サンタクロースパイ

62.そして、表彰!!!

そこで、霧河の「サンタクロースパイ」としての今までの活躍や

無罪判決は、大きなニュースになり、テレビの報道番組や新聞などでも、あっちこっちで大きく取り上げられた。



そして、

彼の功績は、とても誉めたたえられ、公式に認められ、

表彰される事となった。時間が流れ、数か月後の授賞式にて・・・・・・



「おめでとうございます。あなたは、サンタクロースとして、

子供達に様々なプレゼントのみならず、夢や希望を与えた事を、

ここに賞します」と言って、賞状が授与された。



霧河は、それを受け取り、同時に、

表彰式に出席していた、たくさんの人達が

拍手し、とても大きな歓声が上がる。



〝パチパチパチパチ〟



「ワ~ッ!!おめでと~~~う!!!」と。



霧河は、拍手してくれた人達がいる方向に

振り向き、とても嬉しそうに笑顔で手を振り、

「ありがと~~~う!!!」と言った。

63.まさかの展開

だが・・・・・・



〝ガバッ〟



そう、コレは、霧河が見ていた夢だった。



実は、霧河は、

クリスマス・イヴである本日、深夜に色々な家にプレゼントを

渡して帰って来て、時間が経ってから、夕方、去年の

クリスマスに霧河が会社で倒れた時、あの女性社員から言われた、「自分の身体や睡眠を大事にして」という言葉に従い、

イヴではないクリスマス当日の深夜に備えて、ずっと、

自宅の寝室で寝ていたのだ。



「何だ~。夢か~。ビックリした~!!!まぁ、

そりゃそうだよな。現実離れし過ぎてたし。でも、今の事、全部夢だったのは、悔しいし、ショックだけど、サンタクロースの存在が公になって、全ての人が〝いる〟って知っちゃったら、何か、

ロマンがないもんな~。だから、これで良いのかもしれないな」

64.たとえ、犯罪だとしても・・・

時計を見てみると、時間は、23時37分だった。



「おっ!いっけね!!もうクリスマスになっちまう!!!

急がないと!!!〝真っ赤なお鼻の~トナカイさ~んは~♪〟、

って俺、トナカイ飼ってねぇけど(笑)」と言い、

あの、黒いサンタクロースの服を着て、玄関まで移動しようと

思ったその時、子供達をはじめとするたくさんの人達が

呼んでいる声が自分を呼んでいるような気がした。



「〝お兄さん〟、〝兄ちゃん〟、〝お兄ちゃん〟」などと。



「おっ!皆、俺を呼んでるな!!」



そこで、霧河はこんな事を思った。



(俺のやってる事は、確かに犯罪だ。だからいつか、

もしかしたら、この事が、本当に現実でもバレて、

もしかしたら、捕まってしまうかもしれない。でも、皆、

凄く喜んでくれるし、これからも、たくさんの人達に、

プレゼントだけじゃなくて、夢や希望も与えたい。だって、

それが、俺の生きる意味だと思うから)と。



外に出ようとした時、玄関に飾ってある、

霧河の幼い頃に、両親と一緒に撮った家族写真が目に留まり、

霧河は、笑顔で、

「父さん、母さん、行ってくる」と言い、

そして、玄関のドアを開けた。



〝バタン〟


「霧河竜令」。本名、「網田謎留」。これからも、彼は毎年、

クリスマスに、子供をはじめとするたくさんの人達に、

プレゼントや夢や希望を与えていくだろう。



クリスマスの朝、

〝枕元を見ると欲しいモノが置いてある〟という現象は、

もしかしたら、この、不思議な男が起こしているのかもしれない。

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