次の日、起きてから、まず、
アーチフィスの〝透明〟の魔法を解いた。
〝シュン〟
今日は、木曜日だ。
「アーチフィス、おはよう」
「おはようございます」
次の瞬間、アーチフィスのお腹が鳴った。
〝グ~ッ〟
「あ~、すいません」
「は~。アーチフィス、またお腹空いたの?ってか、
お腹空くの、早過ぎない?」
「すいません。私は、昨日も、朝食以外食べていないもので」
「そっか~。じゃあ、仕方ないね。
ごめんね!そういえば、アーチフィスに昨日、朝ご飯以外、
何も食べさせてあげてなかった!!アーチフィスも、
ゲームキャラとはいえ、この世界の人と同じように、
〝食べる〟っていう大事な事をすっかり忘れちゃってたよ!!!
ホントごめん!!!ってか、それで昨日は良く
ご飯食べなくて、大丈夫だったね!!!」
「あ~、私のしていた仕事は、とても過酷だったので、
食べられない事も多かったんです。なので、
空腹に耐える事は、以前からの習慣のようなものなので」
「そうか~。凄いな~。じゃあ、仕方ない。今日も、
朝ご飯、食べに行こっか」
「はい」
遊舞とアーチフィスは、今日もまた、リビングへ向かう。
「おはよう~。お父さ~ん、お母さ~ん」
父と母が揃って、
「おはよう遊舞。って、また!!!」と言う。
アーチフィスは、
遊舞の父と母に
「おはようございます」と言った。
「ア・・・アハハハハハ・・・・・・」と遊舞は、
ぎこちなく笑った。
「昨日だけでなく今日も!!一体何なんだ!!!」と、
遊舞の父は言った。
「いや~、ちょっとまぁ、色々あってさ・・・・・・」
すると、遊舞の母が
「まぁ、良いじゃない!!この人、ちょっと変わってるけど、
言葉遣いも、とっても丁寧だし、礼儀作法だってとっても良いし、
凄く良い人そうな気がするわ!!!」
すると、遊舞の父が
「う~ん。まぁ、仕方ないな。アーチャーだっけ?」
「アーチフィスです」
「そうか。まぁ、とにかく、座って」
「はい」
「やっぱり、朝メシは大事だ。食べていきなさい」と、
遊舞の父は言った。
「すみません、昨日も今日もお世話になってしまって」
「気にする事はない。俺も、昔、子供の頃は良く
〝情けは人のためならず〟なんて言われて、良く、
〝相手が誰であろうと、
目の前に困っている人間がいたら、
絶対にほっとくな〟って、
親父やおふくろに何度も言われてたから」
「そうなんですね」
「あぁ」
すると、遊舞の母が、また、
アーチフィスに、朝ご飯をくれた。
「いただきます」
アーチフィスは、また、
遊舞や遊舞の父や母と一緒に朝ご飯を食べた。
数十分後、食べ終わった。
食べ終わった後、遊舞の母は、アーチフィスに
「今日はアーチフィスさん、どうするの?」と聞いた。
アーチフィスは、
「私は・・・・・・」と言う。
そこで、遊舞は慌てて、
「あ~!アーチフィス、行こう!!!
行ってきま~す!!!」と言い、
慌ててアーチフィスを引っ張って、家を飛び出した。
〝バタン!!!〟
「フ~ッ!!」
「なぜ、そんなに慌てているのですか?」
「いや、だって、ずっと普通に姿が見えてる状態のままで
家の中にいられると、何か不安だし、かと言って、
突然、魔法で透明になっても、それはそれで怪しいし、
父さんも母さんも、ビックリしちゃうだろ?」
「不安・・・なぜ不安なのでしょうか?それに、
なぜ、それで驚くのでしょうか?」
アーチフィスは、この世界では
〝他の人は皆、魔法が使えない〟という事も、
そんな〝魔法が使える自分〟がこの世界では
異質である事も、
まだ知らないようだった。
(はぁ・・・アーチフィスって頭良いのに、
〝現実とゲームの違い〟だけは、
まだ理解してないんだな~)
そして、今日もまた、一緒に、歩いて学校へ向かった。
「遊舞さん、今日も、透明になって、あなたのそばにいます」
「ありがとう。じゃあ、頼んだよ」
「はい」
遊舞は、また、アーチフィスを透明にした。
〝シュン〟
遊舞は、また学校に入って、授業を受けた。
その日の6時間目の授業は、
「理科」だった。
遊舞はその時、
(あ~、この教科、成績優秀な泳が特に得意なヤツだ!!でも、
昨日、泳はあんな事、言ってたけど、言ってた事、何が何だか
さっぱり解んなかったな~)と思っていた。
やがて、授業が終わり・・・・・・
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟」
〝キーンコーンカーンコーン〟
その日もまた、泳、奏、演人と一緒に帰った。
すると、奏が
「今日は、何もなかったね~。良かった良かった!!」と言った。
遊舞も、
「うん!!本当に良かったよ!!!」と言った。
すると、演人は、
「しかし、昨日のアレは、何だったんだろうね~」と言った。
遊舞は、
「さぁ?でも、今日はホント、
何もなくて良かったな~!!!」と言う。
奏と演人は、
「そうだね」と答えた。
泳は、
「そうだね。でも、昨日の事、どういう事だったのか、
本当に気になるね」と言った。
遊舞は、
「うん。それに、先生も言ってた通り、
また、いつ起こるか分からないから、
気をつけないといけないね」と答えた。
奏と演人と泳は、
「うん。気をつけよう」と言った。
数十分歩いたところで、
また皆、バラバラになり、遊舞はまた1人になった。
遊舞も、
(そうだよな~。気をつけないとな~)と思っていた。