~勇者が行く~(2)

本編( 10 / 10 )

第二部:第五章

第五章

 

2-196:気分〔13歳:LEVEL25〕
面倒なことをした甲斐あって、無事に都市爆破を阻止することができた俺。
魔力を伝導させる起爆装置も解除したし、もう安心だろう。 役目は果たした。
~シジャン城下:カイア塔~
無線「えっ?えっ?なに?なんで!?なんで勇者がそっちにもいんの!?」
勇者「わめくな盗子、息がニオう。」
無線「無線だよ!どう頑張っても電波には乗らないよ!てゆーかクサくないよっ!」
門太「で、どうしやす?行くんなら門を開きやすが…?」
勇者「いや、いい。今日の俺はもう達成感でいっぱいだ、テンションが上がらん。」
無線「ちょっ、来てよ!もうコレ最終決戦だよ!?「勇者」いなくてどうすんのさ!」
勇者「断る。お前の声を聞いたら余計に萎えた。」

無線「姫だよ勇者君。おげんこ?」
勇者「おげんこーー!!」
盗子は切なくなった。

 

2-197:事情〔13歳:LEVEL25〕
面倒なので赤錬邪は放っとこうと思っていたのだが、姫ちゃんがいるなら話は別だ。
勇者「よし、早速向かうぞ門太! だが門はいい、失敗すると逆に時間食うしな。」
門太「でやんすね。距離はチョイとありやすが、まぁ走りゃなんとかなるっしょ。」
声「えっ、なぜだ…?なぜブラザー勇者がここに!?」
勇者「誰だ後ろから…? 俺は背後に立たれることより盗子が大嫌いだ!」
無線「なんでいつの間にか嫌いな対象がアタシになってんだよ!」
博打「その邪悪な感じ…もしかして記憶が戻ったのかい?」
博打が現れた。
勇者「フン。なんだインチキ賭博師か。悪いが貴様なんぞに構ってる暇は無いぞ。」
博打「あ?オイオイ、冷たいなぁブラザー。 だが、そう調子に乗り過ぎると…!」
無線「えっ、博打が!?き、気をつけて勇者!そいつ裏切…」

ドスッ!(刺)


博打「うぎゃあああああ!!
勇者は事情は知らない。

 

2-198:選択〔13歳:LEVEL25〕
姫ちゃんの元へと向かおうとしたら、背後から現れた博打。とりあえず刺してみた。
無線「な、なんで!?もしかして勇者、博打が裏切り者だって知ってたの!?」
勇者「なんかムカついた。」
無線「そんな理由で!?」
勇者「博打が裏切り者だと? フン、バカなことを。そんなわけがあるか。」
無線「ほ、ホントなんだってば!ホントに博打は…!」
勇者「そもそも仲間じゃない。」
無線「それ以前の問題だったの!?」
博打「ぐっ…フッ、相変わらず手厳しいぜブラザー。やっぱそうでなくちゃな。」
勇者「で?俺に楯突く存在になったそうだが、それは事実なのか博打?」
博打「ああ。”上”からの指令でね、悪いがアンタには死んでもらうぜ?」
勇者「そうか、お前も五錬邪に…。 まさか俺の同期から二人も出るとはな。」
博打「悪いがちょっと急いでる。 爆弾を起動させたい。どいてくれないか?」
勇者「級友のよしみだ、最後に一度だけチャンスをやろう。よく考えて選ぶがいい。」
博打「へ?チャンス…?」

勇者「苦しんで死ぬか、楽に死ぬかだ。」
「勇者」のセリフじゃない。

 

2-199:一発〔13歳:LEVEL25〕
なにやら博打が邪魔したいようなので、始末することにした。邪魔者と盗子は消す。
勇者「「人生」というギャンブル…必ず最期には「死」という敗北があることを知れ。」
博打「おっと、だったら俺の土俵でやらせてもらうぜ? 「黒幕危機二十発」!」
〔黒幕危機二十発〕
21個の穴が開いたタルに術者が入り、敵はその穴に剣を刺す。
当たり(20個)に入れば術者はダメージを受けるが、外れれば敵は死ぬ。
どちらかが死ぬ、または術者が気絶するまで術の効果は持続する。
博打「さぁどうだいブラザー?今の俺は他の一切の攻撃を受け付けないぜ!?」

勇者「ごきげんよう。」
博打「えーーっ!?」
勇者は立ち去った。

 

2-200:飛躍〔13歳:LEVEL25〕
博打なんぞのために大事な命と貴重な時間を割くのはご免だ。放っておこう。
タッタッタッタ…!(走)
門太「でも良かったでやんすか?あの人、術が解けたら爆弾を爆破するんじゃ?」
勇者「安心しろ、人間そう簡単には気絶しない。後で始末すればいいさ。 急ぐぞ。」
門太「そんなに早く噂の姫ぎみに会いたいと?どんな人か気になるでやんすね~。」
勇者「フッ、一瞬で恋に落ちるぞ。」
門太「あ~…でもアッシは、前に聞いた盗子って人も見てみたいでやんすよ。」
勇者「地獄に堕ちるぞ。」
門太「えっ、見ただけで!?」
勇者「まず第一に、鼓膜が破れる。」
門太「見ただけなのに!?」
勇者「そして味覚・嗅覚・触覚も失う。」
門太「見ただけなのに!?」
勇者「でもなぜか視覚は無事。」
門太「見てるのに!?」
勇者「そして最期には、体中の穴という穴から何かを噴き出して死ぬぞ。」
門太「しかもそんなおぞましい死に様に!?」
勇者「さらに家族三代呪われる。」
門太「そ、そんな怖ろしい人がいるんでやすか!?行って平気なんすか!?」
勇者「ああ。勝機は一瞬だ、姿を見せた瞬間に仕留めろ!」
門太「敵!?勢い余っていつの間にか敵に!?」
勇者「まぁ、そのくらいヤバいってことだ。わかったら気を引き締めていけよ。」
門太「わ、わかりやした!気をつけやす!」

ふぅ~、スッキリした。
盗子は訴えれば勝てる。

 

2-201:溺死〔13歳:LEVEL25〕
勇者がカイア塔を発った頃、シジャン城では戦いが再開され…

気づけば「拷問」になっていた。
赤錬邪「ぐぼっ…ばばぼぶ…ぶはっ!た、助けっ…!ごぼぼぼっ…!(溺)」
麗華「おや?「鉄壁の防御」が「洗面台」ごときに負けるとは初耳だなぁ?」
赤錬邪「ごばばばばばばば…!!(溺)」
盗子(プルプルプルプル…!(震))
暗殺美「あ、あの勇者が師匠と呼ぶ理由がわかった気がするさ…。」
猿魔「俺が捕まった時もこんなだった…。」
巫菜子「子供の私が言うのもなんだけど…子供には見せたくない光景だよな…。」
麗華「ふぅ…仕方なかろう?腐っても防御の戦士、剣では楽には死なせてやれん。」
盗子「そう考えて出た結論がコレなの!?もっとムゴく思えるのはアタシだけ!?」
赤錬邪「ぶはっ! ハァ、ハァ…!き、貴様…殺びべぶぶぶ!(溺)」
麗華「ほぉ、さすがにタフな奴だな。この状況でもまだ命を諦めんとは。」
赤錬邪「ごぼじでぐべべべべ…!!
聞こえてないだけだった。

