「アガリヤさん」
「はい・・・・・」
「あのさ、箱を積む時はシールが見えるようにしてって、何度も言ったよね?」
「あっ・・・はい・・・すみません」
「ったく、使えねえな・・・」
「・・・・・」
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ただ生きている
なんの為に、という感覚は、とっくの昔に捨て去った。
まともな職歴もない、学歴もない、そんな37才の男が
「人並みの生活」
を送ることなど不可能だからだ。
いや・・・正確には不可能ではない。
人の何倍も賢く、何倍も努力をしたり、人の何倍も汚いことをすれば・・・
だが、そんな気力はない。
一度、絶望に浸ってしまった心は時間の流れを狂わせる。
ドラマのような逆転劇は、宝くじの1等を当てることよりも難しいことなのだ。
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