二種類の引きこもり
ひきこもりが、平成に入りますます社会問題化している。このひきこもりと言われる人たちは、いったいどういう人たちであろうか?引きこもりにも大きく分けて、二通りあるように思える。
一つ目は、経済的に親に依存し、学校にも行かず、会社にもいかず、自分の部屋に引きこもり、家族とも会話せず、数年間、他人とのコミュニケーションを拒絶している人たち。
二つ目は、経済的に親に依存し、学校にも行かず、会社にもいかず、自分の部屋に引きこもり、家の中でも家族と会話をしないのだが、ネットを使って、ネット上の他人とコミュニケーションをとるという”ネット娯楽”を持っている人たち。
彼らへの社会復帰支援について考えてみると、時事情報を入手し、ネット上の他人と意見交換をし、ネット娯楽で心を癒すことができている引きこもりの人たちは、まだわずかながら常識的心を維持できているように思われ、短期間の集団生活訓練で社会復帰できるかもしれません。
でも、ネット上の他人と意見交換をするというネット娯楽を持たない引きこもりの人たちは、精神的な問題が深刻化していると考えられます。彼らは、精神的に非常識化し、うつ病状態になっているのではないかと推測されます。この場合、精神科医による精神病治療と長期の社会復帰のための集団生活訓練が必要とされるでしょう。
特に成人の引きこもりは、将来的にますます大きな社会問題になっていくことでしょう。というのは、将来、必ず依存している両親がいなくなるからです。もし、彼らが社会復帰できなければ、無収入となりホームレスになる可能性が高くなることでしょう。
彼らへの救済手段として、生活保護制度がありますが、受給条件に適合しなければ受給の許可はおりません。目に見えない若者に起きている深刻な引きこもり問題は、国家の問題として考えるべきではないでしょうか?国家は、一刻も早く、彼らを社会復帰させるための職業訓練学校制度を法制化すべきではないでしょうか。
引きこもりの仮想実験
これから、引きこもりの仮想実験をやってみましょう。被験者は、会社に勤めていて、通常の日常生活を行っている”あなた”です。
外部と交信できないように、あなたは、PCも、携帯電話も所持できません。そして、会社にいかず、家族や友達とも会話せず、たった一人で部屋に引きこもっていただきます。このような生活を一か月間続けた場合、あなたは、いったいどのようなことを考えるでしょうか?
PCを使いたい。ネットサーフィンをしたい。メル友にメールを送りたい。オンラインゲームをしたい。スマホで友達と会話した。繫華街で買い物をしたい。好きなスポーツをしたい。家族と一緒に食事をしたい。一刻も早く会社に行って仕事をしたい。友達とワイワイおしゃべりをして騒ぎたい。同僚たちとお酒を飲みたい。パチンコをしたい。
上記のような、当たり前であった日常生活への復帰願望が起きることでしょう。そして、このような復帰願望がますます膨らんでいったとしても、これらの願望が実現されることがないという現実に直面すれば、大きな不安が起き、パニックに陥ることでしょう。当然、息苦しい引きこもり生活から一刻も早く脱出したいと泣き叫び、破壊行為に出るでることでしょう。