Z32

 

 

気が付くと歩道橋の上に立っている。

 

少しだけ高い場所で佇んでいると、解放された気持ちになれる。

 

ほんの気休め程度の解放感だが、いまのオレには、とても大切な時間だ。

 

 

「全裸男」は、まだ捕まっていない。

 

どうして捕まらないのかはわからないが、いまも定期的に出没している。

 

オレが生きている小さな世界のすぐ近くに、オレとは比べ物にならないくらいにスケールの大きな変態が生きている。

 

 

 

街中で全裸になるくらい大したことないと思う人もいるだろうが、ポケットに切り込みを入れたジャージから、イチモツを引っ張り出すことが精一杯のオレから見ると

 

街中で全裸になる行為は、とてつもなく遠く大きな世界の出来事なのだ。

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