「でも、何でカメラには雨澤の姿も声も入るんでしょうね」と、阪部が言った。
「さぁ?それは分からないけど、今、こうして、我々の眼には見えない雨澤君がカメラには映っていて、声も入っているという事は、〝雨澤君が死んで幽霊になった〟というのは、
本当のようだね」
「はい」と阪部が答えた。
「とても残念だよ・・・・・・」
「あ!!!」
「どうしたんですか?」と阪部が聞いた。
「でも、こうやって、雨澤君の姿も声も、カメラに収められるなら、雨澤君は、俳優を続けられるんじゃないのか!?」
「え!?」
「まぁ、共演者達は、姿も見えない、声も聞こえない雨澤君と演技をするのは大変だけど、色々工夫すれば・・・・・・」
「分かりました!!!やります!!!」と雨澤が答えた。
「え!?」と、阪部が驚いた。
「どうした?阪部君」とプロデューサーが聞く。
「コイツ、今、〝やります〟って言いました」と阪部が答える。
「そうなのか」
「はい」
「でも、お願いしたい事が1つだけあります」と、雨澤が言った。
「あの、コイツ、今、〝お願いしたい事が1つだけあります〟と言いました」と阪部がスタッフ達に言った。
「え?」
「僕が死んだ事を世間には公表しないでください」と雨澤が言う。
その事をまた阪部が雨澤の代わりにスタッフ達に伝える。
「コイツ、ファンの人達に自分が死んだ事を言わないで欲しいみたいです」
「そうなのか!?」