 

2-202:限界〔13歳:LEVEL25〕
麗華の非道な拷問に、もはや限界といった感じの赤錬邪。
麗華も飽きてきたのでそろそろ決着となりそうだ。
麗華「最後のチャンスだ。 なぜ都市爆破なんだ?神探しはどうした?」
赤錬邪「…フン、それも神を探すためだ。地図によると封印の地はこの辺りでな。」
盗子「じゃあ見つけやすくするために更地に!?国民ごと!? アンタ最低だよ!」
巫菜子「まったくだ、この外道め!」
猿魔「この極悪人め!」
暗殺美「この盗子め!」
盗子「ちょっと待って!?なんでアタシまで「悪口」の部類に入ってんの!?」
麗華「さて、では行こうか赤錬邪。警察士に引き渡してやる、獄中で悔いるがいい。」
赤錬邪「フッ…まさか俺までが、「リミッター解除」することになるとはなぁ…。」
麗華「リミッターだと?バカめ、並みの人間に外せるほど便利なモノじゃないわ。」
暗殺美「そうさ!そんな簡単に誰もが限界超えてたら物語が破綻するさ!」
赤錬邪「黙れ小娘がぁー!ぬぉおおおおお!!」
赤錬邪は力を解放した。
麗華「なっ…!」
赤錬邪「ハッハッハ!どうだ!? …ん?なんだ、武器の形が…?」
麗華「驚いたな…まさかホントにできるとは。それにその武器は、「鬼神の金棒」!」
赤錬邪「なにっ、コレが…!? フハハハハ!そうか、やはり神具だったのか!」
盗子「や、ヤバくない!?余裕のはずが知らぬ間にピンチじゃない!?」
赤錬邪「さぁ仕切りなおしだ女。俺と共に、地獄に落ちてもらおうか。」
麗華「お前達…目を閉じて、しばらく下がっていなさい。」
盗子「え…?」

麗華「夕飯が食えなくなるぞ。」
麗華は何をする気なのか。

 

2-203:崩壊〔13歳:LEVEL25〕
爆弾のあったカイア塔から猛ダッシュすること数十分。やっと城が見えてきた。
まぁあの麗華がいるんだ、行ったところで赤錬邪はもう人の形はしてはいまいがな。
門太「ハァ、ハァ…さ、先に行ってほしいでやんす兄貴…アッシはもう限界で…。」
勇者「あん?泣き言を言うな!走れ! ホラ、もうそこに見え…むっ!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…(地響)
門太「な、なんか揺れてやせんか?それにこの音…一体何が…?」
勇者「盗子…そうか、昼食を抜いたのか。」
門太「腹の音!?呪いだけじゃなくて身体的にも化け物なんでやんすか!?」
勇者「ああ、奴は化け物だ。クシャミひとつでこんな城など吹き飛ぶぞ。」
門太「えっ!?いやいや、いくらなんでもそんな…」

ズゴォオオオオオオン!!
(崩壊)
二人「えぇーーーっ!!?」
シジャン城は崩れ落ちた。
門太「あ…あああ兄貴が噂なんかするからっ…!」
勇者(れ、麗華…やりすぎだぞ!?)

~その頃、崩れ落ちた城の地下では…~

盗子「ゲホッ、ゲホッ! いったーい!もう死ぬかと思ったよぉー!」
巫菜子「ここは…地下か?最上階から一気に地下…なんてモロい造りなんだよ。」
暗殺美(しっ!静かにするさアホどもが! 奴に気づかれるさ!)

赤錬邪「さぁ出て来い女。このぐらいではまだ、死んではおらんだろう?」
麗華〔物陰〕「くっ…!」
意外にも劣勢だった。

 

2-204:捨駒〔13歳:LEVEL25〕
口ほどにもなく麗華は負けたようで、状況は大ピンチになっていた。
残された盗子達は、物陰に隠れながら逃げ出すチャンスをうかがっていた。

戦えよ。
赤錬邪「ゴルァ!出てこいと言っとるだろうが貴様らー!ぬぉおおおおお!!」
ドガァーン!ボォゴーン!(破壊)
盗子〔物陰〕(や、ヤバいよ!見つかるのはもう時間の問題だよ!どうしよー!?)
猿魔〔物陰〕(チッ、仕方ない…。俺が麗華の姿で時間を稼ぐ、その隙に逃げろ。)
巫菜子〔物陰〕(無茶言うなよエテ公、オメェもうフラフラじゃねーか。)
暗殺美〔物陰〕(そうさ。アンタがでしゃばったら盗子の見せ場が無くなるさ。)
盗子〔物陰〕「やんないよアタシ!?アタシだって死にたく…あ゛。」
赤錬邪「そこかぁーーー!!」
バイバイ盗子。
盗子「うわぁーん!助けて勇者ー!!」
勇者「イヤだよめんどくさい。」
盗子「イヤってなんだよ!それが「勇者」の言うこと…って、勇者!?」
赤錬邪「!!?」
勇者「フッ、助けに来たぞ。」
盗子「勇者…☆」
勇者「姫ちゃんを。」
盗子「あっそう!!」
赤錬邪「き、貴様…いつの間に!?」
勇者「調子に乗るのもそこまでだ赤錬邪。 ここは危ない、下がってろ盗子。」
盗子「勇者…☆」

勇者「地平の果てまで。」
盗子「そんなに!?」
バイバイ盗子。

 

2-205:乙女〔13歳:LEVEL25〕
嫌な予感がしたので急いで地下に降りてみると、案の定ピンチな状態になっていた。
やれやれ、今日はもう役目を終えたと思っていたんだが…仕方ない、やってやるか。
勇者「そのオーラ…そうか、貴様もリミッターとやらを…。」
赤錬邪「まさか裏切り者だったとはなぁ覇者…いや、勇者よ。 ブッ殺…」
勇者「ところで姫ちゃんはどこだ?」
赤錬邪「聞けよ!決戦前の決めゼリフをスルーするなよ!」
勇者「フゥ…まぁいいだろう。最期のセリフだ、ド派手にキメるがいい。」
赤錬邪「フン、生意気な小僧だ。だが強がっていられるのも今のうちよぉ!ブッ殺」
勇者「そういや麗華も見えんが?」
赤錬邪「だから聞けって!!」
盗子「そ、それが変なんだよ!なんか急に目を擦りながらフラフラしだして…。」
門太「ウゲッ、兄貴!そういや今って…!」
勇者「ハッ!この時間…そうかっ!」

