空に逆さの黒い海賊船がいた付近の下が、爆発し、真っ赤な炎と黒い煙が立ち昇っていた。
そして遠くの方では、好奇心や興味を持った若者が一人また一人と、ビル内から出て来ていた。
今では、危険とされる路上が見物客の溜まり場と成っていた。
「ちょっと御免なさいね。 あ~あ~、すみませんね~」
若者ばかりが集まっている中 右に杖をつき、腰を曲げたお年寄りが、中程から前に出て来た。
止まり、やや腰を伸ばし、顔を上げた。
「お~おっ、恐い恐い」
そう言って両目をつむって両手を合わせたのだった。
「お爺ちゃん、そこ危ないよっ、こっちに来てなよ」
みんなが、そう感じお爺ちゃんを見ていたのだった。
視線を独占する。
「お~いっ、お爺ちゃん。 何だ耳遠くて聞こえないのか~!?」
「いいや、放っておけ~、ジジィは、先が短いんだから、放って置けばいいんだっ」
「今が楽に死に時かもな~、俺達も先行きが判らない身だからな~」
「早くあっちに行っちゃいなっ、心配して損したぜっ」
語気を荒げて唾を吐く若者達がいた。
爺さんは、目を開き、頭を上げ、両手を下ろした。 後ろを向いて若者方に頭を下げた。
右頬の前から口の前まで空中にマイクが現れる。
「それじゃ~、そろそろ行くとするか~」
前に両腕を伸ばし、にぎり、腰が浮き!?足が浮いた!?
ウィーン、ビーン、シュッシュルー、あっという間に体とバイク!?が一体化したようなカプセル型か、カタツムリ型といった風貌のマシーンが若者達の前に現れていた。
「スッ、スゲー・・・」
「・・・・・・」
「ワッ、ワオ~・・・・・・カッ、格好イイ~」
「小さなシンデレラカー( かぼちゃ車 )かっ!?」
ぷぁプアアァ~、とクラクションを鳴らして光と排気音とタイヤの摩擦跡を残して疾走して行った。
豪風を若者に吹き掛ける。
ヘッドライトの光だけが荒れ崩れた地面を駆けるバイクの行方を教えてくれていた。
バイクが細く変形したり、バイク自体が生き物のように伸縮して動いたり、前から順番に場所場所で縦から横に変形したりした。 人間界の現状では、有り得ない動き方をした。
雷みたいにあり得ない鋭角に凄い速さで疾走して行く。
また変貌した。 紙のような薄さに成り、空気抵抗を無くした。 更に速く更に鋭角に曲線に成って疾走して行く。 全くあり得ない床体操風のリボン状の軌跡。
ズドンッ、バリバリバリ~、メシメシメシ~、シ~・シ~・・・シ~・・・・・・!?
「あッ、イケね~、ハンドル操作ミス!・・・ハハ~!?」
また改めて荒れた道!?を走って行く。
人間みたいに血の気の多い?暇?なチンピラチックなヤカラの怪物達が数人、地上をふらついていた。
魂なのか!?気力なのか!?運命力なのか!?その他の力!?なのか、地上で影か、霧や砂状の超微粒子が、人類の立ち上がる迄の進化論みたいに人間らしき形をいつしか創り上げ、ゆっくりゆっくりとある目的場所があるみたいに歩き出していた。
それをチンピラチックなヤカラ達が、見つけたのだった。 遊ぶオモチャを見つけたかのように 口元を上げる、視線をロックする、睨みをきかせる。
そして目標に向かって方向を変える。
やがて早足に変わっていった。
周りを取り囲む。 歩いている奴に指先でイチャモンをつける。 ゴロをまく。 掌で肩をおす。 だが何も変わらなかった。 顔や胸を拳で殴る、腰や足を蹴り飛ばす。 しかし、全く超微粒子は、進む事を変えず、形を再生し目的地を目指していた。
空気みたいな物体もあまりにしつこい行動に頬や顎を掌で衝撃を与えたり、ももから下を蹴ったりしてヤカラを倒していた。 一時でも交戦を避けたりする。
次第に怪物が四人から八人、十六人、三十二匹と増えていった。 武道の師範みたいに強かった。
苛立ちがお互いに感じられる。
・・・・・・六十四、百二十八匹・・・・・・。
敵が多く乱れ出て来た。 超微粒子の奴も分身して地球上には、十二人と数を増やして来ていた。 物体対微粒子や微粒子対微粒子では、激しく戦い合うだけで、お互いに死者を出す事は、永久的になかった。
※ 「何物なんだ、奴は!?」
※「何者なんだ、アイツは、何をしようとしているんだ!? 何を起こそうとしているんだ!!」
霧忍者は、縦横無尽、四方八方に動いてみたり、交じったり、消えたりして一番始めに現れた奴が、誰だか判らなく成ってきていた。
もとのスーパーDMA!?が分からない、解らない!? みんなが見失っていた。
目的地まで三百メートル位の所でス~・・・ストンッ という感じで中空から、超微粒子人間が形作られ、膝を曲げ着地、そして敵が判らない所で再びゆっく~りと歩き始めたのだった。
トレーラーの人!とパラグライダーの人?がコピーを創り、敵と戦わせてる中 立ち話をしていた。
「オッ、いつまでもサボっているな!?」
「チェッ、お前が来る少し前に変わったばかりだよ・・・」
「エ~、ホントかよ~!?・・・」
「本当だよっ・・・」
「オイオイッ、そんなに語気を強めるなよ~、判った、分かったよ~、俺が悪かったっ、悪かったよ~」
「フーッ、判ればよろしい~、しっかし、まだかよ、奴は、おっせーなー・・・!?」
「おい、そうあせるなって 、もうそろそろだろ~!?」
遠くから二人目掛けてバイクが走って来た。
キー、キキッ、キーッ・・・キッ!!、ブルルンッ、ブルブル~。
二人に当たる一センチ手前の足元で十五度の角度でバイクがカウンターを切ってタイヤだけを地面に付けて停まっていた。
「よ~、遅くなって御免っ。 ツィースッ」
右手を離して中指と人差し指を付けて二人に挨拶をした。
「相変わらず好きだな~お前」 と二人が声をそろえて言った。
「ちゃ~んと本人を連れて来たのか~!?」
「大丈夫だよ、本人だよ。 痛いげな胸の槍を確認したからさっ」
「判ったよ、まあ、出してみなっ」
「ンッ」
カシャ、ス~。 バイク下部の台形型に変形したデジタル棺桶!?の引き出しが開いた。
「オッ、乗っとるッ、乗っ取るッ」
「しっかり乗ってるな~」
「ナー」
「・・・・・・しかし、こいつ今は、魂や肉体やその他 色々な物が、バラバラに成っているから目を覚まさないんだ・・・・・・!?」
「ナー、こっちは、一生懸命に戦っているのにな~」
「オイッ、いつまでも気持ち良く寝てないで早く起きろよッ・・・・・・」
「早く支援しに来いよッ・・・・・・」
「期待して待っているからよッ・・・・・・」
バイクの引き出しが閉まる。
「ワァアァアー~・・・!?」 キリスト!?の居た辺りに立ち、超微粒子の物体が、両手を天に向かって広げ、最も高く大きな声を出して叫んでいた。
宣戦布告!?
