戦国初級列伝 浅井長政・初・江~2011大河を見るとき知っておくと楽しい話~

戦国初級列伝 浅井長政・初・江~2011大河を見るとき知っておくと楽しい話~290の有料書籍です。
書籍を購入することで全てのページを読めるようになります。
戦国初級列伝 浅井長政・初・江~2011大河を見るとき知っておくと楽しい話~を購入

第1章-浅井長政-( 3 / 11 )

不遇な中小企業として

当時の近江には、南の六角家、北の浅井家、という二つの有力な大名家がありました。もともと浅井家は京極家という大名家の配下だったのですが、京極家が家督争いで混乱している隙をついて、長政さんの祖父にあたる浅井亮政さんという人が独立、瞬く間に北近江に勢力を広げたのです。スーパーおじいちゃんです。
ところが、亮政さんの子で長政さんの父である久政さんの代になると南の六角家に押され、浅井家は六角家に人質を出し同盟することでその勢力を保つほか無くなってしまいます。長政さんもその人質の一人として、幼少期のほとんどを六角家で過ごしました。はじめ元服するときも、六角の当主・義賢さんから一文字貰って「賢政」と名乗ったぐらい、六角家には気を使っていたわけです。

しかし、六角家の家臣の娘さんと縁談が持ち上がり、さすがに長政さんも「これはまずい」と考えます。大名の娘ならばともかく、その家臣の娘を妻に迎えるということは、つまり浅井家が完全に六角家に臣従したと認めるに等しいこと。たとえて言えばライバル会社の社長令嬢ではなく専務あたりの娘と結婚するようなもので、そんなことになってはあれよあれよと吸収合併されてしまうのは目に見えています。頑張れ鉄工所。負けるな鉄工所。
ということで長政さんは六角家に擦り寄ろうとするお父さんを隠居させ、無理矢理結婚させられていた家臣の娘も離縁して返上し、自ら家督を継いで六角家と袂を分かつのですが、そもそも六角家に勝てないから同盟していたわけで、何も考えずそれを破棄したのではどのみち滅亡は免れません。どうする鉄工所。負けるな鉄工所。

第1章-浅井長政-( 4 / 11 )

転機・織田との同盟と婚姻

実際に六角家から攻められたりしていたのですが、それをどうにかしのいでいるうち、織田信長さんから同盟のお誘いがやってきます。当時の織田家は美濃(岐阜県)の攻略とその後の上洛(京の都へ上ること)を目標にしており、近江を通過するため六角との敵対が避けられない格好になっていました。敵の敵は味方です。しかも、万が一にも裏切られてはたまらないので、ただの同盟ではなく信長さんの妹・お市さんと長政さんとの婚姻付き。お市さんは絶世の美女と名高く、信長さんも「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」と考えていたのか、そんじょそこらの馬の骨と結婚させるわけにはいかないとばかりに行き遅れ寸前(といっても20歳ぐらいですが)まで温存していた、まさに虎の子の令嬢です。専務の娘さん返して良かったね鉄工所。負けるな鉄工所。
その後、脅威ではなくなった六角家を織田家と一緒に打倒、上洛し将軍・足利義昭さんを擁立するに至って一躍天下人の座に近付いた信長さんを義兄に持ち、長政さんの前途は洋々といった趣になります。ついさっきまで臣従か滅亡かの二択だったような状態なのに、宿敵はいなくなるわ美人の嫁は来るわ天下人の義弟になるわ、と突然すごい運の開けようです。雑誌の広告に載ってる幸運のペンダントを買ったのかもしれません。

戦国初級列伝 浅井長政・初・江~2011大河を見るとき知っておくと楽しい話~290の有料書籍です。
書籍を購入することで全てのページを読めるようになります。
戦国初級列伝 浅井長政・初・江~2011大河を見るとき知っておくと楽しい話~を購入
フロンツ
戦国初級列伝 浅井長政・初・江~2011大河を見るとき知っておくと楽しい話~
0
  • 290円
  • 購入

3 / 25