麗華〔物陰〕「スゥー…。スゥー…。」

そうか、「お昼寝の時間」か…。
麗華は意外な一面を見せた。

 

2-206:武器〔13歳:LEVEL25〕
麗華には昼寝をする習性があったのをスッカリ忘れていた。やはり俺の出番か…。
勇者「不肖の師匠が迷惑をかけた詫びだ、この俺が直々に相手してやろう。」
赤錬邪「全然詫びに聞こえないその横柄な態度…ますます気に食わん!潰す!」
盗子「気をつけて勇者!そいつ、ナントカ戦士っていって剣の攻撃きかないよ!」
勇者「俺はお前の言うことをきかない。」
盗子「きけよっ!!」
勇者「安心しろ盗子、俺にはとっておきの武器がある。こんな奴は一撃だ。」
赤錬邪「思い上がるなよ小僧?今の俺の肉体強度は、鋼鉄さえも上回る!」
勇者「いい度胸だ!ならば食らうがいい!!」
勇者はバズーカを構えた。

 

2-207:最恐〔13歳:LEVEL25〕
面倒だからバズーカで仕留めようと思ったのだが、コイツ…かなりタフだ。
赤錬邪「ぐははは!どうした小僧?ちっとも効かんぞそんな攻撃は!」
勇者「チッ、バズーカを体で受け止めるとは…。どうやら火力が足りんようだな。」
盗子「いや、火力とかの問題じゃないよ!やっぱ勇者たるもの剣で勝負しようよ!」
赤錬邪「俺に効くのは魔法だけだ。ま、「勇者」の初級魔法ごときじゃ無駄だがな。」
勇者「いいだろう。貴様のその自信は、自惚れだということを思い知らせてやる。」
赤錬邪「ぬ…?」
勇者「かつて、村一つを一瞬で滅ぼした最恐の魔獣がいた…。」
盗子「なっ!そ、それってまさか…!」

勇者「さぁ来い! いでよ、チョメ太郎ーーー!!」
勇者はチョメ太郎を呼んだ。

だが何も起こらなかった。

 

2-208:抜刀〔13歳:LEVEL25〕
ポーズまで決めて呼んだのに、チョメ太郎は来なかった。 あ、あの野郎め…!
勇者「…さ、さぁ食らうがいい!我が必殺魔法、「チョメ・ターロン」を!」
盗子「無理があるよ!思っきし魔獣って言っちゃってたし!」
声「ポピュッパー!!」
盗子「って、キターー!?」
勇者「ほ、ホラ見ろ! よーし、我が武器庫であるチョメ太郎が来たからには…」
暗殺美「なんちゃってさ。(声帯模写)」
勇者「ブッ殺す!!」
巫菜子「やれやれ…。剣が効かねぇ敵の前には、「勇者」がこれほど無力とはなぁ。」
勇者「あん?ナメるな腹黒。俺が剣を抜かんのは弱いからじゃない。むしろ逆だ。」
赤錬邪「なにぃ…?」
勇者「技の威力が強すぎてな。盗子の身の安全を保証しきれん。」
盗子「えっ、なんでアタシ限定なの!?」
勇者「冗談だ、お前の安全なんかどうでもいい。」
盗子「そっちが冗談なの!?」
勇者「だが、まぁいいだろう。これしか道が無いというのなら、見せてやるよ。」
赤錬邪「ふぅ…やっとまともな戦闘になるわけか。待たされたものだ。」
勇者「さぁ見るがいい赤錬邪…我が魔剣からほとばしる、暗黒の波動を!!」
勇者は自分の立場を忘れている。

 

2-209:必殺〔13歳:LEVEL25〕
もはや茶番もこれまで。血の惨劇の果てに、コイツが真の赤錬邪になる時がきた。
盗子「えっ、なにその剣!?ゴップリンの魔剣は!?呪いはどうしたの!?」
勇者「これはあの剣の本来の姿、「魔神の剣」だ。俺の魔力をその力の源とする。」
暗殺美「魔神に魔力…似合い過ぎてて笑えもしないさ。」
盗子「わーん!勇者がどんどん「魔王」に近づいてくよー!」
巫菜子「いや、アイツの中には半分…魔王通り越して「魔神」目指してねぇか?」
盗子「いやぁーん!帰ってきて勇者ぁー!!」
勇者「よし行くぞ赤錬邪!必殺…」
声「ポピュッパー!」
勇者「そう、ポピュッ…え゛っ!?」

チュドーーーン!!(爆発)
ズガガガガガン!!(連射)
ズドドドォーーン!!(大爆発)
赤錬邪「ぬぉあああああ!!?

チョメ「ポピュッパプー!!」
チョメ太郎が現れた。

チョメ太郎の攻撃。
赤錬邪はフッ飛ばされた。
勇者は見せ場を奪われた。

 

2-210:発掘〔13歳:LEVEL25〕
来ないと思ったら、タイミングをズラして現れたチョメ太郎。そして早速大暴れ…。
盗子「ちょ、チョメ太郎!?結局来ちゃったのアンタ!?」
チョメ「チュペパプ!」
暗殺美「挨拶よりもまず攻撃…。ペットは飼い主に似るとはよく言ったもんさ。」
勇者「こ、この野郎…!呼んでも来ないどころか俺の見せ場を奪うとは…!」
巫菜子「ま、まぁいいじゃねぇか。赤錬邪も消し飛んだみてーだし…ん?」
巫菜子は瓦礫の中に何かを見つけた。
盗子「な、何コレ…棺?今の爆撃で掘り返されたんだろうけど…。」
勇者「開けてみよう。宝箱があったら迷わず開ける…それが「勇者」の使命だ。」
盗子「それって使命だったの!?」
猿魔「ま、待て!古代語で何か書いてある! なになに…ジャ…シ…「邪神」!?」
盗子「えぇっ!邪神!?あの邪神!?」
巫菜子「封印の地がここら辺とは聞いてたが…まさか城の地下とは…。」
勇者「こ、この中に、伝説の邪神が…!!」

開ける前に言えよ。
言う前に開けるなよ。

 

2-211:中身〔13歳:LEVEL25〕
古代語で「邪神」と書かれていたらしい棺を、ウッカリ開けてしまった俺。
だがまぁ、気にすまい。どうせどう頑張ってもこの手の輩は復活するのが世の常だ。
復活させちゃいけない奴を敢えて復活させ、倒す。そして伝説となるのが「勇者」だ。
ゴゴゴゴゴゴ…!(轟)
猿魔「な、なんてことを…!」
盗子「どどどどどうしよ!? ほ、本物…なのかなぁ?」
勇者「いや、わからんぞ!いつものパターンだと超高確率で中身は姫ちゃんだ!」
ズズズズズ…!(出)
巫菜子「うわっ、なんか手が出てきたぞ!姫の手にしちゃ青白すぎる!」
暗殺美「・・・・・・・・。」

