腕で顔を隠し、その眩しい光から自分の目を守り、
光が収まった直後、目を開けてみると、
目の前に、等身大の「アーチフィス」が立っていた。
先に言っておくが、アーチフィスは、
ロボットではなく、人間である。人種は、イギリス人で、男性だ。
「え!?一体、コレって!?」
試しに、ほっぺたをつねってみた。
〝ギュ~〟〝パッチ〟
「痛ッ!!」
やはり、今、見ているこの様子は、
どうやら紛れもなく現実のようだった。
「え~!?嘘でしょ~!?」
そう言う遊舞に対し、
アーチフィスは、
「いえ、私はここにいます」と言った。
「スッゲ~!ホントかよ~!!しっかし、
言葉も、ちゃんと話せるんだな~!!それに、
全然ぎこちなさがなくて滑らかだし!!!」
遊舞は、試しに、
アーチフィスをコントローラで動かそうとしてみた。
だが、動かない。
「アレ?何がダメなんだろ?」
動かそうとしてみるが、動かない。しかし、良く見ると、
背中のところに、「
書かれたスイッチがあった。
「へ~!ロボットじゃなくて、人間なのに、
こんなスイッチが付いてるのか~!!」
そのスイッチを押して、もう一度、操作してみた。
〝カチャカチャカチャカチャ〟
すると、動いた。
〝ガシャンガシャン〟
「ワッ!動いた~!!よし!、じゃあ、今度は、
パンチやキックをしてみよう!!」
〝ドンバンバンドン〟
〝カチャカチャカチャカチャ〟
「よし!次は、魔法を使ってみよう!いや、待てよ。
アーチフィスは、色んな魔法を使えるけど、ここで魔法を使ったら、
家が大変な事になる。やっぱり、やめとこうか」
遊舞は、ちゃんと後先を考えて、
魔法を使う事はやめておく事にした。
すると、その直後・・・
「遊舞~!ご飯よ~!!」
「あ!ヤベ!!どうしよう!!」
慌てて操作すると、アーチフィスが透明になった。
「フ~ッ!!助かった~!!このキャラに、
透明になる能力があって良かった~!!でも、いなくなったワケ
じゃないよな?どうなるんだろ?まぁ、良いや」
遊舞は、リビングへ向かった。
「お母さ~~~ん!!!食べるよ~!!!」
皆、手を合わせて、
「いただきます!!!」と言った。
「おっ!今日は、ハンバーグか!!」
〝ムシャムシャムシャムシャ〟
「ねぇ、遊舞?」
「ん?」
「最近、学校、楽しい?」
「どうしたの?突然?もちろん、楽しいけど」
「そっか。なら、良かった」
遊舞は、突然、そんな事を聞かれたから、少し驚いた。
その後、遊舞は、その夕飯を、
おかずのハンバーグ含め、全て食べ、完食した。
「ごちそうさまでした」
風呂に入り、そして、就寝。
(いや、しかし、今日は、お母さん、どうしたんだろ?
今まであんな事、一度も僕に聞いた事、ないのに)
そして、眠りについた。
翌日、2020年1月14日(火)。
朝ご飯を食べてから、いつものように、歩いて学校へ向かう。
学校にて・・・・・・
〝キーンコーンカーンコーン〟
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟」
1時間目は、国語の授業だった。
扱っていた作品は、
「太宰治」の「走れメロス」だった。
「良いな~!メロス!!親友のセリヌンティウスだけじゃなくて、
他のたくさんの人達も助けるために
あんなに必死になれるなんて、まるで、ヒーローみたい!!いや、
もう、〝みたい〟じゃなくて、ホントにヒーローじゃん!!
