございます。では、早速支部の方へ――。
 

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◆ Opening 04 ◆ 次なる戦場

◆ Opening 04 ◆ 次なる戦場     ――Scene Player:ボナ・ドロル
GM:では次のシーン。シーンプレイヤーはボナだ。
ボナ:あいよ。(ダイスを振る)侵蝕値を上昇させたよ。
GM:紛争地帯でボナが戦いを終えた所に、丁度良くヘリが着陸し、アッシュが訪ねてくる。
アッシュ:ヘイ! ミズ・ドロル!
ボナ:それには手を挙げて応えるよ。ミスター、頼まれてた仕事は終わったよ。
アッシュ:流石はプロフェッショナルだ。報酬は契約通りスイス銀行の口座に振り込んでおいた。
ボナ:あんたは話が早くて助かるよ。
アッシュ:ビジネスというのはスマートにいかなくてはね。それで、私がここに来た事で察しているとは思うが――。
ボナ:新しい仕事かい? 
アッシュ:ああ。早速、君に次の仕事を頼みたい。
ボナ:やっぱりね。次はどこさね?
アッシュ:日本だ。君には、FHのとある強力なチルドレンとの戦いに参加してもらう。
ボナ:了解。で、アタシはいくら貰えるんだい?
アッシュ:いつも通り、倒した敵オーヴァードおよびジャームの侵蝕値に応じて、だ。報酬はスイス銀行の口座に振り込もう。
ボナ:いいねぇ。そういう判り易いの、嫌いじゃないよ。その仕事、乗ったね。
GM:ではアッシュが、額面の所に『[倒した敵の侵蝕率]万円』の旨が書かれた小切手とレネゲイド・チェッカーを予備含め三つくれる。
アッシュ:ひとまず日本に向かい、新たな人員により再始動された、とある支部に向かってくれ。
ボナ:とある支部?
アッシュ:君達の言葉で言う所の前線基地の役割を担う支部だ。詳細な指示は現地の指揮官に確認してくれ。
GM:それだけ言うと、用件を済ませたアッシュはヘリで帰っていく。
ボナ:了解。なら、小切手とチェッカーを懐にしまって一人呟くよ。さぁて、今回はどれだけ稼げるかねぇ――。

OP( 5 / 5 )

◆ Opening 05 ◆ 秘密の友達、秘密の鍛錬

◆ Opening 05 ◆ 秘密の友達、秘密の鍛錬     ――Scene Player:堂本 道久

GM:おまたせしました。遂に道久のシーンです。
道久:おす! じゃあ早速、侵蝕値のダイスを振るぜ!(ダイスを振る)
GM:夜の河川敷の高架下。時折電車が通る中、君とアヤノがそれぞれ秘密の自主トレをしている所からシーン開始だ。
道久:やっぱりアヤノはギターの練習してるのか?
GM:はい。夜中まで電車が通るから、うるさくなるのが前提という上に、その関係で周囲に家がないから音を出して練習ができる、と。ちなみに、アヤノはセミロングの髪でニットベストにチェックのミニスカ、紺のハイソックスとローファーという格好です。
道久:なるほど。
GM:普段は下ろしてるんですけど、ギターを弾く時はアップヘアにする。
道久:いいな、それ。何かグッときた。
GM:道久もここなら人がいないからという理由で能力の鍛錬場所に選んだわけですが、そのおかげで出会った、と。それから二人は秘密の友達という関係にあると思ってください。
道久:了解したぜ。ちなみに、アヤノの歌って上手くなってきてるのか?
GM:出会った頃に比べれば割と。まだ声も変に震えてたりしますし、ギターも荒削りですけど、段々と上達してきているのが道久にも判ります。
道久:そうか。なら、一曲終わった所でアヤノに声をかけよう。だいぶマシになってきたんじゃないか? 最初よりはちゃんと聞ける。
GM:アヤノはギターを大事そうに抱えながら、はにかんだような表情で応える。ちなみに彼女のギターはゴミ捨て場から拾ってきたのを補修し、磨いて使っているので音もどこかひずんでいたりするが、彼女の懸命な努力のおかげで何とかなっているようだ。
アヤノ:ありがとう。そう言ってくれると嬉しいっす。
道久:もうちょっと可愛い喋り方でさ、なんてーの、媚を売るってのも必要なんじゃないか?
アヤノ:ああ、いや……その。あたし、そういうの苦手なんすよ。あははは……。
GM:そういって恥ずかしそうに後頭部をかく。
道久:アヤノってさ、自信なさそうにしてるけど可愛いんだから、そういうこともやってかないと聴いてくれる人いないぜ?
GM:『可愛い』という一言でアヤノはピクッ! と一瞬震えた後に動きが止まる。
アヤノ:あわわわ……冗談、やめた方がいいっすよ……。
道久:いや、全然冗談じゃないから。
アヤノ:ん、えへん……!(わざとらしく咳払い) そういう道久くんはどうなんすか? また火出してましたけど? このままいけば、漫画みたいにズギューン! ってすごい火が出せるとか?
道久:こればっかりはなぁ……。知っての通り、ようやくライター程度だからな。
アヤノ:従兄弟の漫画を見せてもらって知ったんすけど、そういう能力って生まれつきのものらしいっすから。その時点で道久くんには才能があるってことっすよ。
GM:そこまで言ってアヤノはため息を吐く。そして、平手を広げて道久に見せながら言う。
アヤノ:ほら、あたし……手もちっちゃいし、指も短いから弦にも届きにくくて……だから、生まれつきの才能なら、あたしに比べて道久くんは恵まれてるっすから、きっとあたしよりも、才能はあるっす。
道久:才能ねぇ――俺さ、才能ってそんな大事なもんじゃないと思うんだ。今から俺達は努力してやりたいことの為に突っ走る。そうすりゃ……上手くいくんじゃね?
アヤノ:そうっすかね……?
GM:そう言ってアヤノはチューニングをはじめる。
道久:とにかく自信を持つこと。そうやって背中を丸めてたら可愛い顔が台無しだぜ?
GM:すると彼女は再びピクッ! と大きく震えた後、ガクガクと小刻みに震えながら棒読み気味に言う。
アヤノ:そうだーみてくださいよーみちひさくん、このあいだ、すててあったぴっくをひろったから、ぴっくをしんちょうしたっす。
道久:ははははは(笑)。
GM:ちなみに、アヤノは顔真っ赤になってます。
道久:やっぱり可愛い。ああ~もうちょっと自信を持ってくれたらなぁ~。ボソリと言うぜ。
GM:では、シーン終了です。