ガコン。(閉)
暗殺美は棺を閉じた。

 

2-212:復活〔13歳:LEVEL25〕
棺を閉めたら、禍々しい気配も消えた。どうやら再封印は簡単にできたらしい。
だが、本当にこのままでいいのだろうか。半端な封印は、いずれ脅威になりかねん。
勇者「みんな聞け。やはり邪神は復活させよう。 そして討つ!それがベストだ。」
盗子「バッ…何言ってんの!?なんでわざわざそんな危険なマネを…!」
猿魔「…いや、その通りかもしれん。奴が「完全体」となる前ならば、あるいは…。」
巫菜子「完全体…?どういうことだよ? じゃあ封印解いた直後はまだ不完全体?」
猿魔「封印術の多くは、完全復活には血が必要だ。穢れ無き…「処女の血」がな。」
盗子「や、ヤバいじゃん!アタシらみんなターゲットじゃん!穢れ無き乙女達だし!」
勇者「黙れ汚物。誰が貴様なんぞの血をすするか。」
盗子「アンタこそ黙れよバカー!アタシだって蚊にぐらい刺されるもん!」
暗殺美「蚊…。あまりの次元の低さに不覚にも泣けてきたさ。」
猿魔「だが早まるな勇者。援護を呼んだ後でも遅くは無いと思うぞ。」
勇者「…ま、確かにそうかもな。さっき感じたオーラ…このメンツじゃ苦戦は必至だ。」

ゴゴゴゴゴゴ…!(轟)

勇者「ッ!!? な、なんだこの邪悪なオーラは!?」
盗子「えっ!で、でもまだ棺は開けてないよね!?」
声「貴様か…?」

麗華「これは貴様の仕業か!?勇者ぁーー!!」
鬼の形相で麗華が現れた。

その額には「内」と書かれている。

 

2-213:誤解〔13歳:LEVEL25〕
思ったより早く、麗華は目を覚ました。そして、思ったより早くイタズラに気づかれた。
いつかやってみたいと思っていたのだが、予想以上の反応に戸惑いを隠せない。
勇者「よ、よぉ。やっと起きたか麗華よ。きょ、今日も相変わらずお美しいぞ。」
麗華「…その言葉で疑いは確信に変わった。貴様の死因はその「お茶目心」だ。」
盗子「う、内!?中の「人」が足りなくない!?中途半端だと逆に恥ずかしいよ!」
勇者「フッ、「人でなし」だけにな。」
盗子「うまいこと言ってる場合じゃなくない!?」
麗華「覚悟しろ。 顔は乙女の命…それを穢した者に、贖罪の機会は無い!」
勇者「も、門太!隠れてないで出てこい!そして門を開けろ! 逃げるぞ!!」
門太〔物陰〕「お…お呼びになった門太は、現在使われておりやせん…。」
勇者「ブッ殺すぞ!? とりあえず出て来い!そして門を開きやがれ!」
門太「や、で、でも…。」
勇者「黙って開け!」
門太「そんな…。」
勇者「いいから開け!」
姫「いいの?」
勇者「いいよ!」
姫「開けたよ。」
勇者「開けたか!」
邪神「出てきたぞ。」
勇者「出てきたかーーーっ!!」
姫は棺を開けた。

邪神が復活した。

 

2-214:瞬殺〔13歳:LEVEL25〕
どこにいたのか、突然出てきた姫ちゃんが、勘違いして邪神の棺を開けてしまった。
復活した邪神は、なんと俺達と同じ…いや、むしろ小さいくらいの少女でビックリ。
こんな奴がホントに邪神なのだろうか。もしかしたら、何かの間違いかもしれない。
勇者「貴様…ホントに貴様が邪神か?どう見たってガキじゃないか。」
暗殺美「なんか強そうじゃなくて拍子抜けさ。それに女で「バキ」ってのも変さ。」
盗子「で、でもわかんないじゃん!もし本物だったらえらいことだよ!?」
門太「そうっすよ兄貴!とりあえず逃げやしょう!門を開くんで…」
邪神「・・・・・・・・。」

ピィッ!(光)
邪神の扇が激しく光った。

門太がいた場所が消し飛んだ。
勇者「なっ…? も、門太!?門太ぁーーー!!」
邪神「「門番」は邪魔じゃ。弱き者どもに無駄な機会を与えよる。」
勇者「き、貴様…よくも門太を!よくもあんな便利な能力を!」
盗子「そっちを嘆くの!?もうちょっと命を大事に考えようよ!」
邪神「これでわかったか小僧?わらわが本物か否か。」
勇者「わからん…わからんな!俺は認めんぞ貴様なんか!」
邪神「物分りの悪い小僧じゃな。もう一度見せねばわからんか?」
勇者「フン、望むところだ!!」
盗子「なんでアタシを指すの!?」
これで門太も寂しくない。

 

2-215:本領〔13歳:LEVEL25〕
邪神の一撃で、門太は灰と化した。 門太…(使い勝手の)いい奴だったのに…。
勇者「ここは危ない。下がってろ姫ちゃん、暗殺美、巫菜子、猿魔、あと姫ちゃん!」
盗子「アタシは!?姫を二度言う余裕があるならアタシにも…!」
邪神「おなごはわらわの生け贄じゃ。その前に、邪魔な貴様を消し去ろうぞ。」
ピィーー!(閃光)
邪神の攻撃。
勇者は破壊神の盾で防いだ。
勇者「おっと、この盾にはそんな半端な攻撃は通じないぜ?」
邪神「その力…そうか、それは「破壊神:レーン」の力を宿す盾じゃな?こざかしい。」
勇者「こざかしいのは貴様だ! 食らいやがれ!刀神流操剣術…」
邪神「フ…そんな攻撃、我が「邪流演舞」の前には無力ぞ。 そびえよ「扇風壁」!」
邪神は扇を振るった。
邪神の前に風の防壁が現れた。
勇者「なっ、風の壁だと…!?」
邪神「この風は地獄の風、中は魔の領域。邪悪な者しか入ることはでき…」
勇者「ふむ。なかなか心地よい風だな。」
邪神「入っとるぅーーーー!!」
勇者は本領を発揮した。

 

