南の短編集
聞いたぞ。
何度言ったら分かるんだ。
母さんに迷惑をかけるんじゃない!
まったく、それに比べて
あの子は聞き分けが良いなぁ
ほら、隣の吉原さん家の
ポチ夫な。
犬なのにな。
よっぽどいい子。
犬なのにな。
ウチの子と違って、
小さいし、フサフサだし、
何より待てが出来る。
どこで間違ったのかな
ウチの子は、フサフサじゃないし
百歩譲って
母さんを困らせるのは許すが
だったらフサフサしないと。
あと人間みたいだしなあ。
隣の吉原さん家のポチ夫は
本当に可愛い!
段違いですよ。
あー会いたくなっちゃった、
ちょっと隣の吉原さん家行って
ポチ夫をこっそり連れてきなさい。
そう、そうだよ
吉原さん家ではメルメルって
呼ばれてる、あのポチ夫だよ。
早く。
橋:これなんでしょうね?
先輩。
先:ん、どれ?
橋:駐車場の防犯カメラに映ってる
このモヤッとした白いやつ。
先:どれ?
橋:奥の赤い車の白いモヤッとした
先:これ?
橋:これは僕の指です。
先:橋竹くんの指ね、白いからさ。
橋:奥の白いモヤッとしたやつ、
ほら動いてますよ。
先:あぁこのボヤッとしたやつ?
橋:確かにボヤッともしてますね。
何でしょうね。
先:これはモニターに反射した
君の顔だ。
橋:じゃあ、それは僕の顔です。
それじゃなくて。
先:橋竹くん、白いから~
橋:いや、あのほら
こっちに向かって、あれ、
なんかこっちに気付いてる?
先:本当にわからないの?
橋:わっヤバイこれ画面がっ
画面全体がっ
先:もう、それに興味持ったら、
タイミング
皆が同じタイミングで
このシステムは発動しないからねっ
じゃあ、タチバナくん
カウント頼む。
タ:はっはい!わかりました。
タ:1
タ:2
タ:3
タ:4
タ:5
増えちゃった!
ダウンしてかないと、
どこでGOか分からないから。
熱海くん「3」で一回押してたからね。
タ:すみません、初めてだったので。
もう一回
仕切り直しで始めるよ。
皆、同時にね。
ハイ!お願いします。
タ:50
全員:長っっっ
あれこれ思案
・時間しか解決できない問題に対して、
あれこれ思案してもしょうがない。
思い巡らせるのは勿論自由なのだけど。
思い詰める段階迄、
深く潜り込んでも徒労しか収穫し得ないのです。
・答えが色々考えられる中で、
後はチョイスするだけ。
と言う状態に対して、
最早こういう答えもあるよ
何て言う足し算は、全くの不毛でしかなく
愚行にさえ分類されてもいた仕方なし。
まず、幾つ答えをシミュレートしていて
それを全て肯定して