 

 

 ある人は言っていた。
 ――オーヴァードは総じて超越者だって。
 ……違うね。
 オレはオーヴァードだけど、多分……一般人にもケンカで負ける。


 ある人は言っていた。
 ――オーヴァードになれば火山みたいな炎。
 ――吹雪みたいな冷気。
 ――そして、豪雷みたいな電撃。
 そうしたものを、誰もが簡単に出せるようになるって。
 ……違うね。
 オレはオーヴァードだけどマッチ一本程度の炎しか出せない出来損ない。
   

 ある人は言っていた。
 ――オーヴァードは努力とは無縁の存在だって。
 ……違うね。
 オレは出来損ない――だから努力する。

 ある人は言っていた。
 ――レネゲイドの前に努力は無駄だって。
 ……違うね。
 

 ――今日はマッチ棒程度でも明日はライター。
 ――そのまた明日はライターから焚火くらいに。
 ――いつかは火山だって超えてやる。
 

 何度吹き消されても、それより多く燃やすんだ。
 ――吹き消される度に熱く。
 ――揉み消される度に激しく。
 何度だって燃やしてやるぜ――。
 だから……レネゲイドの前でも努力は無駄じゃない。
  

 Double Cross The 3rd Edition
『Eternal Blaze―越えよ限界、燃えよ魂(邦題)―』
 越えるぜ限界ッ! 燃やすぜ魂ッ!

Middle( 1 / 13 )

◆ Middle 01 ◆ 異能者、ここに集う

◆ Middle 01 ◆ 異能者、ここに集う    ――Scene Player:鷲見津 剛生
 
 新たに集った人員たちによって、人のいなくなった支部は僅かずつだが活況を取り戻しはじめていた。
 支部長にかつての名将――剛生を迎え、遂に支部は再始動の時を迎える。
 人員たちがせっせと動く中、支部長室の執務卓は新たな主を受け入れていた。
 
