夏美の全身が凍りついた。夏美は自分の命を捨てる決心をした。
~神様、私の命を直人にあげてください。私は11年間幸せでした。小児癌の子供たちを救うために、直人を生かしてください。お願いです、神様。直人、直人、目を覚ますのよ。夏美の声が聞こえないの。直人、直人、起きなさい!直美の笑顔がスパークした~
夏美はすべての涙を流し、神にお願いした。涙が涸れると、夏美は静かに息を引き取った。
奇跡的に眼を覚ました直人は言葉を話すことができた。言語中枢には異常がなかった。3ヶ月の入院後、退院した直人は夏美の死を知らされた。彼女の死は直人が眼を覚ましたその日であった。
夏美の死から、30年の月日が経った。政代は衆議院議員として、日本が核保有国になれるための憲法第九条の改正案を推進していた。一方、医者となった直人は丸坊主の夏美の写真を腹巻に入れて長崎の病院で小児癌の子供たちを診療していた。