CRASH FAMILY

 市営バスに揺られ、先程の事を考えている正太郎は、興奮が静まらなかった。

(やったぜ・・あのクソガキ・・俺のスニーカー・・汚しやがって・・・天罰だ・・死んだかな?)

にやける正太郎の顔は魔物が憑依しているかのような恐ろしい様相であった。

バスを降り自宅に辿り着いたが鍵が閉まっていた、合鍵は玄関脇の植木鉢の中にある。

自室に入るとパソコンを開き、自分のブログにアクセスした。

正太郎は思いの丈を綴り、病んだ心を文章に変えていった。

(俺は間違っていない・・俺をコケにした奴等に天罰が下った・・・これからも天罰が下る奴が現れ

だろう・・・俺は神なのか・・・そうだ神だ・・・皆・・・平伏すがいい・・・)

 そのとき玄関のドアが開く音がした、ふと正太郎は我に返った。

階下のリビングに降りていくと、ソファーに姉の小雪が座ってうな垂れている。

「姉ちゃん・・どうしたの?」

「何でもない・・・」

「ねえ、父さん達は?」

「知らないよ、あんな奴等・・」

「なんだよ・・・何怒ってんだよ・・・」

「うるさい!あっち行ってろ・・」

正太郎は二階の自室へ戻り、床に転がっている野球のボールを壁に向かって力任せに投げた。

バウンドしたボールは窓の硝子を割ってしまう、そこから吹きぬく冷たい風が正太郎の狂気を蘇

らせてしまった。

 

 早苗は、埼玉の自宅へ帰る車中歌舞伎町で購入した物を大事そうに抱えていた。

「ねえ、アナタ・・・これ凄いでしょうね・・ネットで検索したらこれが出ていたの・・・恥かしいけど・・」

「ああ、そう・・・」

正二はまだ少しぎっくり腰の痛みが残っていた、今夜が恐ろしい、逃れられるなら逃れたい、また

痛いふりをしようか、また機嫌が悪くなるだろうな。

 自宅へ戻ると玄関の鍵が開いていた、子供達が戻っているのだろう。

リビングには小雪がいた、ふと顔を覗くと血色が悪い。

「小雪・・・具合でも悪いのか?顔色悪いけど・・・」

「別に・・・」

正二はこれ以上聞くのを控えた、思春期の女の子は理解できない、最近この子と接するのが難

しくなってきた、正二は二階の正太郎の部屋へ向かった。

 

 

