あんたは、ターミナルの中に迷い込んだセミを笑いながら踏み潰していた。
社員たちの自転車のタイヤに釘を突き刺していた。
いつも、ひっそりと、人間に怯えるゴキブリのように・・・
0
そんな、あんたがオレの「救い」だ。
職場で人が死んでから、作業を開始する前に塩入のアメが配られるようになった。
現場責任者はどこかへ飛ばされたが、臨時で現場を管理している責任者は、まるでオレたちが悪かったから人が死んだというようなことを毎日、朝礼の時に話している。
それだけだ
それだけのことなのだ。
後は何も変わらずに、職場は今日も動き続けている。
60 / 125