「てめえらさ、戦ってる最中に、目、逸らしてんじゃねえよ」
別世界だ。
この歩道橋だけ、結界が張られたように、世界から、浮き上がっている。
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「なんで殴った!」
「あぁ、世直しだよ、世直し。こいつら、ナイフ持ってただろ?このナイフを使って、たくさん悪いことやってんだわ」
中に入ることは出来ない。そういう奴が、稀にいる。この男は、その典型的な例だ。
逃げられない。
逃げようと思った瞬間、勝負は決まる。
やるしかない。オレのすべてを懸けて。
たぶん、そうだ。
望んでいた。オレは、すべてを懸けて戦うことを望んでいたんだ。
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