再婚

「拓也は、女性不感症になって、勃起しなくなったの、Hができなくなったのよ」アンナは右手の感触を思い出していた。「女性不感症!きっと、彼女に振られたことが原因ね。アンナ、あきらめることは無いわ、災いを転じて福となす、って言うじゃない。今がチャンスよ、拓也をしっかり看病して、元気にしてあげることができれば、アンナは立派な妻ということじゃない。Hができなくても結婚するのよ」さやかは今こそ結婚すべきと激励した。

 

アンナは眉を下げて「もし、あそこが元気にならなかったら、子供ができないってことよね。子供、産みたいんだけど」アンナは淋しそうにつぶやいた。さやかはアンナの右肩をポンと叩くと「心配御無用!万が一、Hができなくても、子供は産めるのよ。拓也の精子を取り出して人工授精ができるの。だから、安心して」アンナはほんの少し笑顔を見せた。「分かったわ、拓也のために全力を尽くすわ。亜紀のためにもいいお母さんになって見せる」アンナは少し大きな声をだしてしまった。

 

突然、ふすまが開くと亜紀が立っていた。「オネ~チャンたちどうしたの?」亜紀は大きな声に起きてしまった。「ごめんね、起こしてしまって、亜紀ちゃん一緒に寝ようね、いい夢、見なくっちゃ」アンナは笑顔を作り亜紀の前で両膝をつくと、両肩を包むようにそっと手を添えた。アンナ、亜紀、さやかは川の字になって寝床についた。アンナは純白のウエディングドレスを身にまといバージンロードを歩く姿を思い浮かべ、そっと眼を閉じた。

 

春日信彦
作家:春日信彦
再婚
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