ピンク

 拓実も、口をモグモグさせながら話に割って入ってきた。「僕もアイドルになるんだ~~。早く、大きくなりたいな~~」秀樹が、拓実の顔を覗き込み返事した。「まあ、確かにかわいいけど、ちょっと、オカマっぽいな~~。でも、今、美少女系の男子が受けてるんだ。運が良ければ、将来、ブレイクするかも。その時は、お兄ちゃん、応援するし。夢は、デッカク。ガンバ」拓実は、ガンバ、と聞いて、笑顔でうなずいた。食事を終えた拓実は、「ごちそうさま」と小さな声で言って二階に上がっていった。ピザはまだ残っていたが、お腹いっぱいになった三人は、両手を合わせて「おごちそうさま」と言った。

 

 亜紀ちゃんが、ソファーの猫たちを見つめて話し始めた。「猫ちゃんたちにも、キャットフードをあげようか。二階に、キャットフード、たくさんあるから。イチゴは、もう普通のキャットフード、食べれる?」明菜は、即座に返事した。「柔らかくすれば、もう、食べれる」亜紀ちゃんは、二階に階段をかけていった。キャットフードをプラスチックのボールに入れて戻ってきた亜紀ちゃんは、キャットフードに水を足して少し柔らかくした。お皿にキャットフードを盛り付けるとフロアに並べた。「みんな、お食べ」三匹の猫をフロアに下ろすとお腹がすいていたようでモクモクと食べ始めた。

 

 猫たちがキャットフードを食べ始めた時、ガラガラと玄関の扉が開く音が響いてきた。「あ、ママだわ」しばらくするとアンナがキッチンに現れた。「みんな、ちゃんと食べた?拓実も食べた?あら、明菜ちゃんも来てたの。みんなで新年会ってわけね」亜紀ちゃんが、即座に返事した。「拓実にも食べさせた。ピザ、とってもおいしかった」秀樹が、直立不動でお礼を述べた。「とってもおいしかったです。さすが、亜紀ちゃんのママ。アボカドは、大好物なんです」亜紀ちゃんのためにアボカドを注文したのだったが、秀樹の喜びに笑顔でうなずいた。「そう。それはよかった。今日は、早めに店じまいして、運転手さんと私たちは、甘党茶屋で食事したわ。まあ、猫が3匹、猫カフェみたいね」亜紀ちゃんが、笑顔で話し始めた。「3匹ともメスで、みんなお友達になれそう。三姉妹って感じ。ピンク、喜んでるみたい」

 

 


 運転手のジーのことを思い出した秀樹が、アンナに挨拶をした。「今日は、ご馳走いただきまして、ありがとうございました。ジーも待ってることだし、失礼します。亜紀ちゃん、時々、ヒョットコを連れてきてもいいかな~?ヒョットコ、友達ができて、うれしそうだったし」亜紀ちゃんが、明るい声で即座に返事した。「ぜひ連れてきて。ピンクもお友達ができて喜んでいるみたい。今日は、三姉妹記念日ね」秀樹が帰ると聞いて明菜もあいさつした。「ピザ、とってもおいしかったです。イチゴもお友達ができて喜んでいるみたい。これからも、仲良くね、ピンク、ヒョットコ。私も、失礼します」

 

 秀樹はヒョットコを、明菜はイチゴを抱っこすると玄関に向かった。亜紀ちゃんは、ピンクを抱っこして表の通りまで見送りに出た。表の通りに秀樹が姿を現すと車の中で待っていた運転手が、息を切らせながらかけてやってきた。「坊ちゃま、お帰りですか。今日は、ご馳走していただきまして、ありがとうございました。今後とも、坊ちゃんをよろしくお願いします。明菜は、秀樹が運転手付きのお坊ちゃまと知って、目を丸くして秀樹の顔を覗き見た。秀樹は、照れくさそうに頭を掻きながら、「そいじゃ」と言って、運転手と一緒に駐車場に向かって歩き出した。明菜も「ピンク、さよなら」と言って南に向かって歩き出した。ピンクが懐から頭を持ち上げ、ニャ~~と鳴いたとき、亜紀ちゃんが、ピンクの気持ちを代弁して大きな声で叫んだ。「イチゴ、ヒョットコ、また、遊ぼうね~~」振り向いた明菜と秀樹は、大きく手を振った。

 


春日信彦
作家:春日信彦
ピンク
0
  • 0円
  • ダウンロード

32 / 33

  • 最初のページ
  • 前のページ
  • 次のページ
  • 最後のページ
  • もくじ
  • ダウンロード
  • 設定

    文字サイズ

    フォント