死んでも俳優~それこそが役者魂(プライド)~

1.大人気俳優

大人気イケメン俳優「雨澤恭時あまざわきょうじ」。32歳。

彼は、人気だけでなく、実力も高い、国民的スター。さまざまなドラマ、映画、舞台、ミュージカル、バラエティ、CMと、あっちこっちから引っ張りだこだった。



ある夏の日の事。



「お疲れ様でした~」

「はい。お疲れ様でした~」



「今日も仕事が終わったな~」



雨澤は、1人で居酒屋に寄り道し、ビールやワイン、焼酎など、色々な酒を飲んだ。

「か~っ!!仕事の後の酒は最高~~~!!!」



酒を飲んだ後、雨澤は帰った。



ドアのカギを開けて、家に入り、そして、ソファーに座る。

だが、「ただいま」は言わない。そう、雨澤は、1人暮らしなのだ。



「フ~ッ!!今日は疲れた~!!!」



そのまま、雨澤は寝た。

2.え!?俺、まさか、死んじまったの!?でも、何で!?

次の日の朝。



「フ~ッ!!良く寝たな~!!!」



しかし、何かいつもと違う。



「アレ?何か妙に身体が軽い?気のせいかな?」



とりあえず、雨澤は、台所へ向かい、冷蔵庫から色々なモノを出して、朝食を食べ、コーヒーや牛乳を飲む。そして、

歯を磨こうと思い、洗面所へ向かった。



だが・・・・・・



「ア・・・・・・!!アレ・・・・・・!?」



そう、鏡には、自分が映っていなかったのだ!!!



(ど・・・・・・どういう事だ・・・・・・!?まさか、さっき起きた時に妙に身体が軽過ぎるような気がしたのと、

何か関係があるのか・・・・・・!?)



急いで寝室に戻ると、そこに、自分の身体があった。



(やっぱり!!!まさか・・・俺は、死んじまったのか!?でも・・・何で・・・・・・!?)

3.やっぱり、俺、本当に死んじまったんだ・・・・・・

少し考えて、誰かにその事を話す事にした。だが、もし、本当に自分が幽霊だとしたら、自分の姿が見えたり自分の声が聞こえたりする人は、そうそうはいない。だが、雨澤は、

自分の姿が見えて、自分と話が出来る人間を探してみる事にした。



とりあえず、外に出て、色々な通行人に声をかけた。



「すいませ~ん!!!すいませ~ん!!!」



しかし、なかなか、誰も、反応しない。



(やっぱりな。俺は、死んじまったんだ。幽霊になったなんて、受け入れたくはなかったけど、もう、ここまできたら、

受け入れるしかないのか・・・・・・)



その後も、とにかく色々な場所をあたって、自分の姿と声を認識できる人を探したが、なかなか見つからなかった。



「畜生~~~!!!」

4.最後の希望は親友

最後に、イチかバチか、同じ俳優の親友を頼ろうと思った。



「ハァハァ・・・・・・」



走って親友の家へ向かった。



〝ピンポ~ン〟



(身体はないけど、触れる事は出来るんだな)



「は~い」



ドアが開いた。



〝ギィ~〟



「おう!!恭時!!!どうしたんだよ!!!」

「良かった!!!」

「え?」

「盾哉、俺が見えてるんだな!!」

「え!?何だよ!!(笑)何ワケわかんねぇ事言ってんだよ!!!」

「ちゃんと、俺の声も聞こえてるんだ!!!良かった!!!

コレは奇跡だ!!!」

「いや!!お前、おかしいぞ!!!どうしたんだよ!?」

「いや、俺、実は、死んじまったんだよ!!!」

「は!?」

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