記憶バックアップ作戦

円周率の近似値


π=N/M :NとMは互いに素な自然数

とおきます。


記憶障害を負った、どこかの博士が愛した数式

exp(iπ)+1=0 :iは虚数単位

を使うと、


exp(iN/M)= -1

exp(iN)=(-1)


eとiとπと-1との間に何やら不思議な関係があるように見えますが、

eの指数の肩に乗せる数が実数である場合に周期性はなく、

eの指数の肩に純虚数を載せると周期性が生じて三角関数が現れます。


1のL乗根をexp(iX)と記すと、exp(iL・X)=1からL・X=2n・π

∴X=2π(n/L) 


これは複素平面での単位円上に頂点をもつ正L角形を表しており、2π/Lをn倍する度に頂点が回転します。回転角度に関連するときにπが見えてきます。


余談ですが、オイラーの等式を、「おいらのとうしき」と発音した教授の言葉を真に受けて、その教授が発見した式だと思い込んでいた学生がいたらしい。


なお、オイラーの等式について、オイラー先生は何もコメントしていないので第1発見者ではなさそうです。円周率にギリシヤ文字πを使い始めたのはオイラー先生だと聞いています。

左辺はcos(N)+isin(N)

ゆえに

 cos(N)=(-1)

 sin(N)=0

 これを満たすNを探せばいいのですが、絶望的です(*1)。

 とはいえ、sin(N)≒0を満たすNは何とか見つけられるはず。

 あなたが計算の達人でなくとも、今の時代にはパソコンと表計算ソフトがありますから。

 1から1000までの範囲でsin値を計算して、その絶対値を並べ替えると、

 

Ranking 1-1000

abs(sin(N))

1

355

3.01444E-05

2

710

6.02887E-05

3

688

9.E-03

N=355を発見!


sinπ=0なので、 sin(355/M)≒0

より、同様の方法(*2)で、3<N/M<4の範囲でMを探索すると、

Ranking 88-118

M

abs(sin(355/M))

1

113

2.66764E-07

2

114

0.027554078

3

112

0.028046525

M=113を発見!


結局

 π≒355/113


これは3.141592920・・・で小数6桁まで合っています。

さて、記憶の仕方は、逆数の記号「\」を用いて、 :A\B=B/

 113\355

ですので、簡単カンタン。

 しかし、人は簡単なものほど忘れる生き物ですから、そのときはアルベルトさん(*3)に頼りましょう。彼の誕生日は3月14日。悪しからず。

 

(*1)πは有理数でない(無理数)ので、自然数を用いた分数で表すことはできません。

    π=3.14159265358979・・・と延々に続くので、愚鈍な小生は、記憶するのが無理な数を、無理数だと思っておりました。

 

(*2)この方法で次に見つかるのは、

103993/331023.141592653・・・ 小数まで合っています。

312689/99532  (小数10)

833719/265381, 1146408/364913 (小数11)

5419351/1725033(小数13)

85563268/27235615  (小数15)

411557987/131002976 (小数16)


(*3)アルベルト・アインシュタイン

微分


 $f$ が微分可能な関数であるとき、導関数$f$'(x)は 

\begin{displaymath}f'(x)=\lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}
\end{displaymath}
 
 と定義できるとかなんとか、わけのわからない式を押し付けられた記憶はないでしょうか?

 微分演算の定義では、無限小という発想の飛躍を要するため、
有限の存在であるヒトにとって分かりにくいと思われるのです。
 関数f(x)のxによる1階微分について、グラスマン数θを使って以下のように定義します。
  f(x+θ)-f(x)=(f(1)(x))θ   (1)
  グラスマン数は2乗値がゼロであり、大きさのない数です。

例) f(x)=x

 (1)式の左辺=(x+θ
          = (1+θ/xn  (x≠0)   (2)

 ここで、m≧2にてθm=0 より
   (1+θ/x= 1+An・(θ/x)  (3)

 とします。
   左辺=(1+θ/x)・(1+θ/xn-1
     =(1+θ/x)・(1+An-1θ/))
     =+(1+An-1)θ/
  よって  An An-1 + 
  式変形により
       An   An-1  (nー1)
              
              An-2  (nー2)
                                                     .....
                                            A1  1 = 0 (∵ A1= 1

      ∴ An = 

  これを(3)式に代入すると
       (1+θ/x= 1+n・(θ/x)  (4)

 (2)式の右辺を計算すると
 (1n・(θ/x)-n 
 =(n・xn-1)θ 
 
 (1)式の右辺と比較して
 (1)(x)=n・xn-1   (x≠0) 

 これで頭の中がすっきりしたというアナタもまた、数少ないヒトの一人でありましょう。




微分(続き)


Exp(θ)=(1+θ/n)^n  :^は累乗記号

        = 1+θ

として

 Exp(x+θ)=Exp(x)・Exp(θ)=Exp(x)・(1+θ) より

 Exp(x+θ)-Exp(x)=Exp(x)・θ

 よって、Exp(x)の導関数は、Exp(x)


Exp(iθ)=1+iθ  : iは虚数単位

を使って三角関数の微分を計算するときには、

COS(x)=(Exp(ix)+Exp(-ix))/2

SIN(x)=(Exp(ix)-Exp(-ix))/(2i)

を思い出します。


COS(x+θ)

