中学受験、成功する親、失敗する親

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第一章 苛烈な中学受験( 4 / 5 )

偏差値表はあてにならない

 日能研、四谷大塚、サピックス。3つの塾の偏差値表が手に入ったらぜひ並べてみてください。それぞれの塾で微妙に違います。サピックスは自塾のレベルが高いことをアピールしたいのでしょう。偏差値50のラインが妙に高いところにあり、50以下の学校が他より多くなっています。したがって偏差値50以下の学校の差はあまり明確ではありません。四谷大塚の場合、合不合判定テストが1年間に4回行われ、志望者数によって微妙に偏差値が入れ替わります。それぞれの塾が自塾の考え方に合わせて作っているのですが、やはり意図を感じる部分はあります。

 ある塾が妙にある学校を高くしていたりすれば、「ああ、この学校に自塾の生徒の目を向けたいのだな」と勘ぐってしまいます。土台、その学校の合格偏差値が正確に計算できるはずもありません。試験ごとに受験する集団は微妙に違いますし、学校の出題傾向も模擬試験とは明らかに違うでしょう。例えば武蔵中学の出題傾向は記述式ですし、国語は物語文しか出題されませんから、模擬試験の成績が良くても、その学校に合格しやすいかといえば必ずしもそうではないのです。

 試験前はこういう話を聞いて、「それはそうだろうな」と思われる方が少なくないのですが、実際に入試直前や入試の渦中にある場合は、そんな余裕がなくなってしまいます。よくご相談を受けるのが「A中学は60でB中学が55ですから、やはりBにしたほうが受かりやすいですよね」という内容。私の答えは、Yesでもあり、Noでもあります。A中学とB中学では当然試験内容が違います。またその子にも得意不得意があります。だからB中学の合格は難しいが、A中学なら合格するという場合も当然のことながらあるのです。偏差値5ポイントなんて模擬試験の点数にしたら10点ぐらい。算数で2問違えばもうひっくり返ってしまいます。そんなデータに一喜一憂しても仕方がないのです。

 ですから、偏差値表で第一志望を選んではいけないのです。少なくとも第一志望については「成績を見ずに」選ぶ必要があります。どんな学校が、子どもの資質を伸ばすのに良いのか。入試傾向は子どもの資質に合っているのか、そうでないのか。そういう点に注意を払って第一志望を選ぶべきです。

 一方、併願校を選ぶ場合は偏差値表を使ってください。例えば55のお子さんなら、偏差値45の学校であれば確実に合格できるでしょう。そのランクの学校で第一志望と同じように子どもの資質を伸ばしてくれる学校、子どもの性格に合いそうな学校を選んでいけば良いのです。偏差値の1ポイントや2ポイントを気にしても仕方がありません。数ポイントでは、本番の入試ではひっくりかえってしまうことがありますから、10ポイント下げるぐらいでちょうど良いのです。

 最近、こんな生徒も増えました。第一志望の学校に第一次募集には落ちて、第二次募集で合格する子。第一次募集のほうが合格人数も多く、偏差値も低い。第二次募集の方がうんと高いのです。その差は平気で10数ポイントあります。でも、それをひっくり返すことができるのです。その子が特別だから? いいえ、そのくらい僅差で子どもたちが並んでいるからです。第一志望はそのくらい気持ちがこもるものですから、直前になって変えるよりは、むしろ滑り止めで調整する方が良いでしょう。

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田中 貴
作家:田中 貴
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