シンシア -秘宝城-

  暗く成って、撤退してかなりの時間が経っているように感じられていた。
  そう、この瞬間が<嵐の前の静けさ>なのだろうか。
  また、いつ戦争が起きるのか誰もが不安感を持っていた。
  人けがないように見える高層ビル群に明かりがついているのが、心の奥底に恐さを生んだ。
「・・・・・・何でこんなに静かなんだ・・・気味が悪い・・・・・・何で襲って来ない!?・・・・・・」

  初夏の朝は、明るく成るのが早かった。
  太陽が人間に<働き蜂>をせかし起こすように火時計を昇らす。
  交替で見張りをしていた高見澤 守(24)が望遠鏡を目から投げるように外して赤い緊急ボタンを押した。
「敵が来た~っ」

「アアアー」  ダダダダッ、
  機関銃を撃ち続けた。
「・・・何だ、こいつら~・・・!?  サングラス!?・・・・・・」 (まぶしさに弱いのか!?)
「・・・サングラスを撃てー・・・」
  顔辺りにマトを絞った。
  粉砕して落ちていく。
  サングラスが外されていく。
「ナニ~、目がないっ、悪魔の目が失明している・・・!?」

  ドッカ~ン、ドッカ~ン、コンクリートの地面に穴が開いた。
  しかも下から開いた。
  ゾンビが硬いコンクリートをバズーカ砲で爆破させ、地上に出て来たのだった。
「ハ~イ、お待たせ」 
  右肩にかついだバズーカ砲を人間側に方向を変えて撃って進んで来たのだった。
  つまり怪物達は、目が無かった、そして知能を持ち、進化していたのだった。

  激しく争っている中 団体に守られている物があった。
  オフサイドや演出をするように周りのゾンビや悪魔達が退いていく。
  人間の目の前に居たのは、一匹の頭にガラスの球体をかぶつた宇宙服姿の化け物だった。

「何だ、こいつ!?・・・!?」
  恐さを押し殺し、動かなく成るまで発泡し続けた、殴り続けた。
  抵抗は、あったものの思ったよりも軽く倒せたのだった。
  おおいかぶさり宇宙服の顔部分のガラスを粉々にし、顔を潰した。

  その時に成ってやっとの解った。
  顔がグシャと潰れた・・・ 腐っていた・・・身体中を銃口で探ってみた・・・穴だらけ・・・!?
  敵を見たら、そこだけ空間が出来ていた。
「・・・・・・これは、罠だ・・・みんな回避しろ、回避だ~」
  その通りだった、罠だった、それも人類がまだ知らない未開拓域の最悪の細菌兵器だった。
  持ち弾を消耗させ、生身の人間をいずれ死に至らしめるワクチン不能の頭脳戦闘プレイにまんまとハマっていた。
  本人が知らない間に少しずつ少しずつ、体を蝕んでいく。

「こちらヘリ!、こちらヘリ?、ビルの屋上の暗雲!?から、おびただしい程のゾンビが溢れ出て来て下に向かって歩いている!?」

「生きてこの方  あんないくつもの火柱  見た事ないよ」
 
「・・・・・・そうか、あのミサイルは、建物を爆発させる為の物じゃないんだ!? 粉塵をまいて暗闇を多くする為の物だったんだ」

「・・・直ぐに襲って来なかったあの時間は、計画の為・・・ミサイルの準備や電気の遮断だったんだ!?・・・」

「あの宇宙服のヤローも・・・ワ・ナ・・・!?」

  悪魔の軍隊は、高層ビル群やガソリンスタンドや発電所、ガスタンク、電波塔等を片っ端から、燃やしていた。
  ビックリしたのは、空中に向かってミサイルを何発も発射した事だった。
  後から、解った事だが奴らは、ミサイルの中に≪黄砂≫ならぬ微粉塵を入れて爆破させ、空中散布していた事が判明していた。

  そして1・5メートル程の和紙で出来ていそうな球体も宙に浮いていた。
  模様も色んな物があって気持ちが悪く、何だか解らない事が人間には、気に入られてなかった。

  最後の砦とされる司令本部に敵は、近付きつつあった。
  しかし、スーと敵を交わして一つの球体が司令本部に音も無く、難なくと入って来ていた。
  宙に浮いたまま停止して波動!?を出す。

  突然 夢を見ているかのように目の前に現れた球体に全員が気付いて弾が尽きるまで銃で発泡し続けたのだった。
  カラン、カラン、カラン・・・、ヤッキョウが飛散した音と同時に球体は、落ちた。  静寂の後、みんなが下を見て、まだ構えていた!?  (いつもと何か違う)
  それは、敵の周りの床や周りに殺傷後が全く無かったのとヤッキョウが散らばっていたからだった。

  みんなが徐々に近寄って行く。
  すると中央の奥に居た隊員の銃が飛散して落ちたのだった。
  その音に気付いて隊員を見ると顔と心臓から左腰までの二ヶ所を斜めに切られて擦り落ちる姿をみんなが目の当たりにしてしまったのだった。

「何なんだ!?」
  殺された隊員の右側に居た隊員が銃を構えていると下の自分の陰が立ち上がり、一瞬で心臓辺りを円柱に切り抜かれたのだった。
「あっ・・・!?」
  声のする方を見ると隊員の心臓部から向こうが丸見えの状態で次の瞬間 倒れたのだった。

  入口 右側に居た隊員が銃のトリガーを引いた・・・が弾は、発射されなかった。
  弾倉を外して見てみた。
  弾が入っていた。
  不思議な感覚の次の瞬間  大きなカマの先が、お腹から出て来たのだった。
「あアあアっ!?・・・」
「・・・俺が来た時に波動念を出したろう・・・銃は、役に立たなくなったんだよ!?」
  再度、再再度 カマを押し入れたのだった。
  隊員が宙に浮き、凄まじいばかりの大きな鎌が、その場に残った。

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
作家:MONALI PADORA
シンシア -秘宝城-
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