2020年1月1日(水)、2019年が終わり、新しい年が
やって来ると同時に、2020年代が幕を開けた。
あたりはもう、門松や鏡餅や招き猫などが飾られていて、
正月に良く聴くお馴染みの邦楽のあの曲も流れていて、
完全に正月仕様である。
現在は、冬休み。遊舞の家には、親戚がたくさんやって来ていて、
とても賑わっていた。その昼、皆でおせちを食べ、
「あけましておめでとう!!」と一同で言った。
父が
「いや~、とうとう、新しい年がやって来たな~!!」と言う。
「うん!!」
「遊舞、今年は、どんな年にしたい!?」
「いや~、これまで通りに、普通に生活出来れば、それで良いや」
「そっか~」
「まぁ、子供が子供でいられる時間は意外と短いからな。
自由に使える時間は、自由に使って、思いっきり楽しむと良いぞ!!」
「うん!!」
「僕は、毎日、この普通の生活が楽しいし、
それだけで充分なんだよ!!」
「そっか!!それは素晴らしい事だ!!」
「うん!!だから、何が楽しみかって事も分かんないんだけど、
とにかく何かが楽しみなんだ!!」
〝ワイワイガヤガヤワイワイガヤガヤ〟
「は~!食った食った~!!」
そして、その日、神社に初詣に行ったり、ぜんざいを食べたりして、
その後、帰ってから、テレビで、主に、バラエティなどの
正月特番を色々観てから寝た。
「今年は、どんな事が起こるんだろ?」
それから、
2020年1月2日(木)、2020年1月3日(金)、2020年1月4日(土)と、正月は、同じような事を繰り返し、月日が経っていった。
そして、2020年1月5日(日)。
この日、遊舞は、誕生日を迎えた。
「お誕生日おめでとう!!!」
「ありがと~~~う!!!」
「12歳だね!!!」
「フ~ッ!!」と
遊舞が誕生日ケーキのロウソクの火を吹き消し、皆が拍手をする。
そのケーキのチョコレートには、
「あそぶ、おたんじょうびおめでとう!!!」と書いてある。
遊舞は、誕生日ケーキを食べ、笑いながら
「美味し~~~い!!!」と言った。
親戚の人達も、「遊舞君、もう12歳か~!!!」と言った。
そんなこんなで時間が経ち、夜になり、遊舞は、眠りについた。
それから、5日後の2020年1月10日(金)。この日は、
遊舞の学校「鳥翔小学校」の久しぶりの登校日だ。そう、
今日からまた、小学校の授業が再開したのだ。
遊舞のクラス、6年2組にて・・・・・・
〝キーンコーンカーンコーン〟
朝のホームルーム。
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟!!」と、担任の女性教師が言う。
先生は、教壇で、こんな事を言った。
「え~、皆さ~ん。皆さんは、もうすぐ卒業です。もうすぐ、
中学校に入る事になります。このクラスの中には、私立などの
中学校を受験する人、あるいは、そうじゃなくて、普通の中学校に
進学する人でも、いつかの将来の夢に向かって、これから何かを
本格的にする、あるいは、新しく始めていく人もいるでしょう。
ですが、これだけは、覚えておいてください。勉強も大切ですが、
人間、結局、考えたり、覚えたりするだけでは何も出来ないので、
最終的には、何か行動を取ったり、時として、思い切った行動に
出るために、勇気を持っておく事が大切です。まぁ、もちろん、無茶はダメですが。皆さんも、一人一人持っている
何かの〝才能〟も大切にして、お互いにお互いを認め合って、
尊重し合って、貴いライバルと共に仲良くしながら、
大いに励んで、これからの長い人生を精一杯生きてください」
やがて、授業が終わり、下校前のホームルーム。
〝キーンコーンカーンコーン〟
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟!!」また先生の一言が入った。
「え~、大事な事は、朝、一通り、話したので、
特に言う事はありません。あとは、私の言った事を
頑張って行っていってください。皆さんが幸せになれる事を、
私は、心より願っています。それでは、さようなら。
皆さん、お気をつけて」
その話を聞いた後、遊舞は、
男子、女子、色んな友達と話しながら帰った。
同級生の友達の「
「なぁ、遊舞、先生、今日は、朝、
あんな事、言ってたけど、どう思う?」
「う~ん・・・」
「俺は、もう、やりたい事、決まってるぜ!!」
「え?それは何?」
「宇宙飛行士だよ!!」
「へ~!!カッコ良いな~!!そういえば、泳、
体力もあって、運動神経も良くて、修学旅行の時も、バスどころか、
そこのテーマパークのどの絶叫マシンでも、全く酔わなかったし、
全然怖がってなかったもんな~!!凄いよな~!!!」
「だろ~!!!」
次に、「
「私は音楽家!!お父さんがヴァイオリニストで、お母さんが
ピアニストで、今、私、どっちも練習してるけど、出来たら、
どっちにもなりたいのよね!!欲張りで贅沢だけど!!!」
そんな彼女に対し、遊舞は、
「そんな事ないよ!!本気で叶えたい夢が2つもあるなんて、
素敵じゃないか!!ぜひ、頑張ってよ!!!」と言う。
その次に、「薬羽研一 (くすりばけんいち)」は、
「僕は、薬剤師!!薬の事、いっぱい研究するんだ!!」と言う。
遊舞は、研一に
「へ~!!これまた、厳しいけど、凄い夢だ!!」と言った。
「遊舞の夢は?」と、一緒にいた皆が遊舞に聞いた。
「う~ん・・・僕はまだ、決まってないんだ~」と言う。
しかし、奏は、そんな遊舞に対して、
「まだまだ大人になるまでに時間はいっぱいあるし、
遊舞は遊舞で、ゆっくり決めれば良いのよ!!」と言った。
「そっか!ありがとう!!」と遊舞が答えた。
歩いていくと、方向の違いにより、
あいさつをしながら一人ずつ別れ、最後、遊舞は、
一人になりながらも、家へ向かって歩いていた。
帰りながら、こんな事を思っていた。
(皆、もうこの年で既に夢、持ってて、夢のために
今からもう、頑張り始めてるなんてな~。なのに、
僕なんて・・・・・・)と。
この時、遊舞は初めて、自分がいつか就く「仕事」について
考え始めた。