小説の未来(9)

太陽という言葉を聞くと、人は脳内に太陽をイメージできます。そして、太陽を理解できたと安心できます。物質とその運動を記号化するということは、先にも言いましたように、有限化することなのですが、“同時に”太陽という言葉は、その記号の中に無限の要素をも内包しているのです。

 

今仮に、太陽とはどのようなものですか?と質問された場合、人はどのように答えるでしょうか?おそらく、“生物が生存し続けるためには不可欠な光と熱を発するもの”というような常識的な答えが返ってくると思われますが、実は、条件を設定しなければ、答えは、無限に存在するのです。

 

作家は、無限なる概念を言語化、記号化をするという作業を行い、有限なる文章を構築し、無限を内包する有限なる作品を読者に提供しているのです。「有限と無限」の概念は、私の創作の中核をなしているのですが、私が作り上げるフィクションは、“認識と社会の有限性と無限性”を理解していただくためのものと言っても過言ではありません。

 

今回は、かなり説明が難しかったのですが、ほんの少しでも、理解していただければ幸いです。

春日信彦
作家:春日信彦
小説の未来(9)
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