ピンク

 運転手のジーのことを思い出した秀樹が、アンナに挨拶をした。「今日は、ご馳走いただきまして、ありがとうございました。ジーも待ってることだし、失礼します。亜紀ちゃん、時々、ヒョットコを連れてきてもいいかな~?ヒョットコ、友達ができて、うれしそうだったし」亜紀ちゃんが、明るい声で即座に返事した。「ぜひ連れてきて。ピンクもお友達ができて喜んでいるみたい。今日は、三姉妹記念日ね」秀樹が帰ると聞いて明菜もあいさつした。「ピザ、とってもおいしかったです。イチゴもお友達ができて喜んでいるみたい。これからも、仲良くね、ピンク、ヒョットコ。私も、失礼します」

 

 秀樹はヒョットコを、明菜はイチゴを抱っこすると玄関に向かった。亜紀ちゃんは、ピンクを抱っこして表の通りまで見送りに出た。表の通りに秀樹が姿を現すと車の中で待っていた運転手が、息を切らせながらかけてやってきた。「坊ちゃま、お帰りですか。今日は、ご馳走していただきまして、ありがとうございました。今後とも、坊ちゃんをよろしくお願いします。明菜は、秀樹が運転手付きのお坊ちゃまと知って、目を丸くして秀樹の顔を覗き見た。秀樹は、照れくさそうに頭を掻きながら、「そいじゃ」と言って、運転手と一緒に駐車場に向かって歩き出した。明菜も「ピンク、さよなら」と言って南に向かって歩き出した。ピンクが懐から頭を持ち上げ、ニャ~~と鳴いたとき、亜紀ちゃんが、ピンクの気持ちを代弁して大きな声で叫んだ。「イチゴ、ヒョットコ、また、遊ぼうね~~」振り向いた明菜と秀樹は、大きく手を振った。

 


春日信彦
作家:春日信彦
ピンク
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