2-216:食事〔13歳:LEVEL25〕
邪神の懐に入ることに成功した。どうやら思ってたほどの強敵ではなさそうだ。
邪神「き、貴様何者じゃ!?その盾や剣といい、どう考えても魔の…」
勇者「俺の名は「勇者」。世界で一番、好き勝手が許される男だ。」
盗子「そんな解釈で今まで生きてきたの!?」
邪神「勇者…覚えておこう。いずれ貴様はわらわが滅ぼしてくれるわ。」
勇者「「いずれ」なんか無い! 刀神流操剣術、十の秘剣「十刀粉砕剣」!!」
勇者の攻撃。
邪神は扇で防御した。
だが防ぎきれなかった。
邪神「うはぁっ! チッ、やはりまだ力が足りなすぎる…!」
盗子「ぃやっほー!やっちゃえ勇者ー!」
邪神「…しばし休戦じゃ。やはりわらわは食事を摂ることにしよう。」
勇者「あ?食事…? ハッ!ヤバい! 逃げろ女ども!!」
女子「!!?」
邪神「逃がすかぁーー!!」
邪神は襲い掛かった。
勇者は間に合わない。
ボフゥ~ン!(煙)
邪神「なっ!? え、煙幕だとぉ…!?」
声〔煙〕「フン、「暗殺者」をナメんじゃないさ。こういう芸当はお手のモンなのさ。」
勇者「おぉ、でかしたぞ暗殺美!みんなを連れてそのまま逃げろ!」

ゴンッ ガン ドテッ ゴン

声〔煙〕「…下手に動くと危ないさ。」
勇者「死ねっ!!」
暗殺美はタンコブができた。

 

2-217:痛恨〔13歳:LEVEL25〕
しばらく待つと、煙は晴れた。このままではまた、邪神は姫ちゃんを襲いかねん。
勇者「女を襲う暇など与えん!とっとと闇へと還るがいい!!」
ガキン!ガガキン!チュィン!
巫菜子「す、スゲェ戦いだ…!勇者の奴、いつの間にあんなに強く…!」
暗殺美「でも邪神もさすがさ。あれで不完全体ってのが信じられないさ。」
ガィン!チュィン!ズバシュ!!
邪神「くぅ…!」
勇者「フッ。なんだ、伝説の邪神とやらも大したことないな。ガッカリだぞ。」
邪神「…どうやら今の状態で、さらに手を抜いて勝てる相手ではないようじゃな。」
勇者「あん?まるで本気を出せば勝てるような口ぶりだな。」
邪神「信じられぬか?ならば見るがいい。 邪流演舞…奥義、「大旋風葬」!!」
勇者「なっ…!? ぐぁああああああああああっ!!
ズゴォオオオオオオオン!!
痛恨の一撃。
勇者は激しく吹き飛び、壁に叩きつけられた。
勇者「ぐおっ…!な、なんだ今の技は…!? ぶはっ!!(吐血)」
邪神「ハァ、ハァ、ほぉ…今のを受けてまだ五体があるとは、頑丈な小僧じゃ。」
盗子「ゆ、勇者!どどどどうしよう!? ハッ、そういや麗華姐さんは!?」
麗華「スピー…。(姫と)」
盗子「二度寝!?こんな非常時に!」
邪神「復活のために力を抑えていたが、それもヤメじゃ。今は全力で貴様を討とう。」
勇者「くっ…ゴフッ!」
邪神「さぁトドメじゃ。いま一度食らうがいい…「大旋風葬」!!」
盗子「ゆ、勇者ぁーーー!!」
邪神、必殺の一撃。

だが何者かが勇者を救い出した。
盗子「えっ…?」
邪神「チッ、何者…!?」

審判「セーーーーーフ!!」
盗子「えーーーーっ!!?」
緊迫感が消え去った。

 

2-218:即死〔13歳:LEVEL25〕
危ないところを、謎の審判に救われた俺。一体コイツは何者なんだろう?
勇者「だ、誰だ…貴様は…?」
審判「…お前はまだ、死ぬべき男じゃねぇ。まだ生きてやるべきことがあんだろ?」
勇者「その声…どこかで…。」
邪神「何者じゃ貴様は?まぁわらわに逆らうとあらば、誰とて容赦はせんがな。」
審判「フン。不完全体な奴が、この俺に勝てるとでも思ってんの゛っ!かぁぁぁぁぁ…」
審判は大地の裂け目に落ちていった。
勇者「自分から穴に…一体どんな技だ!?新手の攻撃にしては斬新すぎるぞ!」
盗子「違うよ勇者!アイツの攻撃がモロに当たったんだよ!あっち見て!」
チョメ「チョ、チョプー!」
赤錬邪「よくもやってくれたなぁ珍獣め。人間様に逆らうとは生意気だよ、オラァ!」
チョメ「チュパプッ!
赤錬邪が現れた。
チョメ太郎は蹴り飛ばされた。
勇者「貴様…生きていたのか。しぶとい奴め。」
赤錬邪「フン、爆風で軽く飛ばされただけだ。何度も言うが俺には魔法しか効かん。」
勇者「チッ、この忙しい時に…!」
チョメ「プー!!」
暗殺美「やめとくさチョメ太郎、アンタが暴れるとむしろウチらが危険さ。」
声「な、なんだコレはーー!?」
勇者「!?」

麗華「この落書き…貴様か勇者ぁーー!?」

チッ、この忙しい時に…。
そっちは自業自得だった。

 

2-219:濡衣〔13歳:LEVEL25〕
しぶとくも生きていた赤錬邪と、タイミング悪く起きてしまった麗華。こりゃピンチだ。
だが麗華は寝ぼけていて、さっきのことは忘れているようだ。 よし、それならば…。
麗華「さぁ勇者、説明してもらおうか。この笑えんイタズラの真意をなぁ!」
勇者「ち、違う俺じゃない!アイツがさっき書いてたぞ!とても楽しそうに!」
赤錬邪「えぇっ!?」
赤錬邪は「濡れ衣」を装備した。
赤錬邪「ま、待て!よく考えろ、どこの世界にそんなお茶目な悪党がいる!?」
麗華「言い訳は要らん。乙女を愚弄した罪は、死をもって償うがいい!!」
ザシュッ!(斬)
赤錬邪「くっ…!って、まぁどうせ俺にはそんな攻撃は…ぐわぁあああああ!?
赤錬邪は大ダメージを受けた。
赤錬邪「ぐっ!そ、そんな…!この「魔欠戦士」である俺に、剣の攻撃が…!?」
麗華「ただの斬撃ではない。 炎を纏った真紅の秘剣…「魔法剣:火炎桜」。」
赤錬邪「ま、魔法剣!? バカな!それは本来、剣士と魔法士の協力技で…」
麗華「生まれは魔道の家系でな。どうだ、器用なもんだろう?」
赤錬邪「な、ならばなぜ今まで使わなかったのだ…!?」
麗華「生家のことは思い出したくもない。だから封印していたわけだが…キレたわ。」
赤錬邪「はわ…はわわ…!」
麗華「ワシは生のトマトは好かんが、焼きトマトは嫌いじゃないぞ?赤の戦士よ!」
赤錬邪「ひ、ひぃいいいいい!!」

ザシュッ!(斬)
ババババシュッ!
(連撃)
ズゴォオオオオオオ!!(炎上)
赤錬邪は黒錬邪になった。

 

