詩人に口なし

世界

ヒトの観る世界がひとつだけとは限らないようだ。

この場合の世界とは、特定の価値観や理論を通じて、物理的対象を眺めたときに理解される領域のことである。世界は多分に、詩人の想像力を遥かに超越している。

 

・マクロ世界

 対象の同一性を確定できる(同種の対象が区別可能な)領域。古典力学が通用する領域であり、粒子の位置と速度から決定論的に算出可能な軌道という概念が有効である。

  因果律(原因が先で結果が後)が破れないために速度上限があり(局所性)、遠隔作用は禁止される。

 

・ミクロ世界

 同種の対象について同一性を確定できない(基本的に区別が不可能な)領域。量子力学が通用する領域であり、1個の粒子の軌道といった古典論的概念は役に立たず、また(角)運動量やエネルギー等の抽象的概念の方が有効である。

 個別粒子の見分けがつかないので位置と速度に基づくトレーシングは断念され(非決定論)、その状態を記述する量(関数、ベクトル)を用いた確率的計算のみ可能である。

 

cf)マクロ世界とミクロ世界との間に明確な境界があるわけではない。

詩人のための物理学

 ”Physics for Poets” (Robert H. March  著)は自然科学を専門としない文系のために書かれた物理学の本のタイトルである。
 詩人は物理学を極めたい訳ではなく、物理学理論を通して観た「自然」と共鳴したいのである。

座標変換


この顔がスカラ関数で表現できるのなら、

 座標変換によって変わらないが、

この顔の表情がベクタ関数で表現できるのなら、

 座標変換によって、少しはマシに変わるかもしれない。

 

時間と空間をまとめるだけなら、アインシュタインでなくてもできただろうが、

座標変換によって変わらないという物理の法則に、いったい誰が気付いただろうか。

超対称性

 素粒子の種類が2倍になるような景気のよい方法を、

 果たして自然が採用するであろうか?


 最小作用の原理を見給え、人類は自然が不経済なやり方を好まないことを知ったではないか!

 (とはいえ、別の解決方法が見つからないモドカシサから、気分を晴らしてくれるワケでもない。)


CF) 超空間は妄想の世界である。

無名のヒト
作家:無名のヒト
詩人に口なし
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