データからサッカーを深読みする

千葉対福岡( 1 / 1 )

ホーム無敗のジェフを倒すためには、ボールを相手に支配させるべき

 首位の福岡は、未だホームで無敗のジェフと対戦する。

 

 今シーズンからジェフを指揮するファン・エスナイデル監督は、ディフェンスラインをハーフエアライン近くまで高く保ち前から敵にプレスをかけて、常にゲームの主導権を握るフットボールを指向している。それは、数字にも表れている。ボール支配率と30メートルライン侵入数は、リーグ2位である。だが、試合別にデータを見ると、これらの数値が高いゲームほど結果を得られていないことが示されている。 まず、ボール支配率を見る。勝利時の平均は58%、敗戦時が64%、引き分け時が67%である。白星を得られなかったゲームの方が高い。

 

 さらに、敵陣ゴールに近いエリアに攻め入ったことを示す30ライン侵入数を比較する。勝利時の平均は48回、敗戦時が54回、引き分け時が59回である。ボール支配率と同様に勝ち点3を逃したゲームの方が多い。

 

 ジェフ戦では、あえて相手にボールを支配させたほうが勝利を手にする可能性が高いように思える。それは、16節までジェフと対戦したクラブのデータを見ても明らかだ。

 

 千葉と対戦したクラブの1試合パス数を見てみる。千葉に勝利したクラブのパス平均数は235本、負けたクラブの平均は304本である。短いパスで敵のゴールへと向かう戦略を採ると勝率が高い。

 

 3つのデータからジェフに勝つ策は次のようになる。

あえて千葉にボールを長く持たせ、自陣ゴール近くに侵入させる回数を増やし、ボールを奪って速攻を狙う。

  

 千葉から勝ち点3を得たのが金沢は、ジェフに70%以上もボールを支配され、30メートルラインに侵入された数は80回を超えている。しかし、自陣でボールを奪ってからのカウンターで2ゴールを上げた。

また、ジェフを3-0で破ったヴェルディが、どのエリアでプレー時間が多いかを3分割して見る。自陣に最も近いディフェンシブサードでのプレーが50%を占める。

ジェフに勝利したファジアーノと引き分けた熊本も、東京と同様にディフェンシブサードでのプレー時間が最も多く40%を超えている。

一方、千葉に負けた愛媛はミドルエリアでのプレー時間が最も多い。

 

アビスパの試合データとジェフに勝利したクラブの平均とを比べてみる。1試合平均のパス数はJ2で13番目の384本で、ボール支配率は49%でJ2で10位ある。2つの数字から、福岡が90分でゲームを支配している時間が長いとは思えない。しかし、どちらの数字も千葉に勝利したクラブ平均よりも高い。

また、直近3ゲームのプレーエリアを見ると、全ての試合でミドルエリアでのプレー時間がディフェンシブサードを上回った。

 

 

千葉戦ではあえて自陣近くにブロックを築き、相手をおびき寄せた後にボールを奪ってカウンターという狙いを採ることが勝利への道かもしれない。

 

萬田晃
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