2-220:玉砕〔13歳:LEVEL25〕
麗華の容赦ない攻撃で、赤錬邪は人とは違った物質へと生まれ変わった。
だが、まだ最大の敵である邪神バキが残っている。 さて、どうしたものか…。
邪神「誰だか知らぬが、おかげで少し休めたわ。あの死者に感謝しよう。」
勇者「麗華はまだトランス状態だし、俺もまだダメージが…チッ、だがやるしか…!」
巫菜子「けどあの扇はハンパじゃねーぜ?まずアレをなんとかしねぇと…!」
姫「パンツがめくれちゃうよね。」
暗殺美「論点が違うさ姫!てゆーかパンツがめくれたらえらいことさ!スカートさ!」
盗子「…わかった、アタシがなんとかするよ。アレを奪えばいいんだよね?」
勇者「なっ…!?」
盗子は邪神に向かって飛び出した。
勇者「や、やめろ盗子!お前なんかが…」
盗子「わかってる!死ぬかもしんないけど…でも頑張るよ!」
勇者「目立つな!!」
盗子「えっ、そういう意味!?」
暗殺美「バッ…盗子!前を見るさ!!」
盗子「えっ…ヤバッ…!!」
邪神「遅いっ!死ねぇえええええええええ!!」

ブシュッ!!(貫)
邪神の攻撃。
邪神の腕が盗子の胸を貫いた。

 

2-221:活躍〔13歳:LEVEL25〕
調子に乗って飛び出していった盗子は、案の定邪神の一撃で儚く散った。バカが!
盗子「ぅぐっ…くはぁっ!!(吐血)」
勇者「と、盗子ぉーーーー!! 貴様ぁ…!!」
巫菜子「邪神が血を浴びちまった…。や、ヤベェぞ!」
邪神「フ…ハハ…アハハハ!! やったぞ!これで完全体に…!!」
勇者「くそっ、なんてことだ…!最悪の状況だ…!!」
邪神の体が怪しく光…らなかった。
邪神「…って、何も感じんぞ!?なぜじゃ!!」
勇者「!!?」
暗殺美「ま、まさかホントに穢れてたせいかさ!?顔が!」
巫菜子「いや、顔は関係ないような気が…。」
邪神「ど、どういうことじゃ…!?」
盗子「ぐふっ…フフ、やはり「雄猿」の血じゃ意味無かったか…?残念…だったな。」
邪神「き、貴様…もしや写念獣か!?じゃあ本物…あ゛っ…!」
勇者「なにっ…!?」
盗子B「とぅっ!!」
盗子は邪神の手から扇を盗んだ。

実に数年ぶりの活躍だった。

 

2-222:昇天〔13歳:LEVEL25〕
邪神に立ち向かったのは、盗子ではなく盗子に化けた猿魔だった。いつの間に…。
猿魔「ぐふっ…ハァ、ハァ…どうだ勇者?俺の一世一代の…大芝居は…?」
勇者「そうか、さっきの煙幕に乗じて…。」
盗子「偽勇者!しっかりして!目ぇつぶっちゃダメだよー!」
猿魔「俺は、もうダメだ…。 なぁに、どのみちもう寿命だった…悔いは無いさ…。」
暗殺美「死をいとわない決死の作戦…猿ながらアッパレな奴さ。」
盗子「ぐすん。アンタと過ごした半年間…えぐっ、わ、悪くなかったよ。偽勇者…。」
猿魔「ジャクソン…。」
盗子「盗子だからっ!!」
猿魔「勇者…任せたぞ。この世界…お前に…託した…。」
勇者「…ああ、安心しろ。いずれ世界は俺のモンだ。」
猿魔「な、なんだか不安になってきたな…。」
勇者「お前には礼を言っても言い切れんな。いつか天国で、酒でも奢ろう。」
猿魔「酒か…そりゃ…楽しみだな…。 だがお前はどう考えても地獄い゛っ!!
勇者は介錯を買って出た。

 

2-223:決着〔13歳:LEVEL25〕
全ての役目を終え、猿魔は逝った。門太に続きまたしても便利な能力が…残念だ。
勇者「さぁ邪神よ、滞納していた年貢を一気に納める時だ!観念するがいい!」
邪神「こ、この状況で丸腰…。さて、どうしたものか…。」
麗華「やるぞ勇者。二人でかかれば勝利は確実だ。」
勇者「いや、俺だけでいい。今なら使えそうな気がするんだ、「千の秘剣」がな。」
麗華「千の?調子に乗るな。アレは刀神流操剣術の奥義…お前にはまだ早い。」
勇者「ナメるな!俺だってやればできるさ! 「百の秘剣」ぐらい!」
麗華「下がってるじゃないか!さりげなく思いっきり妥協してるじゃないか!」
勇者「そんなこんなで貴様を倒す!覚悟はいいか、邪神バキ!!」
邪神「チッ…!」
勇者は剣を構えた。
邪神は逃げ出した。
勇者「頼む姫ちゃん、奴の動きを止める魔法を!」
邪神「甘いわ!そのような魔法に掛かるほど…」
姫「ダルマさんがコロリン!」
邪神「えっ…!? あ゛っ!」
勇者「止まっちまった貴様の負けだー! 食らえ百の秘剣、「百刀霧散剣」!!」

ズバババババババシュッ!!(連撃)


邪神「う゛っ、うわぁああああああああああ!!
勇者、会心の一撃。
邪神に致命的なダメージ。

勇者は邪神を倒した。


いぃぃよぉお~!ポンポンッ!(効果音)

勇者はレベルが上がった。
勇者はレベル26になった。

いぃぃよぉお~!ポンポンッ!(効果音)

姫は何もしてないのにレベルが上がった。
姫はレベル40になった。

え゛っ、40!?

 

2-224:電影〔13歳:LEVEL26〕
激戦の末、なんとか邪神を倒した俺。 色々あったがこれでもう一安心だ。
大地の裂け目に落ちたため、死体を見てないのが少し気掛かりだが…まぁいい。
仮にまだ生きていたとしても、あの状態じゃすぐに死ぬだろう。 俺達の勝ちだ!
などと考えながら一服ついていると、なにやら魔獣らしき鳥が何かを運んできた。
勇者「む?なんだこの珍妙な鳥は? 俺の肩で羽根休めとは生意気な。」
麗華「どれどれ? お、コヤツは教師殿の伝令獣ではないか?」
一同「Σ( ̄□ ̄;)!?」
一同は恐怖に震えた。
邪神を見た時よりもビビッている。
盗子「はわ…はわわ…!(震)」
魔獣「ピャウ。」
勇者「コレは…「電影玉」じゃないか。奴め、また何か企んでやがるのか…?」
〔電影玉(でんえいだま)〕
燃やすと煙が具現化する魔法の玉。
最大五分ほどの映像を録画できる。
勇者「チッ、仕方ない。見たくはないが、見なきゃ殺されそうだし…ったく。」
モクモクモクモク…(煙)
教師「やぁみなさん。コレを見ているということは、無事みたいでなによりですよ。」
盗子「フン、なにさ。肝心な時にいなかったクセして偉そうに。」
教師「ハイ盗子さん、今度会ったらお仕置き決定です。」
盗子「えぇっ!?なんで返事できんの!?これって再生専用だよね!?」
暗殺美「きっと違法な何かでどうにかしたのさ。まったく怖ろしい男さ。」
勇者「で、なんの用なんだ?わざわざこんなの寄こしたんだ、何かあるんだろう?」
教師「いや、ちょっとだけ言いたいことがありまして。 要は「まだ気を抜くな」とね。」
勇者「気を抜くな?五錬邪はもう全員倒した、不安な要素はもう無かろう?」
教師「彼らはリミッターを外せた…。狂人にしかできない荒業をほぼ全員が、です。」
勇者「だから何が言いたいんだ?要点をハッキリ言いやがれ。」
教師「何者かが彼らを操り、内側から無理矢理解放させたとしか思えません。」
勇者「なっ!?じゃあ、「洗脳」みたいな魔法が掛かってたってことか!?」
教師「フフフ、イヤですねぇ。そんな便利な魔法が」
勇者「あるかもしれんだろうが!貴様が知らないだけかも…」

