死神サークルⅢ

             連続失踪

 

 123日(木)長崎県警より、福岡県警に対馬北署の佐藤警部が失踪したとの報告があった。121日(火)、佐藤警部が無断欠勤のため、署より電話にて連絡を試みたが通話不能だった。全く、失踪原因がつかめず、連日、対馬市内を捜索中であった。また、元部下であった安倍警部補は、体調不良を理由に10月末をもって退職していた。本部長より捜索支援を命ぜられた伊達は、127日(月)より、対馬北署に向かうこととなった。

 

 125日(土)沢富は今後の菅原洋次捜索についての打ち合わせを行うために、伊達のマンションにやってきた。伊達と沢富は、瑞恵と美津子の会話が録音されたボイスレコーダーから、”正義への復讐”という菅原洋次の謎めいた思惑を知った。そのことから、今回の佐藤警部失踪と菅原洋次失踪には、何らかのつながりがあるのではないか、と二人は疑っていた。キッチンテーブルの椅子にどっしりと腰を据え、腕踏みをした伊達は、つぶやいた。「佐藤警部の失踪、いったいどういうことだ。安倍警部補は、10月末に、退職してるし。対馬北署は、呪われてるんじゃないか?」

 

 沢富が、うなずき返事した。「菅原洋次の失踪と関係ありますかね?まさか、何らかのうらみがあって、菅原洋次が佐藤警部を暗殺したってことはないでしょうね?ちょっと考えすぎですかね。ところで、安倍警部補は、すでに退職されてるそうですが、これも、何か引っかかりますね」伊達は、大きくうなずいた。「確かに。安倍警部補は、何も知らないということだが、それは、怪しい。須賀巡査長は、どうなんだ?」沢富が、首をかしげて返事した。「やはり、安倍警部補は、においますよ。きっと、何か隠してると思います」伊達は、う~~とうなずいた。「確かに、何も知らないってことはないだろう。でもな~、話になるかどうか?

 

 

 

 沢富が、質問しようとした時、ナオ子が、ミルクルイボスティーとリンゴを運んできた。「あなた、気味が悪いですね。警部が失踪するなんて、前代未聞じゃない。誰かに殺されて、海底に沈んでるとか?いや、山の中に埋められているとか?」伊達は、目を丸くして身を引いた。「おいおい、物騒なこと言うなよ。まあ、誰かに拉致されたと考えれなくもないが。警部に恨みを持つものは、一人や二人は、いるだろうからな~」ナオ子がお茶を勧めた。「冷めないうちにどうぞ。ルイボスティーは、血圧降下作用があって、体にいいのよ。もう、そろそろ、健康のことを考えてもらわないと。私をおいて、脳溢血で、コロッとあの世に行かないでくださいね」

 

 苦虫をつぶしたような顔の伊達が、返事した。「まったく、縁起でもないことを言うんじゃない。俺を殺す気か?わかってるけど、やめられないのが、たばこなんだ。俺も、つくづく嫌になる。まさに、たばこは、麻薬だな。少しでも、お酒を減らして、健康茶を飲むことにするか。できることと言えば、このくらいだ。なさけないな~~俺も」沢富が、助言した。「お酒より、たばこですよ。本数を減らさないと、血圧は下がりませんよ。冗談抜きで、命にかかわります。気持ちを入れ替えて、頑張ってみてください。そう、電子パイポを使ってみてはどうです?たばこの味がするそうですよ」一瞬、伊達は、沢富を睨みつけたが、眉を八の字にして返事した。「お前に、同情されるようじゃ、俺も先が短いな。わかった。一度、試してみるとするか」

 

 沢富が、目をむき出して伊達に質問した。「さっき、話になるかどうか、って言われましたよね。それって、どういう意味ですか。体調が悪いとは、聞いていますが、面会できないほどの病気なんですか?」伊達が、首をかしげて返事した。「それがだな~~、病気というのが、頭のほうだ。早く言えば、頭が変になったということだ。今、精神病で入院してるそうだ。まったく、訳が分からん」沢富とナオ子は、顔を見合わせた。沢富が、甲高い声で応答した。「頭が狂った。いったい、どういうことですか?アルツハイマーにでも、なったんですか?」伊達が、口をひん曲げて返事した。「統合失調症とか言ってたな。聞くところによると、発狂したらしい。俺は殺される。俺は狙われてる。助けてくれ。こんなことを叫んでるそうだ」

 

 

