暇の潰し方

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1.はじめに( 1 / 2 )

1.はじめに

 

人間、四六時中緊張の連続では、寿命を縮めるのではないか。緊張と脱力、この絶妙のコン

ビネーションが、生物としての人間のDNAに組み込まれていて、人は知らず知らずの内にDNAの命ずるままに時間を過ごしているように思われる。

  筆者は、最近定年退職し、比較的自由な時間を享受している。享受しているとは、表向きで、自由な時間の配分に、時として自責の念に駆られる。これは、定年後まだ時間が経っていないためで、暇人としては、まだ入口に立っている程度なのであろう。対人関係は、凝縮された核家族時代の昨今、古女房との二人の関係のみとなり、濡れ落ち葉を嫌う相手は、

「少々でも良いから外出を増やして欲しい」、あるいは、

「目に付かないところに居て欲しい」

と口に出さないまでも、願っていることは態度から明らかである。

  そうすると、問題は暇のつぶし方になる。理屈が先に立つのが、男である。理屈っぽく暇を語って、暇を潰す。これで、少しは時間が潰れる。

  考えると、

「暇とは何か?」、

から始めなければならない。この辺りが、情には簡単に流されない男の男たるところと、入口ですでに酔っているのは、ちびちびやっている為だけではないようである。定年後、酒量が増えるのが普通らしいが、家で飲むからであり、限度と財布のバランス、距離と時間のバランス、気配りと傍若無人のバランス、などなどが、より酒飲みに荷担してくれるようになった。しかし、何もしないで酒だけを飲んでいるのはやるせない。昔の事が脳裏を掠める。良い思い出は少ない。

「あの時、あれさえしてれば・・・」、

など、自責の念が次々と現れ、悪酔いする。誰かを巻き込んで、飲むのが良いが、毎回では誰も寄りつかない。古女房は酒が飲めない。従って、筆者がなぜ飲んでいるか、理解できない。せめてテレビで好きな番組、スポーツや歴史物などを見ながらなら、意識を外へ向けて酒が飲める。その番組が、古女房のお気に入りの番組の裏に有ったりすると最悪である。チャンネル権は彼女に譲って久しい。時々はお慈悲で、こちらにチャンネル権が回ってくるが、正に時々である。
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尾井 建男
作家:尾井 建男
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