エボリューションマン -英雄達の峡谷-

  堤 獎兵は、両掌を地に付けていた。
  顔から落ちる汗や血が、スローモーションのように目に見えていた。
「フー・・・、フー・・・」
  乱れた息遣いが聞こえる。
(殺・ら・れ・る・・・・・・!?)
  銃器や槍や刀や斧やハーケン(三日月状の柄の長い鎌)などを持ったシルバーの機械兵士ら、大勢の敵に囲まれる。 
 
 目には、汚い水溜まりと、ドス黒く茶色い土が見えていた。
「フー・・・、フー・・・、フー・・・・・・」
 グサッ、グサッ、グサッ。
「うっ・・・・・・ウウ・ウ~・・・・・・」
 
 ドサッ。

「・・・・・・―フ、・・・・・・―フ、・・・・・・―フ」

  。ッサド

「・・・・・・~ウ・ウウ、・・・・・・ っう」

(?!・・・・・・ル・レ・ラ・ ヤ・・・・・・)

「?!・・・・・・―フ、・・・・・・―フ」

「・・・・・・ル・テ・シ・愛・・・・・・├┿┗┳・・・・・・∋Θ£⊆・・・・・・」

(ル・テ・シ・イ・ア)

 どきドキ・・・どキドき・・・DO・・・KI ・・・doki・・・・・do・・・・・・ki・・・・・・------

 立体ホログラム映像を見ていた。
「こいつですか、この星のリーダーは」
「たぶんな・・・・・・!?」
「多才で優れた才能の持ち主・・・だそうですね」
「ウンッ」
「凄まじい戦いぶりだったみたいですね。 最後は、爆破されて姿も何も無いのに・・・・・・そして痛いげに刺された槍だけが、その場に・・・・・・」
 目をしかめた。
「・・・やり方が・・・ムゴイですね・・・!?」


 人間達は、人類の存続を掛けて世界中に応援を呼びかけ、ニューヨークに兵士や傭兵をや戦う能力のある者を総動入させていた。

 戦車・ヘリ・戦闘機・爆撃機・ミサイル・武器類・・・・・・etc 戦う事・戦争する事が普通!?に成ってしまっていた・・・・・・次第に悪化していく戦場がそこにあった。

 もうこの頃には、脅しの《カウントダウン》なんて関係なくなってきていた。

  IN THE MIDST OF THE WAR. (戦争の真っ只中) ボタン戦争から 《NO END WAR・終止符の無い、死なない永遠戦争・楽しむゲーム感覚の戦争》 に入って行く・・・・・・。

 敵は、負けそうな雰囲気に成ると、異次元に飛ばし、罠を張り、大勢で潰しに掛かって制圧していた。

 敵のカモフラージュ立体映像や異次元移動により、ミサイルや弾も無駄になる。

 また中には、一匹で動く狙撃手や暗殺者もいた。 勿論 罠もあり、地雷やエアー型地雷や紙型爆弾、そして自爆機械兵士もいた。

 圧倒されたのは、”死なないナノ兵士達やゾンビ型兵士達だった” ミサイルやナイフで対戦しても死なないし、分散してりしては、元に戻り死ぬ事がなかった。

 命がある人間達は、おのずと劣勢に追いやられていった。

 あまりの勢いで敗戦や後退をよぎなくされ、困惑し、額に汗を流す司令室の人々達。

 計画がことごとく駄目に成り、次第に支持を出せなくなる。

 そして・・・・・・両腕を組み・・・・・・うなり・・・・・・無口に成っていった。 ・・・・・・頭を痛める・・・・・・。

  それは、瞬きをした一瞬に起こった。
  地響き、雷の豪音、雷、霧状の雨、曇天、晴天、虹、異常天候に全ての生き物が天を見上げた。

  そして眩しいばかりの十字!?の光、刺すような強い日差し。
  全ての生き物が、合わせたように掌をかざす。
  笑ってしまうような条件反射が練習もせずに同時に行われた。

  轟音と共に荷を積み過ぎて摩擦音を鳴らした大型トレーラーが中央付近の大型ガソリンスタンドにいる怪物共に近付いて行った。
「ヤー・・・フォッ・・・!? 敵に気を付けろよ・・・2・1!?」
  スタンドに入る寸前に爆破リモートボタンを親指で押した。
  急ハンドルを切り、急ブレーキをかけ、ジャックナイフを起こす。

