【ISIS Selection 01】21世紀から探る1966年UKツアーの真実

もくじ( 1 / 1 )

【ISIS Selection 01】
21世紀から探る1966年UKツアーの真実


もくじ

1. 『ISIS Selection』発刊によせて(デレク・バーカー)

ボブ・ディランに限らず、アーティストのファンジンは「出ては消え、出ては消え」の状態ですが、イギリスで発行されている『ISIS』は、1985年以来、隔月で休まず発行されており、優れた記事の蓄積も半端ではありません。今回、日本で、その一部を少しずつ紹介する『ISIS Selection』を開始するにあたって、主宰のデレク氏からひとこともらいました。

2. ミッキー・ジョーンズ・インタビュー(聞き手:イアン・ウッドワード)

1966年ヨーロッパ・ツアーについて最も多くのことを語っているのは、ロビー・ロバートソンでも、ガース・ハドソンでもなく、ミッキー・ジョーンズです。ボブとの出会い、ドラマーとして参加するきっかけ、ツアー中の様子、オートバイ事故後のバンド・メンバーへの対応など、貴重な話が満載。

3. 3人の証言をもとに再構成する5月27日ロイヤル・アルバート・ホール公演(C・D・スミス、デレク・デイヴィス、ピーター・スミス)

ヨーロッパ・ツアー最終日の5月27日ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール公演は、第1部のアコースティック・セットは海賊盤で聞くことが出来ますが、第2部のエレクトリック・セットの音の記録は発掘されていません。ツアーの殆どのショウでは、曲目曲順は『The Bootleg Series Vol.4』として正規リリースされた5月17日マンチェスター公演と同一のもので固定されていたようですが、26日、27日ロンドン公演では第2部の曲順が違っていた可能性もあります。筆者は20年以上前の「記憶」をたどり、さらに別の「記録」も登場し、情報が錯綜しているのが現状です。いつの日か「真実」が明らかになって欲しいですね。

4. 言語学者が読唇術で検証する「Play fuckin' loud」(J・J・ステンゾスキ)

5月17日マンチェスター公演の最終曲<ライク・ア・ローリング・ストーン>の直前に収録されている一連のやり取り:「Judas」→よく聞き取れないいくつかの野次→「I don't believe you」→「You're a liar」→「Play fuckin' loud」をどう解釈するかは、「Judas」という野次を飛ばした本人のものを含め、諸説があることはボブ・ファンならずともご存知の通り。マーティン・スコセッシ監督の映画『ノー・ディレクション・ホーム』にこの決定的なシーンが収められたことにより、遂に真実が明らかになると思いきや、こんな面白い「新説」が登場しました。


(記事の選定&翻訳:加藤正人 / 表紙デザイン:miss U)

『ISIS Selection』発刊によせて( 1 / 1 )

 私がボブ・ディランのファンジン『ISIS』を創刊したのは1985年のことです。最初の目的は友人であるたくさんのディラン・ファンとコミュニケーションを図ることでした。友人達から送られてきたボブ関連ニュースのさまざまな断片を私がまとめて、ニュースレターという形にして返送したのです。こうした無料の情報交換は2年以上続いたのですが、参加者と扱うニュースの量が増えたために、このような形で継続するのが不可能となりました。この2年間に、最初は5ページだったニュースレターが50ページ以上になり、自動的にマガジンという形式になってしまいました。となると、私に残された道はただひとつ。正式に雑誌にして、販売することでした。その後は皆さんがご存知の通りです。
 2001年に『ISIS』が創刊100号を迎えたのを記念して、私は優れた記事を選んで1冊の本にまとめて『ISIS: A Bob Dylan Anthology』を出版しました。この本が好評を得たので、小誌が20周年を迎えた2005年には第2弾『Anthology Volume 2: 20 Years Of ISIS』を出したのですが、2012年には、この2冊及び他の号からさらにベストな記事をセレクトして日本語化したeMagazine『ISIS Selection』をオンラインで発表することになりました。
 私が人生の過去25年間を『ISIS』の発行に捧げることができたのは、ボブ・ディランが20世紀最重要のソングライター/パフォーマーだと信じているからです。ポピュラー・ミュージックの歴史を変えた彼の作品が、未来において、キーツやシェイクスピアと同列に語られるものであるとも信じています。
 皆さんと同様、私もまた、ディランの長いキャリアの中のさまざまな紆余曲折を、強い関心を持ってフォローしてきました。ボブ・ディランは流行の変化に影響を受けることなく、自分の道を不屈に切り開いてきましたが、私もその道をたどり続けます。さらに学ぶべきことが多いと思うからです。
 本誌が取り上げているアーティストは今もなお健在です。彼と同じ時代に生きている私たちは非常に幸運だと思います。『ISIS』がこうして長寿を賜っているのは、取り上げているアーティストが時代を超越した存在であることの証拠のひとつでしょう。ボブ・ディランよ、永遠なれ。

2012年2月
デレク・バーカー


ISIS ホームページ
http://www.bobdylanisis.com/

ISIS facebookページ
https://www.facebook.com/groups/bobdylanisis/

ロックンロール叢書
作家:JJ・ステンゾスキ、イアン・ウッドワード他
【ISIS Selection 01】21世紀から探る1966年UKツアーの真実
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