指輪と地獄

Uさん夫妻

Uさんは、パワーストーンを大切にしていました。また、その力について教えてくれました。妻のS子さんは、Uさんの母親にもらったというネックレスをいつも身につけていたようです。

私は、特に大切なアクセサリーを持たず、いろいろなものを身につけていました。この文章では、アクセサリーと、呪いについて書きます。

 

アクセサリーは、想念の汚い人が身につけると、呪いになります。Uさんの子供は私に大変好意を持ってくれ、おもちゃのパワーストーンを私にくれたのですが、私は、UさんとS子さんに追い詰められ、自傷行為をしました。私の命を救ってくれたのは、その時身につけていた、お二人の子供さんのパワーストーンでした。

 

Uさん夫妻とは、私の義理の父を通して仲良くなりました。私は資産家の娘で、土地を夫妻に貸すことになったのです。しかし、この夫妻は、最終的には私の持病の精神病をいやがり、私を故郷にいられなくしました。私は、病気がひどくなると、ものすごいそう状態になり、げらげら笑ったり、多動になります。夫妻には、二人の小さい女の子がいたのですが、一人は純粋に心配してくれ、もう一人は一緒に笑いあったり遊んだりして、まるで子供同士の親友のようでした。

 

私が悪化すると、夫妻は、私の義理の父を抱き込み、私を追い出す計画を立てました。私はショックを受け、家出をして自傷しました。

何かに助けてほしい

故郷にいられなくなった私は、娘さんのくれたパワーストーンを思い出しました。私が自傷して死にかけたとき、あのパワーストーンが粉々になったこと。

 

そうだ、アクセサリーや、物は、私を助けてくれるものだと思いました。私は入院先の病棟で、わざとS子さんが選んでくれた服を着て、Uさんのくれたパワーストーンをし続け、退院が近くなると、それらを呪いとともに一気に捨てました。

もし、UさんとS子さんが、今もパワーストーンやネックレスを大事にしていても、私から見れば、二人の宝物は呪いでしかないのです。きつい言い方かもしれませんが、人を理不尽に差別した上で、のうのうとその上で生きている人は、何か宝物があっても、それは、地獄への扉を開く呪いの宝物なのです。

 

私は、Uさん夫妻の差別にあい、大切な故郷に二度と帰れなくなりました。私は何かに助けてほしくて、物にたよろうとしました。デパートの千円くらいのアクセサリー売り場に通い、Uさんのパワーストーンや、S子さんのネックレスよりもっと強力なパワーを持つアクセサリーを見つければ、私は二人に心をめちゃくちゃにされた屈辱に勝てると思っていました。しかし、それは違いました。

私が間違っていたことがわかったのは、一つの指輪を見たときです。

黄色い指輪

それは、黄色い指輪でした。その指輪を見たとき、私は故郷の、Uさん夫妻が住む、すぐ近くの実家に置いてきた青い指輪につながるものを感じました。私はその時、これだ、と思ったのです。これを買って、一生大事にすれば、あの憎い二人に心で勝てるのではないかと。

 

夕焼けがきれいな、父との思い出の故郷を思い出して、私は涙があふれました。しかし、そのとき、父の声がしました。「あんなやつらに勝ってどうするつもりだ?お前の宝物は、あの夫妻に勝つ指輪ではないだろう。病気のお前を差別して地獄に落ちていく人に勝つ指輪なんて、それこそお前の地獄への扉になってしまうよ。大事なのは、あの夫婦の子供がくれた、バラバラになったパワーストーンではないのか?」

集める

私は、その指輪を買わず、家に帰りました。そうか、一つ宝物があることより、素晴らしいことがある、それは、たとえ今は私を憎まされていても、あの子供が、私の病気をわかってくれていたこと、純粋な気持ちを私に持っていてくれて、その力で私が助かったことだ。あの、バラバラになったパワーストーンこそが、私の心の宝物だった。大事なのは一つや二つ大事にして、念を込めて力をつくることではなく、今まで私を支えてくれた、全ての物や人々に感謝することだ。

私は、バラバラになって、自傷した私を守ってくれた、あの、今はないパワーストーンをかき集めるようにして、今まで集めてきた小さなアクセサリーを集めてカバンに入れました。すると、私の命が傷つく前に戻り、真っ直ぐに天へ向かっていくのを物たちが手伝ってくれている気がしました。

Uさん夫妻は、きっと神の裁きを受けるでしょう。だから、私はもう憎まない。悪い人を憎むのは間違いです。悪い人は確かに人をズタズタにして死へと追いつめます。しかし、死ななくて助かったのなら、もうそれで勝っているのです。めちゃくちゃにされても、真っ直ぐに生きていく力を、いつか、天はわからせてくれるから。それは、物の力を借りてかもしれませんし、人の助けでもあるかもしれません。とにかく、死なないことが、もう人生に勝っているということなのです。

karinomaki
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