  轟音と荒れ狂った炎が一気に広がる。 十台の車が生きているみたいに予測不可能に、四方八方な方向に怪物達目掛けて飛び転がって行った。

「ウッウ〜・・・!?」  アクション映画のような凄まじい映像と気を引かれる音や圧倒される轟音に怪物達は、トレーラーの方を見た。

  バゴーン、バゴバゴッ、ドゴゴーン。  ボーリングのピンのごとくピラミッド式に怪物達が炎の高波に飲み込まれ、飛散していった。

  一息ついたトレーラーから、サムライが一人、炎に包まれた怪物達の方にゆっくりと歩いて近付いて行った。

  高い所から、怪物達を覗き見ていた奴もいた。
「さて、そろっと行こうかな〜!?」
  カチッ、ブルルンッルン〜・・・・・・。
 
 バリ〜ッン、ドドド〜・・・キュー・・・・・・〜ン、ドドッ、バリバリバリ〜。
  怪物達は、ビルのガラス窓を多く割って出て来たサイドカーを見ていた。
  隕石みたいに降って来てダーツの中心に落ちる。

  いっぱいに詰め込んだプラスチック爆弾が大爆発を起こした。
  それを中空で開いたパラグライダーから見ていた。 翼には、『have a nice day?』という文字とウィンクしたスマイルマークが描かれていた。

 揺られながら、窓や壁面をスケート靴のエッジで摩擦火花を出しながら下降して行き、ダーツの高得点を捕らえた。
  ハーネス類を外して、燃え盛る火の中から出て来て敵に戦いを挑んで行く。

 空に逆さの黒い海賊船がいた付近の下が、爆発し、真っ赤な炎と黒い煙が立ち昇っていた。
 そして遠くの方では、好奇心や興味を持った若者が一人また一人と、ビル内から出て来ていた。
 今では、危険とされる路上が見物客の溜まり場と成っていた。

「ちょっと御免なさいね。 あ~あ~、すみませんね~」
 若者ばかりが集まっている中 右に杖をつき、腰を曲げたお年寄りが、中程から前に出て来た。
 止まり、やや腰を伸ばし、顔を上げた。

「お~おっ、恐い恐い」
 そう言って両目をつむって両手を合わせたのだった。
「お爺ちゃん、そこ危ないよっ、こっちに来てなよ」
 みんなが、そう感じお爺ちゃんを見ていたのだった。
 視線を独占する。
「お~いっ、お爺ちゃん。 何だ耳遠くて聞こえないのか~!?」
「いいや、放っておけ~、ジジィは、先が短いんだから、放って置けばいいんだっ」
「今が楽に死に時かもな~、俺達も先行きが判らない身だからな~」
「早くあっちに行っちゃいなっ、心配して損したぜっ」
 語気を荒げて唾を吐く若者達がいた。

 爺さんは、目を開き、頭を上げ、両手を下ろした。 後ろを向いて若者方に頭を下げた。
 右頬の前から口の前まで空中にマイクが現れる。
「それじゃ~、そろそろ行くとするか~」
 前に両腕を伸ばし、にぎり、腰が浮き!?足が浮いた!?

 ウィーン、ビーン、シュッシュルー、あっという間に体とバイク!?が一体化したようなカプセル型か、カタツムリ型といった風貌のマシーンが若者達の前に現れていた。
「スッ、スゲー・・・」
「・・・・・・」
「ワッ、ワオ~・・・・・・カッ、格好イイ~」
「小さなシンデレラカー( かぼちゃ車 )かっ!?」

 ぷぁプアアァ~、とクラクションを鳴らして光と排気音とタイヤの摩擦跡を残して疾走して行った。
 豪風を若者に吹き掛ける。

 ヘッドライトの光だけが荒れ崩れた地面を駆けるバイクの行方を教えてくれていた。
 バイクが細く変形したり、バイク自体が生き物のように伸縮して動いたり、前から順番に場所場所で縦から横に変形したりした。 人間界の現状では、有り得ない動き方をした。
 雷みたいにあり得ない鋭角に凄い速さで疾走して行く。
 また変貌した。 紙のような薄さに成り、空気抵抗を無くした。 更に速く更に鋭角に曲線に成って疾走して行く。 全くあり得ない床体操風のリボン状の軌跡。

 ズドンッ、バリバリバリ~、メシメシメシ~、シ~・シ~・・・シ~・・・・・・!?
「あッ、イケね~、ハンドル操作ミス!・・・ハハ~!?」
 また改めて荒れた道!?を走って行く。

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
エボリューションマン -英雄達の峡谷-
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