リノは、おじいちゃんが年金を受給することにしたと思い、清子に笑顔を向けた。リノは、黒猫を抱きかかえると、幸太郎の部屋に向かった。清子は、矢印からはがきを開いてみると、“一時金振込通知書”と表示された赤い文字が目に飛び込んできた。幸太郎の顔が脳裏に浮かぶと、清子の腰はくいだけ、ドスンとしりもちをついた。そのとき、リノは、幸太郎の姿を思い出しながら、なれなれしい黒猫にキャットフードを食べさせていた。
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