オカライタメ
僕が小学校に上がるくらいの時は
父の商売も軌道に乗り始めていて
僕はそんな貧乏生活を
強いられた記憶は無いのですが
幼い頃から
父と母の貧乏話を聞かされて育って
夫婦というものは
何も無いところから
二人で築き上げていくものだと
教わってきたので
僕はずっと
それが当たり前だと思って
生きてきました
金の切れ目が縁の切れ目、
という言葉はあるけれど
それは強欲な人の喩え話で
一般的、普遍的な話ではないと
思っていました
現に父と母が金の有る無しで
喧嘩をしている所は
一度も見たことがなかったし
父の商売が駄目になって
日々の生活費すら稼げなくなった時も
母は文句も言わずにバートに出て
父ならなんとかしてくれると
信じている姿を
ずっと見てきたからです