 沢富は、即座に返答した。「それじゃ、佐藤警部の失踪とかかわりがあるということじゃないですか?もしかしたら、佐藤警部と安倍警部補に恨みを持つものから、殺人予告の手紙が、送られていたんじゃないでしょうか?だから、安倍警部補は、殺される、と叫んでいるんじゃないですか?もし、そうだとしたら、佐藤警部は、拉致されているか、すでに、殺されているかもしれません。大変なことになりましたね」伊達が、即座に応答した。「おい、おい、そう、決めつけるんじゃない。まだ、はっきりしたことは、わかっていない。とにかく、安倍警部補に面会したいんだが、果たして、主治医の面談許可が下りるかどうか?」ナオ子が、口をはさんだ。「あなた、やめてください。頭が、変なんでしょ。面会中に、殴られでもしたら、どうするんですか」

 

 伊達が、うなずき返事した。「確かに、狂人は、何をしでかすかわからん。ま~、どの程度なのかは、主治医に聞いてみんとな。今のところ、安倍警部補に面談する以外、失踪の手掛かりがつかめないような気がする。とにかく、N病院に行ってみることにする」沢富が、不安げな表情でつぶやいた。「佐藤警部、いったい、どこに消えたんでしょう。無事だといいですね」ナオ子が、腕時計を覗いた。「もう、こんな時間。ひろ子さんと瑞恵さんがやってくる時間。今日は、すき焼きよ。佐賀牛を奮発しちゃった。来週から、対馬でしょ。くれぐれも、コロナにかからないようにね」伊達が苦笑いした。「そうだな。三密を避けて、用心するさ。でも、それにしても、11月に入ってから、急激に感染者が増加したな~」

 

 大きくうなずいた沢富が応答した。「感染者の増加なんですが、感染者は、日本人じゃないんです。ほとんどが、中国人なんです。11月だけで、約2万人、入国してるというじゃないですか。政府は、何を考えてるんですかね。中国人のための病院になってるですよ。医療崩壊が起きてるというのに、全く、けしからんです」ナオ子が、目を丸くして応答した。「え、そうなの。中国人が日本に入ってきてるの。いったい、どういうこと。GO TO キャンペーン、で中国人を入国させてるってこと。日本政府が、中国の出先機関になってしまったの。ばっかじゃないの。日本政府のやることじゃないわよ。この調子で、感染者の増加が続けば、私たちもPCR検査受けさせられて、偽陽性に、させられるんじゃない。あ~~、いやだ、いやだ」

 

 

 5時を回ったころ、ひろ子と瑞恵がやってきた。二人がテーブルに着くとナオ子は、ミルクルイボスティーを運んできた。「今日は、健康茶を飲んでね。コロナにかかったら、大変じゃない。そう、瑞恵さん、お店はどう?コロナ対策してるの?」瑞恵が、即座に応答した。「はい。しっかりやってます。でも、11月に入って、また、お客が減りました。東京、大阪方面からのお客が激減してるんです。今は、地元の常連さんだけなんです。こんなんじゃ、倒産するかも、って、ママが、へこんでます。本当に、どうなるんでしょう」ナオ子が、心配そうに返事した。「水商売は、大変ね。コロナ禍で、飲食業、レジャー業界、は大打撃でしょ。航空会社は、赤字続きで、倒産するかもしれないそうよ。いったい、日本はどうなるの?

 

 沢富が、大統領選挙のことについて話し始めた。「確かに、このまま中国マフィアの戦略にはまってしまえば、アメリカも、ヨーロッパも、日本も、台湾も、彼らの植民地になってしまいます。コロナパンデミックも、中国マフィアのウイルス兵器を使ったアメリカ大統領選挙攻撃です。今のところ、不正選挙であったとしても、選挙の結果では、バイデンが次期大統領になるでしょう。そうなれば、ますます、中国マフィアの勢力は、拡大します。最悪の場合、対抗措置として、トランプが、中国の軍事基地を攻撃するかもしれません。そうなれば、日本も戦争に加担せざる得ないでしょう。日本の立場としては、トランプの再選が好ましいのですが、どうなることか?

 

 政治の話に疎い瑞恵が質問した。「政治のことは、よくわからないのですが、バイデンが大統領になったら、日本政府は、中国人を大量に入国させるんですか?それと、今年、中国は、大洪水で農地があれて、穀物の収穫ができなかったと聞いています。来年、中国が食糧危機に陥ったら、日本の食糧を提供することになるんですか?そうなれば、日本のお米、パン、などの食料品の値段が上がるんでしょうね。貧乏人は、いつも、イジメられますね。警察官の給料だけじゃ、やっていけませんよ。どうしよう」沢富が応答した。「瑞恵さんのおっしゃる通りです。間違いなく、来年、中国は、食糧危機に陥ります。そして、日本の食品物価は、急上昇します。さらに、コロナパンデミックが続けば、中小企業の倒産が、急増します。これらは、日本だけにとどまりません。世界大恐慌です」

 

春日信彦
作家:春日信彦
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