教師「あって、私が放っておくとでも?」
これ以上に無い説得力があった。

 

2-225:旅立〔13歳:LEVEL26〕
五錬邪を倒した俺達は、教会に身を潜めていたらしいシジャン王にもてなされた。
王「よくやってくれた勇者よ。好きなだけ褒美をとらそうぞ。」
勇者「あん?なんだ貴様、救ってもらった分際で上から目線とは生意気な!」
王「え、いや…その…すみません。えと、褒美はたんまり用意させていただきます。」
勇者「フッ、当然だ。とりあえずこの口座に有り金を全部振り込…ぐぇっ!
麗華「王の御前だ、お前こそ慎め勇者。それに「勇者」が褒美を求めるとは何事だ。」
王「お、おぉありがとう。喋りがババ臭い剣士よ。」
麗華「前言撤回だ勇者、身包みどころか皮まで剥いでやるがいい。」
王「ひ、ひぃいいいいい!!」
姫「なんかお祭りムードだね。」
盗子「アンタの頭ん中だけねっ!」
暗殺美「どうでもいいけど早くご飯にしてほしいさ。お腹が大合奏の準備中さ。」
メイド「あ、ハイ。それではご用意いたしますね。好き嫌いとかおありですか?」
盗子「ん~、アタシは特に無いかなぁ? 大丈夫っ☆」
メイド「じゃあ適当にそこらの草でも…。」
盗子「なんでっ!?」
勇者「よーし野郎ども!宴だ! 声帯がブチ切れるまで騒ぐがいいっ!!」
国民「うぉおおおおおおお!!」
勇者はそのまましばらく居座った。
その間、国は大いに荒れた。
数日後…。 皆で散々食って飲んでしまくったせいか、国の食糧が尽きかけてきた。
心なしか、国民の俺達を見る目も濁ってきたように思える。 これは、マズい。
「勇者」の美学として、去り際は美しくなければならないと俺は思うのだ。
ホントはもう少しのんびりしたいところだが…平穏は剣を鈍らせるしな、仕方ない。
勇者「とまぁそういうわけで、ぼちぼち旅立とうと思う。お前ら準備はいいか?」
盗子「うん☆ でもどこ行く気なの勇者?もう五錬邪はいないわけだけど…。」
勇者「中央だな。「帝都:チュシン」…人が多く集う場所ほど、情報は集まりやすい。」
盗子「情報…?他の神でも探そうっての??」
勇者「力はついた。今度こそ奴を…「魔王:ユーザック」を討つ時だ!」
盗子「うげっ、魔王!?」
暗殺美「魔王…そういや最近、とんと噂を聞かないさ。なんか不気味さ。」
勇者「奴ほどの男だ、このままなんてことはありえない。きっと何かを仕掛けてくる。」
姫「落とし穴とかね。」
勇者「フッ、この俺を落とそうなんて百年早いぜ!」
盗子「スケールがちっちゃいよ!どうせならもっと凶悪な罠とか想定しようよ!」
姫「地球が爆発するよ。」
盗子「魔王も死んじゃうじゃん!」
勇者「にしてもアレだな。なんとなくだが、カクリ島を出た日のことを思い出すな。」
姫「ん~。じゃあ今度のは…うん、「卒業旅行」だね☆」
暗殺美「いや、卒業旅行って言うには時間経ち過ぎちゃってる気がするさ。」
姫「「帰ってきた卒業旅行~激烈地獄巡り~」だね。」
盗子「だからそんな物騒なサブタイトルは要らないから!」
勇者「俺はお前が一番要らない。」
盗子「うわーん!相変わらず目がマジだよー!!」
麗華「オーイ勇者ぁー!船が来たぞ、早く乗り込めー!」
勇者「よし、行くか! 命の保証は今後も無い。わかった奴だけ、ついて来い!!」
一同「オォーーー!!」

こうして勇者達は、再び旅立った。



新たな力を身につけて

強大な敵を退けて

賢二のことはスッカリ忘れて




邪悪な魔王を倒すため









邪悪な勇者が行く。










〔キャスト〕

勇者
賢二
盗子


宿敵 奮虎
血子 マジーン
商南 メカ盗子
土男流 弓絵
相原 案奈
姫子 博打
栗子 召々
門太 チョメ太郎


暗殺美
麗華
スイカ割り魔人(秋臼)
無印





~その頃、シジャン川のほとりでは…~
審判「・・・・・・・・。」

ザッ、ザッ…(足音)

審判「ん? よぉ、遅かったじゃねーか。 約束通りコイツは拾っといたぜ。」
女「…いつまでそんなマスクを付けている気ですか?ゴクロさん。」
マジーン「ハハハ。いや、何気に気に入っちまってな。 で、首尾はどうよ?」
女「計画通りです。全ては少年達と五錬邪、そしてアナタのおかげですよ。」
マジーン「俺は何もしてねぇぜ?それにアンタの味方ってわけでもねぇよ。」
女「わかってますよ。確か自称「終末の見届人」…でしたっけ?」
マジーン「フッ、ああ。俺はただの見物人、面白ぇ未来が見てぇだけさ。」
女「では今後も見ていてください。きっと楽しめるでしょう。 …博打。」
博打「わかってるさマスター。手当ては済んだ、声かければ起きるぜ。」
女「さぁ、起きなさい邪神。もう何百年も、十分に眠ったでしょう?」
邪神「ぐっ…だ、誰じゃ貴様らは?わらわに引導でも渡しにきたか…?」
女「逆ですよ、アナタには復活してもらいます。私の計画のために、ね。」
邪神「フン、お前の血でか?じゃが、仮に生娘でもその歳じゃ…」
女「ふふ…じゃあコレでは、どうですか?」