地上から光る光線が出ると同時に天から光が降りて来てつながった。 そして光と共に超微粒子の物体は、消えた。
「オオッ・・・始まったかな~・・・・・・!?」
ぴ、ピッ、pi、 らせん状の宇宙伝説DNAが、わずかな音を立てて、空からヒラヒラと上下にリズミカルに降りて来てワープした。
そして、ぴっ、ピ、PI、pI、Pi、qou~!?と音を変え、堤 奬兵が居た辺りの胸の槍に落ちた。
槍の下にいた人間!?辺りと棺桶内の魂の無い物体に”同時刻に ビリビリビリーと電気が走る”。
・・・・・・ 大勢が戦っている中・・・・・・突然目を覚ます。
目が赤紫に光る・・・・・・そして、煙の如く消えた。
自然の摂理か、勝つ為の論理か、怪物達は、弱い生き物にいわゆる人間に攻撃の的を絞りつつあった。
弾もミサイルも体をすり抜けて行く。
汗や冷や汗や血が流されてゆく。
気持ちでは・・・闘う精神という物に関しては、負けていない人間だがひたすら攻められていた、囲まれていた、追い込まれていく。
その時・・・・・・気を引かれる程の轟音に聴覚や視覚を奪われる。
目標への道中ナックナック(片足をリアフェンダーの上から反対側に回すアクション)をしたり、スーパーマン(両足を後ろに突き出してマシンの腹這いになるアクション)をしたり、テーブルトップ(マシンを真横に寝かすアクションジャンプ)をしたり、ヒールクリッカー(両足をハンドルバーの上に回し、カカトをくっ付けるアクションジャンプ)をしたりして上下左右から試してみた。 自由に遊んでいたのだが壊したりもしていた。
後輪が現在から異次元へ、異次元から現在へと現れたり、消えたりする。 ビルの壁面や路上にシャネルのマークやヴィトンのマークを書いたりもした。
(初めてで上手くマシーンを操れないや・・・・・・!?・・・ヘヘッ(汗))
遠くからバイクのエンジン音!?が人間と怪物の戦闘の渦に近付いて行った。
一匹に成ったり、二匹に成ったりとタイヤ!?を出していく。
怪物達は、振り返り、動きを止めて見ていた。
エンジン音が五月蝿く成って轟音に変わったからだった。
コントロールが利かず、振り回されるマシーン。
走りながら、修理をするのに部品を吸い寄せたり、異空間から、収集したりした。 創られていく。
後部タイヤ・エンジン部・フレーム・・・etc等が突如周辺外部や異次元!?から集まり、引っ張る力で敵にビルや道路の混砕が飛んで行った、最後にフロントタイヤがくっ付いた。
それは、フリスビーをジャンプで食わえ取った犬みたいだった。
サイドステップを蹴り落とし、足裏で押さえた。
強い圧力がタイヤや本体に掛かり、アスファルトが粉砕され多くの岩石が怪物達に襲い掛かった。
彗星が落ちたみたいに凄まじい勢いで物が飛散して行く。
空中に横回転しながら、バイクが岩石と一緒に飛んでいく。
怪物達のピンがボーリングの玉に当たったみたいにねずみ算式に玉砕されて吹き飛ばされていった。
キキーッ、ブルルン〜、ブルルン〜。 ウィーン。 未来の流線型円盤バイクの扉が開かれる。
「ア〜、ア~ッ、ビックリした〜。・・・オッカネ〜、いう事を聞かないし、暴れ過ぎだよ〜、フ〜・・・・・・!? よ〜、大丈夫か〜い」
目の前には、人間達がいた。
ジビ〜、ジッビ〜。 バイクの下には、眩しげに光る投網みたいな物が付いていて微粒子に変わった幽霊状の怪物達を逃げない様に包み混んでいた。
警告や見せしめをするかのように右足を下ろす。
網が色々な色に点滅する。
「おー、出てきたか!?」
「あれが、この星の救世主か!?」
「ふ〜ん、なかなかやるねー。 ド派手な登場で!?」
黄緑の目が輝いていた。