小説の未来(17)

 小説が娯楽としての役割を失えば、今後小説は消滅してしまうのでしょうか?おそらく、完全に消滅はしないでしょうが、娯楽として利用されるシェアは、かなり縮小されることは予測されます。

 

 また、ゲームは賭博にも利用され、多くの人々を虜にしています。このように考えると、金銭欲を満たすことのない小説娯楽の未来は、明るいとは言えないでしょう。

 

 しかしながら、小説には重要な使命があるのです。すでに述べたように性欲、恐怖心、娯楽、さらにこれらとリンクする国家の考察です。それは同時に、作家の使命でもあります。

 

 小説に娯楽としての進化が起こり得るのか全く見当がつきませんが、いかなるものも有限であって無限でもあるのです。小説家の皆さん、小説の無限性に挑戦し続けようじゃありませんか。

 

 有限と無限については、創造の中核をなす概念としてすでに述べましたが、もう一度わかりやすく以下述べておきます。

 

 


 

                               有限と無限

 

 今一度、有限と無限について述べます。ある事象は、条件設定されることにより有限となり、条件を変更することにより無限となります。

 

 例えば、完成された一つの家があるとします。今あるこの家は、依頼主の条件のもとに建てられた有限な家となります。さらに、依頼主が新たな条件を提出し、改築を行います。そうすれば、新たな家が建ったことになります。このように新たな条件を設定し続ければ、無限に新たな家に改築され続けていきます。

 

 人間は生物としては有限であり物質としては無限です。言い換えると、人間は、脳死という条件が設定された時点で非生物となります。でも、たとえ死体が焼却されたとしても物質的変化は起きますが、自然界に物質としては存在します。

 

 作家は、自分なりの条件を設定し、作品を完結させます。でも、新たな条件を設定すれば、作品は再構成され新たな作品となります。このように条件設定によって有限と無限が生まれるのです。


春日信彦
作家:春日信彦
小説の未来(17)
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