ラスボスの思想(39)

婚活とパパ活」から見える貧困

 

 婚活と言う言葉は、ここ数年使われているなじみのある言葉です。おそらく言葉からその意味が推測されます。婚活の意味を簡潔に言えば、男女双方に一定の条件を設定し、結婚の成就を目的とした男女の活動ということです。では、パパ活はどういう意味でしょうか?パパをママの対義語として解釈すると父親を意味することになります。そういう意味にとらえるとパパ活はより良い父親になるための活動という意味のように思えます。ところが、ここでのパパは全く意味が違うのです。

 

 パパ活とは、若い10の女子が、結婚を目的とせず、金銭的報酬を得るために年配者と交際するという意味なのです。この交際の具体的な内容は当事者にしかわかりえませんが、ここ最近流行っているそうです。婚活とパパ活は、上記の説明からわかるように、目的が全く異なる活動です。でも、共通する要素もあるのです。と言うのも、婚活対象において、男性側に一定の年収以上と言う条件のがあるのです。仮に、一定の年収に到達していない男性は、婚活すらできないのです。

 

 さて、婚活とパパ活の目的は、相違するものであることは理解できますが、そこにはお金という要素が共通しています。つまり、両者とも、お金が目的と言っても過言ではないようです。確かに、生きていくうえでは、お金は不可欠です。だからと言って、10代の女子が、なぜ、金銭的報酬を得るために年配者と交際をしなければならないのでしょうか?

 情報としては不十分とは思われますが、中高生の家出女子が、生きていくために年配者と交際をしているようなのです。彼女たちは、通常のバイトができないため、やむなく金銭報酬を目的とした交際を行っていると考えられます。一方、婚活は結婚が目的ですが、すでに述べたように男性側には、年収の条件があるのです。年収を条件に入れるということは、女性側から見るとお金が目的ともいえるのです。

 

 本来、結婚は、夫婦と子供からなる家族を形成するのが目的です。年収にこだわるということは、ある程度の裕福な生活を望んでいることを意味します。婚活において、お金に大きなウェイトが置かれているとなれば、実質的には、パパ活と類似していると言えます。法的結婚という名のパパ活と言ってもいいかもしれません。現代において、家族の安定は、夫婦の収入に大きく左右されます。現状では、夫婦共働きが一般化しています。

 

 ところで、今、日本の家族はどのような方向に向かっているのでしょうか?パパ活が話題になるということは、中高生の家出女子が増加しているということです。その一因に、経済的問題があるのかもしれません。婚活対象において、男性の年収条件があるのは、やはりお金が家族形成において重要だからです。お金を家族形成の要と考えると、今後、家族は崩壊していくように思われます。と言うのは、日本は、貧困国家に向かっているからです。このことは、切実な問題です。

 

 人は、生まれた時からお金に育てられて大人になっていきます。子供に、ミルクを飲ませるにも、ベビー服を着せるにも、玩具で遊ばせるにも、習い事をさせるにも、学校に通わせるにも、お金は不可欠です。そう考えると、人の心もお金によって育て上げられていると言っても過言ではありません。お金は、人生を左右する大きな要因であることは、否定できません。

 

 子育てのことを考えるならば、女性が男性にある程度の収入を求めることは必然でしょう。でも、家族は、お金があれば、成立するのでしょうか?おそらく、多くの人は、お金が十分あれば、家族は幸せになれると言われることでしょう。これは、間違いないでしょう。一方、生活ができないほどの貧困になれば、家族は崩壊してしまうのでしょうか?一概には言えませんが、貧困は、家族崩壊の一因であることは事実です。

 

 現に、離婚の一因に貧困があります。また、貧困が原因で親の失踪などもあります。さらに、それが原因で、子供の虐待を生み出している場合もあります。かつては、貧困がゆえに借金し、その返済に人身売買が行われていました。貧困は、生きていくうえで最大の恐怖と言っても過言ではありません。国際的にみると、現在でも、貧困は人身売買を生み出しています。

 では、貧困は、なぜ生まれるのでしょうか?一生懸命働いていないからだと言われる方もいらっしゃるでしょう。でも、貧困国家においては、一生懸命働きたくても働く職場がないというのが現状です。貧困は、本人にも何らかの責任はあるかもしれませんが、多くの場合、本人の責任ではないのです。真の責任は、国家にあるのです。例えば、年金を受給している老人を考えてみましょう。年金で十分な生活ができる老人は、働かなくとも生活できますが、現在の日本では、多くの老人は働かなくては生活できません。しかし、彼らが働ける職場には限りがあります。また、新社会人の場合も同様なことが言えるのです。

 

 今、アメリカでは信じられないほど多くの失業者います。さらに、大都市には、数十万のホームレスが路上生活をしています。この現状は、本人たちに責任があるのでしょうか?彼らのほとんどは、路上生活などしたくはないはずです。一生懸命働きたいのです。しかしながら、働くことができる職場がないのです。職場がないのは、国家の責任なのです。国家が、国民から職場を奪うような政策をやっているからなのです。

 

 貧困は、家族の崩壊を招き、殺人犯罪や麻薬犯罪を増加させていきます。そして、国家間の戦争を引き起こします。今の日本も貧困国家に突き進んでいます。このまま貧困が進めば、道徳心も伝統文化も崩壊し、犯罪国家になるでしょう。我々国民は、今、何をすべきなのでしょうか?それは、現状の政治に目を向け、今までの政治認識を改めることです。このことに気づいてる政党に参政党がありますが、ほとんどの国民は政治の未来について考えることができません。

春日信彦
作家:春日信彦
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