=(Exp(ix)・(1+iθ)+Exp(-ix)・(1-iθ))/2

=(Exp(ix)・(1+iθ)+Exp(-ix)・(1-iθ))/2

=(Exp(ix)+Exp(-ix))/2+((Exp(ix)-Exp(-ix))/2))iθ

=COS(x)-((Exp(ix)-Exp(-ix))/2i))θ

=COS(x)-(SIN(x))θ

よって、COS(x+θ)-COS(x)=-(SIN(x))θ


COS(x)の導関数は、-SIN(x)

SIN(x+θ)

=(Exp(ix)・(1+iθ)-Exp(-ix)・(1-iθ))/(2i)

=(Exp(ix)-Exp(-ix))/(2i)+(Exp(ix)+Exp(-ix))・(iθ)/(2i)

=SIN(x)+((Exp(ix)+Exp(-ix))/2)・θ

=SIN(x)+ (COS(x))θ

よって、 SIN(x+θ)-SIN(x)=(COS(x))θ

SIN(x)の導関数は、+COS(x)


TAN(x+θ)

=SIN(x+θ)/COS(x+θ)

=(SIN(x)+ (COS(x))θ)/(COS(x)-(SIN(x))θ

=(SIN(x)+ (COS(x))θ)・(COS(x)+(SIN(x))θ)

/(COS(x)-(SIN(x))θ)/(COS(x)+(SIN(x))θ)

=(SIN(x)・COS(x)+θ)/COS(x)

=TAN(x)+(1/COS(x))θ

よって、TAN(x+θ)-TAN(x)=(1/COS(x))θ

TAN(x)の導関数は、1/COS(x)


あるいは

加法定理を憶えていれば(注:あなたが忘れていることを非難する訳ではありません)、

Exp(iθ)=1+iθ 

COS(θ)=(Exp(iθ)+Exp(-iθ))/2   =1

SIN(θ)=(Exp(iθ)-Exp(-iθ))/(2i)=θ 

を使って、


SIN(x+θ)=SIN(x)・COS(θ)+COS(x)・SIN(θ)

        =SIN(x)+(COS(x))θ

∴SIN(x+θ)-SIN(x)=(COS(x))θ

という具合に計算した方が簡単かも知れません。


COS(x+θ)の方の加法定理は、当方の場合、”記憶にございません”ので、

上式をxで微分して(こういうケースで重宝します)、

 COS(x+θ)=COS(x)・COS(θ)-SIN(x)・SIN(θ)

         =COS(x)+(-SIN(x))θ  

でやってみるのも一興かと存じます(微分してるんだから、当然だとおっしゃるでしょうが・・・)。


cf) 任意の関数f(x)については、

   f(θ)=f(0)+f(1)(0)θ=a+bθ  :a,bは定数

  つまりθの一次式で表されます。

   Exp(θ)=Exp(0)+ Exp(0)θ1+θ=COS(θ)+SIN(θ)

   COS(θ)=COS(0)-SIN(0)θ=1

   SIN(θ)=SIN(0)+COS(0)θ=θ

   TAN(θ)=TAN(0)+(1/COS(0))θ=θ



虚数と四元数


負数の平方根は、アレキサンドリアのヘロン先生が「測量術」で計算した√(81-144)が最初らしい。 マイナス1の平方根である√(-1)に記号””を使ったのはオイラー先生だそうです。

小生は、その昔、人心を惑わす目的で、

i=√(-1)

  =(-1)^(1/2)=(-1)^(2/4)=((-1)^2)^(1/4) =1^(1/4)=1   (*1)

とやったことを記憶しています。本当にそうなら、話はもっと簡単に決着したことでしょう。


複素数a+bが平面上の点で表されることが判ったのは、ガウス先生の時代(1800年頃)だそうです。ここから複素解析が本格的に始まり、それ以後に現代の学生を悩ませることになります。

複素平面(ガウス平面)上の点x+iyは、極表示で

 x+iy=rexp(iθ)  :r=√(x2+y2) tanθ=y/x

と表すことができます。


2次元で表現できるのなら、3次元でも可能では?

どういうわけか中学生の分際で、複素数を3次元へ拡張できたら「カッコイイ」と思いついたのでした。しかし、小生の儚い夢は敢え無く立ち消えました。既にハミルトン先生の四元数によって解決されていたからなのです(まったくヨ~!)


ハミルトン(と呼び捨てにして)の四元数を、

μ  :μ=0~3

  と表記すると 

(0)2=I0

()2=-I0  :j=1~3

は3つの虚数ようにも見えます。

=-I0

という性質があり、

0=1

とおいて両辺に右からIをかけると、

 I=I

さらに左からIをかけて右からもIをかけると

 I=-I=-I2      :I=I


 よって反交換子{A,B}=AB+BA を使えば 

 {I,I}={I,I}=0

 同様にして

 {I,I}={I3,I}=0


・虚数iと四元数j との関係

を実数の変数として

i=nj     :アインシュタインの縮約規則(*2)

左辺の2乗は、-1

右辺の2乗は

  =(n11^2(n22^2(n33^2  

     +{    :j≠k 

  =-((n1^2(n2^2(n3^2

∴ (n1^2(n2^2(n3^2 =1

   n=(123) は単位方向ベクトル

   iはIj 対して、任意の方向を向くってことです。


(*1)

 正しくは、((-1)^(1/4))^2=(exp(i・π/4))^2=(1/√2+/√2)^2=


(*2)

 上付き添え字と下付き添え字で同じ記号を見つけたら総和をとること。Σ記号を省略できるという、アインシュタインによる画期的な(?)規則。

 

無名のヒト
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