GM:というわけで6シーン目。シーンプレイヤーは剛生。君が新たに支部長として赴任してくるシーンだ。
剛生:了解。(ダイスを振る)侵蝕値を上げたぞ。
GM:君が支部長室のデスクで資料を確認しているとハイヒールの音とノックの音がする。
剛生:椅子に座ってコーヒーを飲んでいる所にその人が来る感じで。どうぞ。開いている。
GM:では、「失礼します」という柔らかい女声が聞こえた後で、一人の女性が入ってくる。彼女の名前は榊ユキ。落ち着いた色の茶髪をポニーテールをシュシュで纏めた、包容力のありそうな美人で、歳の頃は二十代後半といったところ。白衣が似合う人だ。
ユキ:はじめまして。貴方の副官を務めさせていただきます榊ユキです。この支部のメディカルスタッフも兼任しておりますので、何かありましたらお気軽にどうぞ。
剛生:俺は鷲見津剛生。コードネームは“オールドイーグル”だ。
GM:ユキは君に綺麗な手をすっと差し出してくる。
剛生:無骨で豆だらけになった手を出して握手しよう。
ユキ:宜しくお願いします、支部長。
剛生:ああ。宜しく頼む。
ユキ:他にもこの支部に派遣されてきた方が到着したようです。紹介してもよろしいでしょうか?
剛生:ああ。構わんよ。そう言って頷こう。
ユキ:(室外に向かって)二人とも、入ってきて。
ボナ:登場するよ。だるそうに入ってくる。(ダイスを振る)振舞いはだるそうだが、侵蝕値はすごい上がった(笑)。
椿女:わたしも登場します。(ダイスを振る)わたしの方は2しか上がらない(笑)。
剛生:予め貰っていた資料の顔写真と比べながら二人を見る。
椿女:本日より配属されました道本椿女と申します。鷲見津支部長、よろしくお願い致します。
ボナ:アタシはボナ・ドロルだ。よろしくな。
剛生:かのご高名な“アブソリュート・ゼロ”――道本椿女か。それとそちらは“ウェルスペイン”――ボナ・ドロル……なるほど、金に汚いようだね。
椿女:その名前で呼ばないでください。嫌いなんです。
剛生:これは失礼した。非礼を詫びよう。許してくれ、“雪月花”。
ボナ:剛生の言葉に対しては嬉しそうに笑うさね。

剛生:“ウェルスペイン”、君のような手合いは以前にも組んだ事がある――金に細かいが能力はある人間だ。俺もそういう人間は十分使い勝手があると思っている。期待しているよ。
ボナ:ニヤッと笑って言うよ。ま、貰った分の働きはするよ。
剛生:まぁ、金がある間は信頼できる手合いだろう。それと、ユキに一つ聞いておくことがある。
ユキ:何か?
剛生:後一人来る予定のようだが、それについてはどうなっている?
ユキ:彼ですか? 彼は本来この支部の戦力には入っていなくて、(言いにくそうに)その、能力が能力なもので……イリーガルとして登用されることもなく、ただの監視対象という扱いになっていたもので、本日は招聘されなかったものかと。
GM:そう言って、剛生が読み終えた資料を椿女に渡す。
ユキ:椿女さん、転校手続きは済ませてあります。明日学校で彼――堂本道久君と接触し、訓練の呼び出しをかけておいてください。
椿女:資料を受け取って眺めながら呟きます。堂本……道久……。
剛生:資料を読む限りでは、俺はウェルスペインと組んで“マスター・グラトニー”、“ミザリィ”の両名の討伐にあたればいいんだな?
ユキ:はい。本部からはそう通達されています。
剛生:そして、その戦力として使い物になるように“アブソリュート・ゼロ”、そしてこの“ドードー”という少年か……彼等の教官も努めればいい、と?
ユキ:はい。その通りです。
ボナ:いやぁ、八面六臂の活躍だねぇ。結構貰ってるのかい?
剛生:金なんて俺にとってはどうでもいいことだ。ただ俺にとっては仲間が死なず、そしてUGNが掲げる正義が全うされればそれで十分さ。
ボナ:ハッ! 正義――か。便利な言葉だね。
剛生:確かに綺麗事だということは解っているがな。だが、綺麗事で済ませた方が世の中何事も良い、そうは思わないか?
ボナ:済むならねぇ。そう言って呆れたような目で剛生を見る。
剛生:まぁ、いいだろう。“ウェルスペイン”、君に関しては金が繋がっているうちは俺の手駒として動いてくるんだろう?
ボナ:その辺は任せな。ビジネスライクにね。
剛生:なら、互いの主義主張は大して関係ないだろう。言葉を尽くした所で関係が悪化するだけだろうからな。その分、金払いは保障する。
ボナ:それを聞いて笑う。それが聞ければ十分さね。
剛生:では、タバコ(アメリカンスピリッツ)を取り出して吸いながら窓の外を眺める所でシーンを終了しよう。

本塚届
作家:加々見繍
【TRPGリプレイ】『ETERNAL BLAZE-超えよ限界、燃えよ魂-』第1話
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