女子会

 校長は、右隣の横山に視線を移した。「横山には、迷惑かけたわね。無理だったら、断ってもよかったのに。本当に、帰国して問題なかったの」横山は、笑顔で返事した。「H大学は、研究目的がはっきりしていれば、意外と海外短期留学が可能なんです。成績さえよければ、特に、許可が早いんです。研究テーマは、「日米安保条約と日本国憲法改憲の是非について」なんですが、T大に1か月間の短期留学許可をもらったんです。みんなにも会いたかったし、校長の招待に感謝しています」

 

 校長は、横山の成長を感じた。「何か、すごく大人になったみたい。欧米人の彼氏でもできたのかしら。日本人は、欧米人にもてるというじゃい。まさか、教授と不倫てことはないわよね。横山は、度肝を抜くことをやるから。冗談はさておき、将来は、何になるつもり?」不倫のことを言われ、心臓が止まる思いだった。だが、平静を保ち返事した。「大学からは、国防省を勧められているんです。でも、国連で働きたいとも思っています。迷っているんですが、H大学では、優秀な学生は、3年次で就職を決めるんです。ちょっと、焦っています」

 

 アメリカでは、政府関係の機関やトップ企業が、トップランクの大学の優秀な学生を青田刈りするのが通例になっている。特に優秀な学生は、2年次で就職先が決まってしまう。国防省、DIACIAは、学生にターゲットを絞ったヘッドハンターなるものを使い、特別なルートで内定させているという噂がある。優秀な日本人として、横山に、国防省が目を付けたと思われた。

 

 校長は、できれば日本の大学に就職してほしかった。というのも、校長の手足として働かせたかったからだ。「自分の決めた道を進むのが一番。でも、日本の将来のために、日本の大学で教鞭をとるのも悪くないと思うんだけど。もし、希望する大学があれば、言ってちょうだい」校長は、参議院議員で大学の顧問もやっている父親に頼めば、どの大学にでも就職させることができた。

 

 当初、日本の裁判官を目指していたが、H大学で学ぶようになってからは、日本の司法制度に疑問を抱くようになっていた。今では、日本の大学で教鞭をとりながら、日本の司法の改革に取り組みたいと思うようにもなっていた。「ありがとうございます。3年次には、決定したいと思っています。その時は、よろしくお願いします」校長の策略は、なんとなく感じ取っていたが、校長の政治力を利用したいとも思った。

 

 現在婦人警官でバリバリやっている峰岸に校長は目を移した。「峰岸、昨年は、全日本で準優勝だったじゃない。やるわね。峰岸の活躍で、剣道部員が毎年増えているし、成績もうなぎのぼり。峰岸様様だわ。」峰岸は5歳のころから剣道一筋でやってきた。九州では、敵なしであった。「母校のためにも頑張ります。今年こそ、優勝して見せます」

 

 校長は、峰岸が女子の部長だった時の男子部長をしていた三島の活躍について話し始めた。「ほら、峰岸のライバルだった三島君。全日本学生で優勝したんだってよ。峰岸の彼氏でしょ。今でも、付き合ってるの?彼なら間違いないわ。男の中の男よ。今時いない、武士のような男子ね」峰岸は、時々、三島と練習をしていた。「彼氏っていうほどじゃないんですが、時々練習相手をやってもらっています。ここまで強くなれたのは、三島のおかげなんです」

 

 校長は、峰岸の気持ちがよくわかっていた。「あらあら、お熱いこと。剣道でデートってことでしょ。好きはものの上手なれ、っていうけど、ほんと好きになると上達するってことかしら。とにかく、以前は、鬼校長といわれていたけど、二人のおかげで、文武両道の校長と言われるようになって、感謝してるのよ」冷やかされた峰岸は、顔を真っ赤にして顔をキョロキョロさせた。

 

 

 最後に、校長がママをしている中洲の高級クラブ”まりこ”で働いている小島をみんなに紹介した。「ゆう子とリノは、小島を知ってるわね。音楽の先生をしていた小島先生。先生は事情があって、学校をやめられたんだけど、縁があって、今は、私のクラブで働いてもらってるの。クラブのトップホステスなの」小島があいさつした。「縁があって、ママと一緒に働かせてもらっています。よろしく」