巫菜子「う゛、うぅ…。」



邪神「…話を聞こうか、女。」






赤錬邪 群青錬邪(夏草)
桃錬邪(秋花) 黒錬邪(冬樹)
黄錬邪(春菜) 黄緑錬邪(巫菜子)


ソボー
ユーザック・シャガ(魔王)

偽ゴクロ 山族長 ナンダ
貧乏神 洗馬巣 栗尾根
大ボラ兄弟    


皇子
教師
勇者父(凱空)





その他の適当な人々






勇者「う~~む…。」
盗子「ん?どしたの勇者? さっきから唸ってるけど、何か考え事?」
勇者「盗子か…。 いや、前の先公の話が少し気になってな。」
盗子「あぁ…洗脳の話? 大丈夫だって。きっと先生の気のせいだよ。」
勇者「…ま、そうだよな。なんでも操れるなんてそんな都合のいい…」

「…んでも…きるのです。」

勇者「ッ!!? な、なんだ今の記憶は…!?」
盗子「えっ、な、なにっ!?」
勇者「俺は…前にどこかで聞いたことがある。聞いたことがあるぞ!」

「熟練…ば…なんでも…できるのです。」

勇者「そ、そうだ「あの時」だ!確かに”奴”はそう言った!「なんでも」と!」
盗子「あの時って!?ちょっ、アタシにもわかるように説明してよ!」



「私の真の職業は「操縦士」。熟練すれば、なんでも操縦できるのです。」



勇者「…ハッ!そういや邪神の武器はっ!?お前持ってたよな盗子!?」
盗子「へ? あれ?どこやっちゃったろ…って、だからそれがなんなの!?」
勇者「チッ、マズいぞ! 黒錬邪が言ってた、”奴”ってのは…!!」








〔ナレーション〕

オチの人







〔キャラクターデザイン〕

画家











ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…(雷雲)










春菜「さぁ行きましょうか、邪神バキ。」











〔制作・著作〕

創造主











第二部:「五錬邪討伐編」












 

第三部へ

付録( 1 / 2 )

第二部:登場人物

登場人物

 

〔赤錬邪〕
 
 

 

〔黒錬邪〕
 
 

 

〔奮虎(ふんこ)〕
 
 

 

〔マジーン〕
 
 

 

〔商南(あきな)〕
 
 

 

〔族長〕
 
 

 

〔黄緑錬邪(キミドレンジャ)〕
 
 

 

〔ナンダ〕
 
 

 

〔凱空(ガイク)〕
 
 

 

〔春菜(しゅんな)〕
 
 

 

〔秋花(しゅうか)〕
 
 

 

〔冬樹(とうき)〕
 
 

 

〔夏草(なぐさ)〕
 
 

 

〔貧乏神〕
 
 

 

〔相原〕
 
 

 

〔姫子〕
 
 

 

〔皇子(こうこ)〕
 
 

 

〔凶死(きょうし)〕
 
 

 

〔栗尾根(クリオネ)〕
 
 

 

〔門太(モンタ)〕
 
 

 

〔鉄仮面(覇者)〕
 
 

 

〔ソボー〕
 
 

 

〔召々(しょうしょう)〕
 
 

 

〔老婆〕
 
 

 

〔猿魔(エンマ)〕
 
 

 

〔邪神(バキ)〕
 
 

付録( 2 / 2 )

第二部:魔法&特技

魔法&特技

 

〔沈黙(ちんもく)〕
魔法士:LEVEL6の魔法。(消費MP6)
一定期間呪文の詠唱を封じる魔法。デート中に唱えると少し気まずくなる。
 

 

〔神出鬼没(しんしゅつきぼつ)〕
魔法士:LEVEL??の魔法。(消費MP??)※伝説の魔法なため詳しくは不明。
読んで字の如く神秘的な魔法。時々消しゴムが見当たらなくなるのもこのせいとか。
 

 

〔遺伝(いでん)〕
勇者:LEVEL15の魔法。(消費MP80)
一定時間、祖先の能力を半強制的に身に宿す。祖先がハゲなら高確率でハゲる。
 

 

〔招待(しょうたい)〕
召喚士:LEVEL20の魔法。(消費MP30)
どこかの誰かをランダムに呼び出す魔法。入浴中に呼ばれると大ピンチだ。
 

 

〔反射鏡(はんしゃきょう)〕
魔法士:LEVEL40の魔法。(消費MP50)
光術系の技を跳ね返す魔法。ジジイのハゲ頭の次くらいによく照り返す。
 

 

〔退散(たいさん)〕
除霊師:LEVEL20の魔法。(消費MP32)
一時的に悪霊を退ける魔法。成功率は低いので商用にはハッタリも必要とされる。
 

 

〔三位一体(さんみいったい)〕
賢者:LEVEL48の魔法。(消費MP220)
人間・魔人・魔獣等、三体を融合させる高等魔法。失敗すると面白いことになる。
 

 

〔突風(とっぷう)〕
魔法士:LEVEL20の魔法。(消費MP32)
激しい風を巻き起こす魔法。街角で使うとミニスカートの女性にボコられる。
 

 

〔転嫁(てんか)〕
勇者:LEVEL20の魔法。(消費MP30)
責任やダメージの対象を別対象に移し変える魔法。よく政治家が秘書に使う。
 

 

〔炎殺(えんさつ)〕
魔法士:LEVEL35の魔法。(消費MP33)
敵一体を取り巻き焼き殺す炎の魔法。焼きが足りないと客からクレームがくる。
 

 

〔無視(シカト)〕
魔法士:LEVEL14の魔法。(消費MP16)
指定した対象を無視できるようになる魔法。度が過ぎると学級会で問題になる。
 

 

〔降雹(こうひょう)〕
魔法士:LEVEL20の魔法。(消費MP32)
周囲に大量の雹を降らせる魔法。やたらに使うと気象予報士に嫌な顔をされる。
 

 

〔雷迅(らいじん)〕
魔法士:LEVEL40の魔法。(消費MP48)
敵1グループに強烈な雷を落とす魔法。ビビッとくるが恋じゃない。
 

 

〔火炎地獄(かえんじごく)〕
賢者:LEVEL50の魔法。(消費MP250)
究極の火炎魔法。 燃え上がれ 燃え上がれ 燃え上がれ ガンd(自主規制)
 

 

〔超防御(ちょうぼうぎょ)〕
魔法士:LEVEL40の魔法。(消費MP45)
高い守備力を誇る強力防御魔法。ガードの固いアノ子の得意技だ。
 

 

〔爆裂(ばくれつ)〕
魔法士:LEVEL37の魔法。(消費MP40)
爆発系の魔法。戦隊ヒーローものの戦闘シーン(背後)などでよく使われる。
 

 

〔熱血(ねっけつ)〕
魔法士:LEVEL23の魔法。(消費MP18)
学年1クラスぐらいを包み込む火炎魔法。思わず夕日に向かって走りたくなる。
 

 

 
創造主
~勇者が行く~(2)
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