 正太郎の部屋を軽くノックしドアを開けた、その瞬間冷たい風が吹き込んだ。

「おう・・どうした?その硝子・・・割れているじゃないか・・・」

「うん・・ボールで遊んでたらぶつかっちゃって・・ゴメン・・・」

「取り替えなきゃな・・・今日は日曜だし・・・硝子屋開いてないだろうな・・・取り合えずダンボール

も貼っておこう・・・ところでお婆ちゃん、元気だったか?」

「うん、元気だったよ・・・」

「そうか・・・」

正二はいつもと雰囲気が違う正太郎が気になっていた、いつもは目を見て話をする子だが、何

か伏せ目がちであった、コイツも思春期とやらに突入したのだろうか。

 小雪は自室でベットに横たわりクスリが切れたのか睡魔が急に襲ってきた、深い眠りに陥る。

丸一日眠らず食事も摂らず、性行為に耽っていた訳だから体力は少なからず消耗している。

 夕食の支度が整い、早苗は二人の子供に声を掛けた、食卓にはポークソテーとサラダが並ん

でいる、正二がビールの栓を開けていると正太郎が降りてきた。

「わぁ、旨そうだね・・・」

「小雪は?」

「起こしても起きないんだ・・・何か機嫌が悪いみたい・・ほっとけば・・・」

「そうか・・まあ腹が減れば降りてくるだろう」

 深夜12時過ぎ、子供達は寝静まったようだ、これからまた始まる。

案の定、全裸の早苗が寝室に入ってきた、それはいつもより高揚しているようだ、ロープを取り

出し縛れとせがむ、正二は嫌々ながらも早苗の身体を縛っていった、喘ぐ早苗をベットに倒し身

体を揉み漁る、自分の隆起した物を早苗の口に突っ込み、歌舞伎町で買った極太のバイブレー

ターを早苗の股間に宛がいゆっくりと挿入していく。

「ウグっ・・・うっ・・ああああぁ・・・」

激しくよがる早苗は白目を剥くほど興奮している、甲高いヨガリ声は二階の子供達に聞こえない

だろうか、その後一時間行為は続いた。

 小雪は昨日から16時間深い眠りについていた、朝6時起こされなかったらまだ寝ていたであろ

う、食事も摂らず家を出た、身体がダルく節々が痛い、隣町の高校には行く気がしない、駅前の

マックに入って、たっぷりミルクを入れた珈琲をゆっくりと飲んだ。

身体が何かを欲している、あのクスリなのかヒロシの身体なのか、小雪には分からなかった。

鞄からケイタイを取り出しヒロシにメールした。

(おはよう・・・何だか学校行く気しなくて・・会いたい・・・)

何故か涙が溢れてきた、何でだろう。

メールの着信音が鳴る。

(おはよう・・随分早いな・・・今日は暇だからいいよ・・・でもクスリはタダじゃないぜ・・・)

(そうなんだ・・・いくらなの?)

(グラム2万・・)

(ウソ・・・そんなお金ないよ・・・)

(じゃあ、いい方法があるから・・今から新宿おいで・・・歌舞伎町のあのホテルに来いよ)

(うん、わかった・・・)

小雪は一度自宅へ戻り、私服に着替える事にした、家に戻ると早苗が驚いた顔で聞いた。

「どうしたの、忘れ物?」

「今日学校休むから・・・風邪ひいたとか言って休むって連絡しといて・・」

小雪は私服に着替え、早苗を振り切り飛び出していった。

 

 

 正太郎は野球部監督に呼び出され、職員室の応接間にいた。

そこには校長はじめ教頭、担任、野球部監督が揃っていた、俺だけ呼ばれたらしい。

「勝俣君、呼び出して悪いね」

担任が口火を切った。

「ほら、一年の小林君知ってるよな?うん、いろいろあって学校来てないんだ、知ってるかな?」

「あ、はい、野球部の後輩です・・・部活も休んでますね・・・」

「そうなんだよ・・・君何か知らないかな?一応野球部の部員全員聞いてるんだ」

「さあ、あまり話した事無いから・・・」

「実はね・・その小林君が、同級生に君の悪口を言ったとか言わないとかって、噂があってね、そ

ことは君も知っていると思うんだけど・・・どうかな?」

「はあ、知ってますけど・・後輩ですし・・・別に怒ったりしませんけど・・・」

「そうか・・誰かに苛めにあってるとか、聞いたこと無いかな?」

「知りません・・聞いたことも見たこともありません」

「そうか・・・分かった・・・有難う、もういいよ」

「はい、失礼します」

(バレているのか・・・いや、俺がやったとは思っていないだろう・・・そんなヘマはしてない・・・もう

野球なんてやりたくない・・・全ては野球から始まったことだ)

 

 10時少し前新宿に着いた小雪は、記憶を辿りながらあの鄙びたモーテルを目指していた。

(確かこの角を曲がったような・・・あっここだ・・)

既にヒロシはモーテルの前で煙草を吸っていた。

「おお、遅かったな・・・」

「ゴメン・・・家埼玉だから・・・遠くて・・・」

「まあいいや・・入ろう・・」

二人はホテルの部屋に入る、大きなベットと調度品は冷蔵庫しかなく場末のモーテルである。

「クスリ持ってきたよ・・・キメる前にシャワー浴びてこいよ」

「うん・・・」

小雪は脱衣所で服を脱いでいる間、ヒロシは誰かとケイタイで話している、聞こえたのは‘これか

来て下さい‘という言葉だった、誰か来るのだろうか少し不安になる。

シャワーを浴びバスローブを羽織った小雪は、ベットの隅に腰掛ける。

「どうする、クスリ・・欲しい?」

「うん・・・気持ちいいんだもん・・・」

「じゃあ右手を出して・・・」

ヒロシは溶かした液体を注射器で吸い上げた、それを小雪の腕の静脈に注射した。

「ああああぁ・・・鳥肌が・・・・やだ・・ホント気持ちいい・・・何これ・・・」

「最高だろ?じゃあ俺のをしゃぶってくれよ・・・」

ヒロシはズボンのチャックを下ろした。

全裸に剥かれた小雪は、何度も何度も突かれながら絶頂を味わい昇天した。

心地よい疲労と余韻に耽りベットに横たわっていたとき、チャイムが部屋に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

エンジェル
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