十六、 こうして高校三年生における私とカラスの話は終わる。冬の最中から終盤にかけてのお話である。その後何度となく彼女を見かけ、人の姿で出会う事もあったが、ワタリガラスは人間より寿命が短い。渡りを止めたのか、その間に死んだのか、それとも神の使いにでもなったのか知らない、とにかく数年後には白い姿を見る事もなくなり、私は代わりとしてムニンのストラップを買った。
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