少し考えて、誰かにその事を話す事にした。だが、もし、本当に自分が幽霊だとしたら、自分の姿が見えたり自分の声が聞こえたりする人は、そうそうはいない。だが、雨澤は、
自分の姿が見えて、自分と話が出来る人間を探してみる事にした。
とりあえず、外に出て、色々な通行人に声をかけた。
「すいませ~ん!!!すいませ~ん!!!」
しかし、なかなか、誰も、反応しない。
(やっぱりな。俺は、死んじまったんだ。幽霊になったなんて、受け入れたくはなかったけど、もう、ここまできたら、
受け入れるしかないのか・・・・・・)
その後も、とにかく色々な場所をあたって、自分の姿と声を認識できる人を探したが、なかなか見つからなかった。
「畜生~~~!!!」
最後に、イチかバチか、同じ俳優の親友を頼ろうと思った。
「ハァハァ・・・・・・」
走って親友の家へ向かった。
〝ピンポ~ン〟
(身体はないけど、触れる事は出来るんだな)
「は~い」
ドアが開いた。
〝ギィ~〟
「おう!!恭時!!!どうしたんだよ!!!」
「良かった!!!」
「え?」
「盾哉、俺が見えてるんだな!!」
「え!?何だよ!!(笑)何ワケわかんねぇ事言ってんだよ!!!」
「ちゃんと、俺の声も聞こえてるんだ!!!良かった!!!
コレは奇跡だ!!!」
「いや!!お前、おかしいぞ!!!どうしたんだよ!?」
「いや、俺、実は、死んじまったんだよ!!!」
「は!?」
そう、彼は、雨澤の親友で、同じ俳優である親友、
「
「ん~、お前の話は、どうも信じられんな。そもそも、
昨日会った時だって、元気にしてたじゃねぇか」
「俺だって、信じられないんだよ。何で突然、死んだのかも分からないし」
「う~ん・・・・・・」
「分かった。じゃあ、俺が証拠を見せるよ。そうだな~。
鏡、あるか?」
「ん?あぁ」
雨澤は、鏡の前に立った。
「アレ?お前、ここに立ってるはずなのに、鏡に映ってない!?」
「あぁ、コレが証拠だよ。一応、他にも何か証拠を見せようか?」
「あぁ。でも、今度は、どんな証拠だ?」
「外に出よう」
「あの~。あの~」
雨澤は、色々な人に声をかけたが、皆、全く反応しない。
「アレ?皆、お前に全く気づいてない!?」
「そうだよ。皆、俺の姿が見えないし、声も聞こえないんだ」
「マジかよ!!!」
「どうだ?これで信じてくれたか?」
「あぁ・・・けど、どうして、他の人達に見えないお前が
俺には見えるんだ?」
「さぁ?それも、分からない」
「ん~・・・それに、俺は、今まで幽霊なんて、見た事が
ないんだ。なのに、何で?」
「いや、幽霊だって、人間の姿をしてるんだ。どれが生きた人間でどれが幽霊かなんて、今みたいに確かめないと
分かんないモンさ」
「そうか。確かにそう言われてみればそうかもな。じゃあ、俺は、霊感を持ってて、これまでにも色んな幽霊を見た事があって、それが全部、〝幽霊だと知らないでいた〟って事か?」
「多分な。俺も、良く分からないけど」