 

 8時を過ぎるとメロン、マンゴー、パイナップル、オレンジ、ショートケーキ、ソフトクリーム、アップルパイ、などのデザートが運び込まれてきた。校長は、よだれをたらさんばかりの笑顔でみんなに声をかけた。「みんな、食べ放題よ。好きなものをお腹いっぱい食べて」みんなも、キャ~~、おいしそ~~と笑顔で歓喜の黄色い声を響かせた。ゆう子が、カラオケの準備を始めた。「みんな、歌い放題だってよ。ここは、離れだから、大声を出してもいいんだって。バンバン歌いましょう。みんな、選曲して」

 

 リノが叫んだ。「私は、恋チュン」横山が手を挙げた。「私は、波乗りかき氷」北原が立ち上がった。「マジスカロックンロール」峰岸が大声で叫んだ。「私は、マジジョテッペンブルース」校長は、小島とひそひそ話をしていた。ゆう子が、尋ねた。「校長も早く決めてください」校長は、悩んだような顔つきで首をかしげた。「私も歌うの?恥ずかしいわね~」ゆう子がはっぱをかけた。「校長の歌を聞きたいわ。みんなも聞きたいでしょ~~」みんなは、大声で叫んだ。「ききた~~い。歌って、校長」

 

 校長は、小島とデュエットで歌うピンクレディーの懐メロをうたうことにした。「それじゃ、ペッパー警部」みんなは、一斉に拍手した。ゆう子が、マイクをとって、お辞儀をした。「それでは、まず最初に、21世紀のピンクレディー、エロエロレディーのペパー警部。どうぞ」みんなの大きな拍手と笑い声がどっと沸きあがった。歌い始めるとあっという間に時間が過ぎ去った。校長が、みんなに声をかけた。「おもいっきし歌ったことだし、お風呂に行きましょう。縁結び温泉で、みんな、イケメン彼氏をゲットするのよ。さあ、行きましょう」

 

 

 縁結び温泉というのは、浴場の中心に約2メートルの男根がそびえたつ男根の湯のこと。この巨大男根を縁結びの神様にすることを発案したのは、横山だった。5年前経営不振に陥ったさしはら温泉を立て直そうと考えていた時に、横山が思いついたのが巨大男根だった。男根の湯は、国際的に縁結びの湯として有名になり、今では、海外からのお客も多かった。彼女たちは、更衣室で浴衣を脱ぐとお互いの体を見比べていた。

 

 ゆう子のふさふさした陰毛は、黒々と盛り上がっていた。ゆう子は、横山のパイパンが目に入ると驚きを声にした。「横山、いつからパイパンにしたの?アメリカで流行っているの?」横山の彼氏は、オランダ人の妻子持ちでパイパン好みだった。彼のためやむなくパイパンにしていたが、そのことは口にできなかった。「まあ、流行ってるというか、パイパンの女子って普通」

 

 小柄だが剣道で鍛え挙げたマッチョな峰岸のボディーにみんなの目が集中した。リノが峰岸のお腹をポンポンとたたいてワウ~~と驚きの声を発した。「スゲ~~、割れてるじゃん。やっぱ、鍛えられた体ってすごいのね。でも、ちゃんと胸は膨らんでいるし、うらやまし~~。こいつ」ペチャパイで悩んでいるリノは、飛び出している乳首をキュッと引っ張った。

 

 北原、リノは、身だしなみとして陰毛の手入れをしていた。リノが、ゆう子のむさくるしい陰毛を指摘した。「ゆう子、手入れしなよ。それじゃ、はみ出すでしょ。みっともないわよ。こういうことには、全く、無精なんだから。それじゃ、彼氏、逃げるわよ」ゆう子は、自分の陰毛がかなり盛り上がっていることにはっとした。去年、水着を着なかったために陰毛のことをすっかり忘れていた。恥ずかしくなったゆう子は、顔を真っ赤にして弁解した。「そう、いじらないでよ。最近は、忙しくて、手入れできなかったんだから」

 

春日信彦
作家:春日信彦
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