物凄くカッコ良いよ!!!」
遊舞はその時、その事を、感動はするが、作り話として聞いていた。
2時間目から、途中、給食を挟んでの5時間目、そして、
6時間目を受け終わり、授業は、全て受け終わった。
〝キーンコーンカーンコーン〟
放課後はまた、友達達と一緒に帰る。
メンバーは、この前と、数人だけ違った。
そこで、
「
「なぁ、遊舞、今日の国語の授業、どうだった?」
遊舞は、答える。
「あ、あ~、いや、カッコ良かったな~、って」
「そうか~。僕も、いつか、俳優になったら、
舞台やミュージカルや映画で、メロスを演じたいよ!!」
「あ~!!そういえば、演人、俳優目指してるもんな!!」
「そうだよ!!絶対、カッコ良い俳優になってやる!!!」
「頑張れ~!!!」
「遊舞の夢は、何なんだい?」
先日、一緒にいなかった演人が、遊舞に聞いた。
「そ・・・それは・・・・・・」
「まだ決められてないのか。でも、頑張れ!!!遊舞なら、絶対、
自分にピッタリの仕事に就けるさ!!!」
「ありがとう!!!」
そこで、それに対して、奏も、一緒になって、また応援した。
「うん!!!私も応援してるから!!!」
「ありがとう!!!奏も!!!」
だが、そこで・・・・・・
「遊舞が夢を持つなんて、出来るかな~?♪」
そう、コイツは、とても性格が悪い、遊舞の同級生の
「
しかし、奏が庇う。
「何よ!!そんな言い方ないじゃない!!!」
だが、そこで、その時、一緒に歩いていた、おなじくイヤミな、
弁護士志望の同級生「法田弁助」も、
「いいや!遊舞は、特別、勉強が出来るワケでもねぇし、
この先、ピッタリで、ご立派なお仕事なんて、
見つけられるかねぇ~!?♪見つけられたとしても、
ホントに就けるかどうか!!ワッハッハッハッハッ!!」と言う。
演人と奏が
「遊舞、気にしなくて良いよ!!」と言った。
「うん。ありがとう」
その後、遊舞は、家に着いてからも、
まだ将来の夢の事について考えていた。
(確かに、アイツらの言う通りだ。僕は、この先の未来、
どうしていくかなんて、真っ白だし、それに比べて、アイツらは、
確かにちょっと、性格はアレなんだけど、
もう、既に、ちゃんと夢を持ってるからな~。でも、庇ってくれた
演人も奏も、本当に良いヤツだ)
そして、宿題をして、また、
テレビの電源と「Partnerson」の電源を入れ、
「Limitless Chance!」をプレイしようとしてみた。
だが、昨日、ゲームの世界から飛び出してきた
アーチフィスだけが、画面から姿を消していた。
「え!?え~!?嘘だろ!?お気に入りのキャラだけど、
使えないの~!?そんなの困る~!!!」
〝シュ~ン〟〝ポン!!!〟
「ワァ~ッ!!!」
見てみると、隣に、また、アーチフィスが立っていた。
「ビックリした~!!何だよ!!突然!!!」
「私は今、ここにいます」
「いや!解ってるよ!!そんな事!!!あ!いや、待てよ。
昨日、コイツを透明にしたけど、それは、姿を消しておいただけで、
ゲームの世界に戻したワケじゃなかったんだ!!」
遊舞は、ゲームの電源を切った。
「??私は、どうしても、
昨日までの居場所に戻らなくてはいけないのでしょうか?」
「いや、別にそういうワケじゃないけど・・・って、え?
もしかして、アーチフィス、自分が昨日までいた世界が
〝ゲームの世界〟だって知ってるの?」
「〝ゲーム〟?それは、何でしょうか?」
「解らないか~。じゃあ、ここがどこだか解る?」
「それは・・・解りません・・・・・・」
「そっか~。それも解らないか~。じゃあ、アーチフィス、
明日から、色んなところに行ってみよう!!僕がこの、
〝現実世界〟を案内するよ!!ただし、口が裂けても、
君が〝ゲームの世界の住人〟だって事は、
言っちゃダメだからね!!!」
「??現実??ゲーム??ん~・・・・・・???」
遊舞は、少しあきれた。
「ダメだなこりゃ・・・現実とゲームの違いが
良く解っていないみたいだ。仕方ない。出来るだけ、コイツが
ゲームキャラだって事を隠して、もし、何か言いそうに
なっちゃったら、僕が全力で止めるしかないか」と言った。
「そういえば、あなたの名前は、何というのでしたっけ?」
「あ~、そういえば、まだ、名前、教えてなかったっけ?
ごめん!!僕は、〝
「・・・・・・〝夢尾遊舞〟さんですか。覚えておきます」